判例検索β > 令和1年(わ)第327号
暴行・傷害
事件番号令和1(わ)327
事件名暴行・傷害
裁判年月日令和元年8月28日
法廷名福岡地方裁判所  小倉支部
裁判日:西暦2019-08-28
情報公開日2019-09-11 14:00:11
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令和元

327号暴行傷害被告事件

主文
被告人を懲役2年に処する
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
被告人をその猶予の期間中保護観察に付する。
理由
【犯罪事実】
第1被告人は,平成31年2月26日午後8時14分頃から同日午後8時35分頃までの間に,北九州市a区bc丁目d番e号f棟g号の被告人方において,別紙1記載の長女(当時17歳)に対し,同人をしてその左前腕部にスタンガンを押し付けさせ,被告人が同スタンガンのリモコンを操作して通電させる暴行を加えた。第2被告人は,同月27日午後8時23分頃から同日午後8時58分頃までの間に,前記被告人方において,別紙1記載の二女(当時13歳)に対し,同人をしてその左前腕部にスタンガンを押し付けさせ,被告人が同スタンガンのリモコンを操作して通電させる暴行を加えた。
第3被告人は,同月28日午後8時30分頃から同日午後9時30分頃までの間に,前記被告人方において,二女に対し,同人をしてその左前腕部にスタンガンを押し付けさせ,被告人が同スタンガンのリモコンを操作して通電させる暴行を加えた。第4被告人は,前記第3記載の日時頃,前記被告人方において,長女に対し,同人をしてその左前腕部にスタンガンを押し付けさせ,被告人が同スタンガンのリモコンを操作して通電させる暴行を加えた。
第5被告人は,前記第3記載の日時頃,前記被告人方において,別紙1記載の長男(当時11歳)に対し,その左手背部にスタンガンを押し付け,同スタンガンのリモコンを操作して通電させるなどの暴行を加え,よって,同人に全治まで約7日間を要する熱傷を負わせた。

【法令の適用】
罰条
第1ないし第4の各行為について
いずれも刑法208条
第5の行為について
刑法204条

刑種の選択
併合罪の加重

いずれも懲役刑を選択
刑法45条前段,47条本文,10条
(最も重い第5の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予

刑法25条1項


刑法25条の2第1項前段

保護観察
訴訟費用の不負担

刑事訴訟法181条1項ただし書

【量刑の理由】
本件は,被告人が,養子や実子の3名に対し,犬のしつけ用のスタンガンで通電させるなどの暴行を加え,長男に対しては怪我を負わせたという暴行4件,傷害1件の事案である。
被告人は,独自の教育方針から,家庭内ルールを定めるなどし,それを子供らに徹底的に従わせようなどと考え,数年前から,3人の子供らに対して罰を与えるため日常的にスタンガンによる電気ショックを与えていたものである。被告人の教育方針は独善的であり,スタンガンを用いて罰を与えるという手法も常軌を逸しているといわざるを得ず,本件各犯行は日常的に繰り返された悪質な虐待行為の一環といえる。
被害者である子供らは,被告人から日常的にスタンガンによる電気ショックを受けており,その際には相当程度の痛みを伴ったものと考えられ,その身体的な苦痛はもとより,精神的にも大きな恐怖を味わったことは明らかで,子供らに容易に癒えない心の傷を与えた影響は重大である。
そうすると,被告人の刑事責任は重いものがあるが,他方で,被告人には前科がないこと,被告人は事実関係を素直に認め,反省の態度を示し,子供らとは距離を置き,二度と
同じような過ちを犯さない旨約束していることなど被告人にとって酌むべき事情もあるため,今回は,刑の執行を猶予することとする。もっとも,被告人に適切な監督者が見当たらないことや保護された子供らとの関係のあり方については慎重に検討する必要があることからすれば,社会内での処遇には専門家の指導監督を要すると考えられ,その猶予の期間中保護観察に付することとする。
(求刑懲役2年)
令和元年8月28日
福岡地方裁判所小倉支部第2刑事部

裁判官

松村一成

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