判例検索β > 平成29年(ワ)第16468号
特許権侵害差止請求事件 特許権 民事訴訟
事件番号平成29(ワ)16468
事件名特許権侵害差止請求事件
裁判年月日平成31年1月17日
法廷名東京地方裁判所
裁判日:西暦2019-01-17
情報公開日2019-02-06 08:19:59
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平成31年1月17日判決言渡

同日原本交付

平成29年(ワ)第16468号
口頭弁論終結日

裁判所書記官

特許権侵害差止請求事件

平成30年10月9日
判決原告
アムジエン・インコーポレーテツド

同訴訟代理人弁護士

大野聖二山口裕司多田宏文
同補佐人弁理士

森田被
サノフィ株式会社

告裕
同訴訟代理人弁護士

三村量一東崎賢治中島松下昂永
同訴訟代理人弁理士

南条雅裕
っっっっっっ同補佐人弁理士

瀬田あや子伊波興一朗主1慧文
被告は,別紙被告製品目録記載の製剤の生産,譲渡,輸入又は譲渡の申出をしてはならない。

2
被告は,
別紙被告モノクローナル抗体目録記載のモノクローナル抗体の生産,譲渡,輸入又は譲渡の申出をしてはならない。
34
原告のその余の請求を棄却する。

5
被告は,別紙被告製品目録記載の製剤を廃棄せよ。

訴訟費用は被告の負担とする。

6
原告のために,この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。事実及び理由

第1

請求

1
主文第1項ないし3項と同旨

2
被告は,別紙被告モノクローナル抗体目録記載のモノクローナル抗体を廃棄せよ。

第2

事案の概要
本件は,発明の名称をプロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9型(PCSK9)に対する抗原結合タンパク質とする特許権(同一名称の2件の特許権)を有する原告が,被告に対し,被告による別紙被告製品目録記載の製剤(以下被告製品という。)及び被告製品の原薬である別紙被告
モノクローナル抗体目録記載のモノクローナル抗体(以下被告モノクローナル抗体という。)の生産,販売等が,原告の特許権を侵害する旨を主張して,被告製品及び被告モノクローナル抗体の生産等の差止め及び廃棄を求める事案である。
1
前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
当事者
原告は,医薬品等の製造,販売及び輸出等を業とするアメリカ合衆国法人である。

被告は,医薬品等の製造,販売,輸入等を業とする株式会社である。原告の特許権

原告は,以下の特許権(以下本件特許権1といい,その特許を本件特許1といい,
その特許出願の願書に添付された明細書及び図面を
本件明細書1という。
)を有している(甲1,2)

特許番号
登録日

平成27年3月6日

出願番号

特願2013-195240

出願日

第5705288号

平成25年9月20日(特願2010-522084の分
割)

原出願日
優先日

平成20年8月22日
平成20年1月9日,同年8月4日(以下本件優先日
という。


優先権主張国
発明の名称

米国
プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9型
(PCSK9)に対する抗原結合タンパク質


原告は,以下の特許権(以下本件特許権2といい,その特許を本件特許2といい,
その特許出願の願書に添付された明細書及び図面を
本件明細書2という。また,本件特許1及び2を併せて本件各特許といい,本件特許権1及び2を併せて本件各特許権といい,本件明細書1及び2を併せて本件各明細書という。以下,本件各明細書として示
す段落番号は,
本件明細書1及び2の同一の段落番号を指す。を有してい

る(甲3,4)

特許番号
登録日

平成28年3月25日

出願番号
第5906333号

特願2015-33054

出願日

平成27年2月23日(特願2013-195240の分
割)
原出願日

平成20年8月22日

優先日

平成20年1月9日,同年8月4日(以下本件優先日
という。


優先権主張国
発明の名称

米国
プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9型
(PCSK9)に対する抗原結合タンパク質

構成要件の分説

本件特許1
本件特許1の請求項1記載の発明(以下本件発明1-1という。

は,
次のとおり分説することができる
(以下,
それぞれの構成要件を
構成要件1Aなどという)

