判例検索β > 平成29年(オ)第1725号
請求異議事件
事件番号平成29(オ)1725
事件名請求異議事件
裁判年月日平成30年12月18日
法廷名最高裁判所第三小法廷
裁判種別決定
結果その他
判示事項最高裁判所は,民訴規則203条所定の事由があるとしてされた民訴法324条に基づく移送決定について,当該事由がないと認めるときは,これを取り消すことができる
裁判日:西暦2018-12-18
情報公開日2018-12-21 20:00:03
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平成29年(オ)第1725号請求異議事件
平成30年12月18日第三小法廷決定

主文
高松高等裁判所が平成29年11月30日にした本件を
最高裁判所に移送する旨の決定を取り消す。
理1由
上告裁判所である高松高等裁判所は,平成29年11月30日,要旨以下の
とおり判断して,民訴法324条に基づき,本件を最高裁判所に移送する旨の決定(以下本件決定という。)をした。
債権執行の申立てをした債権者が当該債権執行の手続において配当等により請求債権の一部について満足を得た後に当該申立てを取り下げた場合,当該申立てに係る差押えによる時効中断の効力が民法154条により初めから生じなかったことになると解するのは相当でない。このような法令解釈に関する意見(以下本件意見という。)は,最高裁平成8年(オ)第2422号同11年9月9日第一小法廷判決・裁判集民事193号685頁(以下平成11年判決という。)と相反するから,民訴規則203条所定の事由がある。
2
民訴法324条は,上告裁判所である高等裁判所は,最高裁判所規則で定め
る事由があるときは,事件を最高裁判所に移送しなければならない旨を定め,民訴規則203条は,法令等の解釈について当該高等裁判所の意見が最高裁判所等の判例と相反するときに上記事由があると定めている。そして,民訴法22条1項は,

確定した移送の裁判は,移送を受けた裁判所を拘束する。

と規定しているものの,その趣旨が主として第1審裁判所の間で移送が繰り返されることによる審理の遅延等を防止することにあることに照らせば,同法324条に基づく高等裁判所の移送決定が上記移送の裁判に含まれると解すべきではない。むしろ,民訴規則203条の趣旨が,同条所定の事由がある場合に高等裁判所が判決をすると,当該判決が最高裁判所等の判例と相反することとなるため,事件を最高裁判所に移送させることによって法令解釈の統一を図ろうとするものであることに照らせば,同条所定の事由の有無についての高等裁判所の判断と最高裁判所の判断が異なる場合には,最高裁判所の判断が優先するというべきである。
したがって,最高裁判所は,民訴規則203条所定の事由があるとしてされた民訴法324条に基づく移送決定について,当該事由がないと認めるときは,これを取り消すことができると解するのが相当である。
3
本件決定についてみると,平成11年判決は,担保不動産競売の申立てをし
た債権者が当該競売の手続において請求債権の一部又は全部の満足を得ることなく当該申立てを取り下げた場合について判断したものであって,債権執行の申立てをした債権者が当該債権執行の手続において配当等により請求債権の一部について満足を得た後に当該申立てを取り下げた場合についての本件意見とは前提を異にしているというべきである。したがって,本件意見は平成11年判決と相反するものではなく,本件決定に係る民訴規則203条所定の事由はないと認められる。4
よって,本件決定を取り消すこととし,裁判官全員一致の意見で,主文のと
おり決定する。
(裁判長裁判官

景一

岡部喜代子

裁判官

裁判官

山崎敏充

宮崎裕子)
裁判官

戸倉三郎

裁判官

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