判例検索β > 昭和24年(れ)第1982号
入場税法違反
事件番号昭和24(れ)1982
事件名入場税法違反
裁判年月日昭和27年10月3日
法廷名最高裁判所第二小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集等巻・号・頁集刑 第68号21頁
原審裁判所名東京高等裁判所
原審裁判年月日昭和24年6月8日
判示事項入場税法第一六条第一項の逋脱犯既遂の判示方
裁判要旨一 入場税法(昭和一五年法律第四四号)第一六条第一項の逋脱犯の事実摘示として「昭和二二年一〇月一四日から同月二六日迄の間甲府税務署の検察済証印を受けない入場券を発売しその売上高を正規の帳簿に記入せず且つ入場税課税標準申告書に不正の記載をなして甲府税務署長に提出して入場税金二万五千二百円を逋脱し」と判示してあつても、不正の記載をした申告書を税務署長に提出したときに逋脱犯が成立した趣旨と解すべきではない。
二 右の事実摘示は逋脱犯既遂の事実摘示として理由不備の違法があるということはできない。
三 逋脱犯既遂の事実を摘示するにあたり、入場税課税標準申告書を提出した日時、入場税の納期、納付すべき税額と実際に納付した税額及びその差額を算定判示することは必ずしも必要ではない。
参照法条入場税法(昭和15年法律44号)6条の2,入場税法(昭和15年法律44号)6条の3,入場税法(昭和15年法律44号)16,入場税法施行規則6条,旧地方税法(昭和23年法律110号)151条,旧刑訴法360条1項
裁判日:西暦1952-10-03
情報公開日2017-10-17 14:49:04
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主 文
本件各上告を棄却する
理 由
上告弁護人保坂政治郎、同海野普吉、同中島武雄の上告趣意について 入場税法(昭和二三年七月七日法律一一〇号により廃止されたが廃止前になした行為に関する罰則の適用についてはなお従前の例によるものである)一六条一項によると詐欺其ノ他不正ノ行為ニ依リ入場税ヲ逋脱シ……タル者ハ其ノ逋脱シ……タル税金ノ五倍ニ相当スル罰金ニ処スと規定し、その六条ノ三において入場税ハ毎月分ヲ翌月末日迄ニ納付スベシと規定しているのである。而して原判示第一の事実は昭和二二年一〇月一四日から同月二六日迄の間甲府税務署の検察済証印を受けない入場券を発売しその売上高を正規の帳簿に記入せず且つ入場税課税標準申告書に不正の記載をなして甲府税務署長に提出して入場税金二万五千二百円を逋脱したというのであつて右判示は不正の記載をした申告書を税務署長に提出した事実をもつて逋脱罪が成立したという趣旨ではなく、右事実は前示法律一条一項に定める不正ノ行為の存した事実を判示したものであつて、右不正の行為により入場税金二万五千二百円を前示法律の定める期間内に納付せずこれを逋脱した逋脱罪既遂の事実を確定判示した趣旨であることは原判文明白である。原判示第二乃至第四の事実も亦同様である。論旨は何時如何なる内容の申告書を甲府税務署長に提出したか、それか如何に虚偽であつたか、納税期は何時であつたか、その時期に正当な額の税を納付しなかつたかどうか、正当な税額と実際に納付した額との差額如何等を具体的に判示すべきである、しかるに原判決は此等の点についての判示がないにもかかわらず逋脱罪の既遂として処断しているのは理由不備の違法があるというのである。しかし原判決は逋脱罪の判示として前記の如く申告書の内容に不正の記載のある事実を示しておりその不正の記載というのは原判決が脱税したと認定した税金の額だけ申告書に記載されていなかつた趣旨であることは自ら明らかであり、これにより逋脱罪の構成要件中の不正の行為の存した事実は具体的に判示されているものといえるのである。そしてその申告書の提出された日時は必ずしもこれを判示する必要はない。また本件では税務署長が入場税法六条ノ二但書により申告を不相当と認め課税標準額を決定するというが如き税法上の特別の行政的措置を執つていないので即ち申告を相当としていたことが原判決挙示の証拠から認められるので入場税の納期は同条ノ三の規定により翌月末日迄であることは明らかであり原判示は入場税金……円を逋脱しと判示してあるから納期に納むべき税を納付しなかつた趣旨であることも明らかである。また本件の如く証拠により脱税額を算定できる場合には逋脱罪の判示としてはその脱税額を判示するをもつて足り正当な税額と実際に納付した額との差額を算定する必要はない。
以上の理由により本件においては入場税逋脱罪の事実摘示として稍々簡単に過ぎる嫌はあるが判示事実を入場税法の諸規定及び原判決挙示の証拠に照らし逋脱罪既遂の事実が十分に認められるから原判決には所論の如き理由不備の違法ありということはできない。よつて刑訴施行法二条旧刑訴四四六条により主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員一致の意見である。
検察官 橋本乾三関与
昭和二七年一〇月三日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 霜 山 精 一 裁判官 栗 山 茂 裁判官 小 谷 勝 重 裁判官 藤 田 八 郎
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