1A

PCSK9とLDLRタンパク質の結合を中和することができ,

1B

PCSK9との結合に関して,配列番号368,175及び18
0のアミノ酸配列からそれぞれなるCDR1,2及び3を含む重鎖と,
配列番号158,
162及び395からそれぞれなるCDR1,

2及び3を含む軽鎖とを含む抗体と競合する,
1C

単離されたモノクローナル抗体。

本件特許1の請求項9記載の発明のうち請求項1に関する発明(以下本件発明1-2といい,本件発明1-1と併せて本件発明1と
いう。
)は,上記構成要件1A,1B,1Cのほか,次のとおり分説する
ことができる。
1D

を含む,医薬組成物。

本件特許2
本件特許2の請求項1記載の発明(以下本件発明2-1という。


は,次のとおり分説することができる。
2A

PCSK9とLDLRタンパク質の結合を中和することができ,
2B

PCSK9との結合に関して,配列番号247,256及び26
5のアミノ酸配列からそれぞれなるCDR1,2及び3を含む重鎖と,
配列番号222,
229及び238からそれぞれなるCDR1,
2及び3を含む軽鎖とを含む抗体と競合する,

2C

単離されたモノクローナル抗体。

本件特許2の請求項5記載の発明のうち請求項1に関する発明(以下本件発明2-2といい,本件発明2-1と併せて本件発明2と
いう。
)は,上記構成要件2A,2B,2Cのほか,次のとおり分説することができる。
2D

を含む,医薬組成物。

訂正請求及び訂正後の構成要件
原告は,本件各特許の無効審判請求(本件特許1につき無効2016-800004,本件特許2につき無効2016-800066)において,平成29年5月8日付けで,本件各特許の特許請求の範囲を訂正することを請求した(甲11の1,2。以下本件訂正請求という。。


本件特許1
訂正後の本件特許1の請求項1記載の発明(以下本件訂正発明1-1という。)は,次のとおり分説することができる。
1A

PCSK9とLDLRタンパク質の結合を中和することができ,

1B’PCSK9との結合に関して,配列番号49のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖と,配列番号23のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖とを含む抗体と競合する,
1C

単離されたモノクローナル抗体。

訂正後の本件特許1の請求項9記載の発明のうち請求項1に関する発明(以下本件訂正発明1-2といい,本件訂正発明1-1と併せて本件訂正発明1という。
)は,上記構成要件1A,1B’
,1Cの
ほか,次のとおり分説することができる。
1D

を含む,医薬組成物。

本件特許2
訂正後の本件特許2の請求項1記載の発明(以下本件訂正発明2-1という。)は,次のとおり分説することができる。
2A

PCSK9とLDLRタンパク質の結合を中和することができ,

2B’PCSK9との結合に関して,配列番号67のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖と,配列番号12のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖とを含む抗体と競合する,
2C

単離されたモノクローナル抗体。

本件特許2の請求項5記載の発明のうち請求項1に関する発明(以下本件訂正発明2-2といい,本件訂正発明2-1と併せて

本件訂正発明2という。)は,上記構成要件2A,2B’,2Cのほか,次のとおり分説することができる。2Dを含む,医薬組成物。本件発明1の構成要件1Bの「抗体

は,本件明細書1で21B12抗体と呼ばれる抗体(以下21B12参照抗体という。
)と同一の重鎖及び軽
鎖のCDR1~3のアミノ酸配列を有する抗体であり,本件訂正発明1の構成要件1B’は,21B12参照抗体を重鎖可変領域のアミノ酸配列と軽鎖可変領域のアミノ酸配列で特定したものである。
また,本件発明2の構成要件2Bの抗体は,本件明細書2で31H4抗体と呼ばれる抗体(以下31H4参照抗体という。
)と同一の重鎖及び
軽鎖のCDR1~3のアミノ酸配列を有する抗体であり,本件訂正発明2の構成要件2B’は,31H4参照抗体を重鎖可変領域のアミノ酸配列と軽鎖
可変領域のアミノ酸配列で特定したものである(以下,21B12参照抗体又は31H4参照抗体について,本件参照抗体
単に
ということがある。。

