判例検索β > 平成31年(わ)第1105号
有印公文書偽造・同行使
事件番号平成31(わ)1105
事件名有印公文書偽造・同行使
裁判年月日令和元年7月17日
法廷名大阪地方裁判所
裁判日:西暦2019-07-17
情報公開日2019-08-26 12:00:11
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主文
被告人を懲役1年6月に処する
この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,大阪弁護士会所属の弁護士であるが,Aから離婚等請求訴訟を提起してほしい旨依頼を受けながらこれを放置し,同人に対しては,同訴訟を提起した旨うその報告をしていたことから,その発覚を免れるため,同訴訟に係る判決書を偽造して行使しようと考え
第1

平成25年6月3日頃,大阪市a区bc丁目d番e号fB法律事務所において,行使の目的で,ほしいままに,パーソナルコンピュータ等を用いて,平成25年5月22日判決言渡平成24年(家ホ)第56号件原告(反訴被告)A

被告(反訴原告)と被告とを離婚する。

大阪家庭裁判所岸和田支部離婚等請求事C主文1裁判官原告Dなどとす
る判決書1通を作成し,もって前記裁判官D作成名義の判決書1通を偽造し,同日,同事務所において,同所に設置されたファックス機器を使用して,前記判決書1通を真正に成立したもののように装って大阪府岸和田市内の前記A方宛てに送信し,その頃,同人方に設置されたファックス機器によって印字して行使した。
第2

平成26年4月7日頃,大阪市g区hi丁目j番k号lB法律事務所において,行使の目的で,ほしいままに,パーソナルコンピュータ等を用いて,平成26年3月28日判決言渡平成25年(ネ)第1266号離婚等請求控訴事件(原審・大阪家庭裁判所岸和田支部平成24年(家ホ)第56号)

控訴人(被告)棄する。

2C被控訴人(原告)A主文

1原判決を破本件を大阪家庭裁判所岸和田支部に差し戻す。

大阪高等裁判所第5民事部裁判長裁判官E裁判官F裁判官Gなど
とする判決書1通を作成し,もって前記裁判官Eほか2名作成名義の判決書1通を偽造し,同日,同事務所において,同所に設置されたファックス機器を使用して,前記判決書1通を真正に成立したもののように装って前記A方宛てに送信し,その頃,同人方に設置されたファックス機器によって印字して行使した。
第3

平成27年4月28日頃,
同事務所において,
行使の目的で,
ほしいままに,
パーソナルコンピュータ等を用いて,平成27年4月8日判決言渡平成26年(家ホ)第142号告(反訴原告)離婚等請求事件原告(反訴被告)C主文1裁判所岸和田支部裁判官A

被原告と被告とを離婚する。

大阪家庭Hなどとする判決書1通を作成し,もって前記
裁判官H作成名義の判決書1通を偽造し,同日,同事務所において,同所に設置されたファックス機器を使用して,前記判決書1通を真正に成立したもののように装って前記A方宛てに送信し,その頃,同人方に設置されたファックス機器によって印字して行使した。
第4

同年5月28日頃,同事務所において,行使の目的で,ほしいままに,パーソナルコンピュータ等を用いて,平成27年5月8日判決言渡平成26年(家ホ)第142号訴原告)岸和田支部離婚等請求事件原告(反訴被告)A被告(反C主文

1裁判官原告と被告とを離婚する。

大阪家庭裁判所Hなどとする判決書1通を作成し,もって前記裁判官
H作成名義の判決書1通を偽造し,同日,同事務所において,同所に設置されたファックス機器を使用して,前記判決書1通を真正に成立したもののように装って前記A方宛てに送信し,その頃,同人方に設置されたファックス機器によって印字して行使した。
第5

平成28年1月29日頃,
同事務所において,
行使の目的で,
ほしいままに,
パーソナルコンピュータ等を用いて,平成27年12月9日判決言渡平成27年(ネ)第621号離婚等請求控訴事件(原審・大阪家庭裁判所岸和田支部平成26年(家ホ)第142号)控訴人(被告)(原告)A主文1民事部裁判長裁判官C

被控訴人本件控訴を棄却する

大阪高等裁判所第3I裁判官J裁判官Kなどとする判決
書1通を作成し,
もって前記裁判官Iほか2名作成名義の判決書1通を偽造し,
同日,同事務所において,前記Aに対し,前記判決書1通を真正に成立したもののように装って交付して行使した。
(法令の適用)


判示第1ないし第5の各行為につき
有印公文書偽造の点

刑法155条1項

偽造有印公文書行使の点

刑法158条1項,155条1項

科刑上一罪の処理
判示第1ないし第5の各罪につき

いずれも刑法54条1項後段,
10条
(各
有印公文書偽造とその行使との間には手段
結果の関係があるので,いずれも一罪とし
て犯情の重い偽造有印公文書行使罪の刑で
処断)

併合罪の処理

刑法45条前段,
47条本文,
10条
(犯
情の最も重い判示第5の罪の刑に法定の加
重)

刑の執行猶予

刑法25条1項

(量刑の理由)
本件は,弁護士である被告人が,業務の放置を隠ぺいするため,5度にわたって判決書を偽造し,依頼者に対して,FAX送信するなどして行使したという事案である。
偽造された各判決書は,実在する裁判官の氏名を用いるものも含まれ,その体裁や弁護士である被告人が行使するという態様などから偽造であると見破ることは困難である。本件は,社会正義を実現すべき弁護士が,自らの専門知識を悪用した犯行であり,判決書の有する社会的信頼を大きく損なわせる悪質なものである。もっとも,上記のとおり犯行動機は身勝手であるものの,財産的な利得等を目的としたものではなく,この点は一定程度酌むべき事情といえる。
以上によると,被告人の刑事責任は軽視できないものの,罰金刑の前科を有するにとどまることも考慮すると直ちに実刑に処すべきとまでは認め難い。そこで,上記諸事情のほか,被告人が罪を認め,反省の態度を示していること,依頼者との間で示談が成立し,その一部が履行されていることなどを考慮して,被告人を主文の懲役刑に処し,今回に限りその刑の執行を猶予することとする。(求刑

懲役1年6月)

令和元年7月17日
大阪地方裁判所第5刑事部

裁判長裁判官

長瀨敬昭
裁判官

松田克之
裁判官

平山裕也
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