被告の行為
被告は,被告製品の輸入,譲渡,譲渡の申出を行っている。
2
争点
被告製品及び被告モノクローナル抗体は本件発明1及び本件訂正発明1並びに本件発明2及び本件訂正発明2(以下本件各発明と総称する。)の技

術的範囲に属するか
本件各特許の無効理由の有無
被告は,本件各特許には以下の無効事由(本件特許1及び本件特許2に共通する無効事由)があると主張する。

サポート要件違反


実施可能要件違反


ThomasA.Lagaceら著,TheJournalofClinicalInvestigation,116巻11号(乙1。平成18年11月発行。以下乙1文献という。
)記載
の発明に基づく進歩性欠如
被告製品についての生産の差止め及び被告モノクローナル抗体についての
生産,譲渡等の差止めの必要性の有無
3
争点に関する当事者の主張
被告製品及び被告モノクローナル抗体は本件各発明の技術的範囲
に属するか)について

(原告の主張)

被告モノクローナル抗体は,本件発明1-1,本件訂正発明1-1,本件発明2-1及び本件訂正発明2-1の技術的範囲に属し,また,被告製品は,本件発明1-2,本件訂正発明1-2,本件発明2-2及び本件訂正発明2-2の技術的範囲に属する。


これに対し,被告は,本件各発明は,本件参照抗体と競合するという特性(構成要件1B,1B’
,2B,2B’
)で特定されるいわゆる機能的ク
レームであり,機能的クレームは明細書に開示された技術思想とは全く異なるものまでも,文言上その技術的範囲に含まれることになるから,クレームの記載に加え,明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌し,出願人が明細書で開示した具体的な構成に示された技術思想に基づいて当該発明の技術的範囲を確定すべきであり,明細書の記載から当業者が実施し得る範
囲に限定すべきであるなどと主張する。しかしながら,本件各発明は,本件各明細書に開示された技術思想とは異なるものまでも技術的範囲に含むものではない。また,発明の技術的範囲は,特許請求の範囲の記載に基づき,明細書の記載を考慮して解釈すれば足り,機能的クレームであることを理由として解釈の手法を変更する必要はない。


被告は,本件各明細書には,本件参照抗体と競合する膨大な数の抗体がPCSK9とLDLRタンパク質の結合を中和することができる抗体(以下PCSK9-LDLR結合中和抗体という。
)であることの根拠は全
く示されていないと主張する。しかしながら,本件各明細書には,21B
12参照抗体及び31H4参照抗体が,PCSK9とLDLRの相互作用を遮断するのにも効果的な位置に結合する抗体であり【図19】図20】(

【図27】,PCSK9に対して極めて強い結合を示すこと(段落【03)
72】,21B12参照抗体及び31H4参照抗体は上記特性のためにP)
CSK9とLDLRとの相互作用を効果的に中和することができること
(段落【0378】
)が記載されている。そして,21B12参照抗体及び
31H4参照抗体は,LDLRのEGFaドメインと直接相互作用するPCSK9上の小さいが重要な領域に結合するため,本件参照抗体と競合する中和抗体は同じメカニズムでPCSK9とLDLRの結合を中和することができるから(段落【0269】等)
,本件参照抗体と競合するという特

性がPCSK9とLDLRとの相互作用を中和するよい指標となる。このように,本件各明細書には,本件参照抗体と競合する抗体の特性の有用性が科学的に示されている。

被告は,A教授の供述書(乙4)に基づき,本件参照抗体と競合する抗体はPCSK9-LDLR結合中和抗体であるとは限らないと主張する。しかしながら,B教授が意見書(甲34)において指摘するとおり,A教授の分析は参照抗体のエピトープ外周の2アミノ酸から20Åの領域に
結合する抗体が全て参照抗体と結合する等の誤った前提に基づくものである。また,A教授はPCSK9の表面の立体形状を無視しており,A教授が競合領域と称する領域は,PCSK9-LDLR中和抗体ではあるが,参照抗体と競合しない抗体が結合する領域を含んでいる。このようにA教授の分析は技術常識に反するものである。

(被告の主張)

特許請求の範囲が作用的又は機能的な表現で記載されている場合(いわゆる機能的クレーム)当該機能ないし作用効果を果たし得る構成全てを技,
術的範囲に含まれると解すると,明細書に開示された技術思想と異なるも
のも発明の技術的範囲に含まれ得ることとなり,出願人が発明した範囲を超えて特許権による保護を与える結果となるから,機能的クレームについては,
クレームの記載に加え,
明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌し,
出願人が明細書で開示した具体的な構成に示された技術思想に基づいて当該発明の技術的範囲を確定すべきであり,明細書の記載から当業者が実施
し得る範囲に限定すべきである。
本件各発明は,抗体のアミノ酸配列を全く特定せず,本件参照抗体と競合する機能のみによって発明を特定する機能的クレームであり,PCSK9-LDLR結合中和抗体であれば,本件参照抗体とは全く異なるアミノ酸配列を有する抗体も,本件参照抗体と競合する限り本件各発明の範囲に
含まれることになる。本件参照抗体と競合するPCSK9-LDLR結合中和抗体は多種多様なものが想定され,未だ知られていない膨大な数の抗体が含まれ得ることになる。
そこで,本件各発明についても,本件各明細書に開示されている具体的な構成に示された技術思想に基づいて技術的範囲を確定する必要がある。イ
本件優先日当時,PCSK9の存在やその配列,PCSK9がLDLRの分解を通じてLDL-Cを調節することは既に知られており,PCSK9を阻害することにより血中コレステロールを低下させること,抗体によってPCSK9とLDLRとの結合を阻害することによる高脂血症の治療方法も既に提案されていたから,本件各発明の特徴は,PCSK9-LDLR結合中和抗体自体を見出したことではなく,本件参照抗体と競合する
という特性を見出した点にある。
しかしながら,本件各明細書では,本件参照抗体と競合するか否かの試験を行う前に,PCSK9とLDLRとの結合を中和することができる抗体をスクリーニングし,PCSK9に対する抗体の最も高い力価を有するハイブリドーマを同定しているから(段落【0171】
【0326】~【0

336】
【0373】~【0376】
【0489】~【0495】,PCS

K9との結合に関して,本件参照抗体と競合する抗体であれば,PCSK9とLDLRの結合を中和することができるという技術思想を読み取ることはできない。
また,本件各明細書においては,本件発明1及び本件訂正発明1に含ま
れ得る抗体として,27E7抗体,1A12抗体,23B5抗体及びこれらの抗体の変異体の3グループの抗体が,本件発明2及び本件訂正発明2に含まれ得る抗体として,31H4抗体,28D6抗体及びその変異体の2グループ抗体が,
それぞれ開示されているにすぎない
(段落
【0138】
【0171】
【0489】~【0495】。


抗体の技術分野においては,抗体のアミノ酸配列において,わずか一つのアミノ酸が置換,付加,欠失しただけでも,置換等の位置や種類によっては,結合特異性をほとんど失うことは顕著な技術常識である。実験により具体的に特定の種類のアミノ酸への置換が許容されることが示されたアミノ酸については,例外的に同種アミノ酸への置換が許容され得ることを認識し得るにすぎず,
その他のアミノ酸については,
1アミノ酸が置換,
付加,欠失しただけでも,結合特異性をほとんど失う可能性があるから,本件各明細書の実施例に記載された3グループないし2グループの抗体のみによって,本件参照抗体と競合する膨大な数の抗体全てがPCSK9-LDLR結合中和抗体であるとはおよそいえず,本件各明細書には,本件参照抗体と競合する膨大な数の抗体がPCSK9-LDLR結合中和
抗体であることの根拠は全く示されていない。
そもそも,ある抗体が本件参照抗体と競合するという意味は,当該抗体が,本件参照抗体と物理的な障害を生じさせる位置でPCSK9に結合することを意味するが,当該位置がPCSK9とLDLRとの結合を阻害する位置であるとは限らないから,本件参照抗体と競合する抗体がPCSK
9-LDLR結合中和抗体であるとは限らない。A教授も供述書(乙4)において,本件参照抗体と競合するPCSK9-LDLR結合中和抗体が結合し得る領域を解析した上で,本件参照抗体と競合する抗体であれば,PCSK9-LDLR結合中和抗体であるとはいえないと結論付けている。

そうすると,本件各明細書の記載から当業者が実施可能な範囲は,本件各明細書記載の具体的な抗体又は当該抗体に対して特定の位置のアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列を有する抗体に限られるから,本件各発明の技術的範囲は,本件各明細書にアミノ酸配列が記載された具体的な抗体又は当該抗体に対して特定の位置のアミノ
酸の1若しくは数個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列を有する抗体に限定される。具体的には,本件発明1-1の技術的範囲は,別紙表Aのアミノ酸配列を有する抗体又はこの抗体に対して特定の位置のアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列を有する抗体であって,構成要件1A及び1Cを充足する抗体であり,本件発明1-2の技術的範囲は,本件発明1-1の技術的範囲に属する抗体を含む医薬組成物であり,本件発明2-1の技術的範囲は,別紙表Bのアミノ酸配列を有
する抗体又はこの抗体に対して特定の位置のアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列を有する抗体であって,構成要件2A及び2Cを充足する抗体であり,本件発明2-2の技術的範囲は,本件発明2-1の技術的範囲に属する抗体を含む医薬組成物であると解される。また,本件訂正発明1の技術的範囲は本件発明1の技術的範囲を実質
的に変更するものではなく,本件訂正発明2の技術的範囲は本件発明2の技術的範囲を実質的に変更するものではない。
そして,被告モノクローナル抗体のアミノ酸配列は,上記各抗体又は当該抗体に対して特定の位置のアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列とは全く異なるものであるから,被告モノクローナ
ル抗体及び被告製品は,本件各発明の技術的範囲に属しない。

これに対し,原告は,本件参照抗体はPCSK9とLDLRとの相互作用を効果的に中和することができること,本件参照抗体は,LDLRのEGFaドメインと直接相互作用するPCSK9上の小さいが重要な領域
に結合するため,本件参照抗体と競合する中和抗体は,本件参照抗体と同じメカニズムでPCSK9とLDLRの結合を中和することができるから,本件参照抗体と競合するという特性がPCSK9とLDLRとの相互作用を中和するよい指標となると主張する。
しかしながら,本件参照抗体と競合する抗体のPCSK9上の結合位置
は具体的に明らかではない。かえって,A教授が供述書(乙4)で指摘するとおり,本件参照抗体と競合する抗体の結合位置は,PCSK9の表面積の約3分の1を占め,LDLRとの結合を中和することのできない範囲に及ぶこと,本件参照抗体と競合する抗体ではあるが,本件参照抗体と同様に効果的な結合部位でPCSK9に結合しない抗体も容易に想定できることからすれば,本件参照抗体と競合する中和抗体が,本件参照抗体と同じメカニズムでPCSK9とLDLRの結合を中和することができる
とはいえない。
また,本件参照抗体と競合する抗体の結合親和性は明らかではなく,本件参照抗体と競合するという特性と抗体の結合親和性には何らの関係性もない。
したがって,本件参照抗体と競合するという特性がPCSK9とLDL
Rとの相互作用を中和するよい指標となるとはいえない。
争点

-ア(サポート要件違反)について

(被告の主張)

前記

のとおり,本件各発明は,抗体のアミノ酸配列を全

く特定せず,本件参照抗体と競合する機能によって発明を特定する機能的クレームであり,膨大な数の抗体が発明の範囲に含まれ得るが,本件各明細書においては,本件各発明に文言上含まれ得る抗体として,わずか3グループ又は2グループの抗体しか提供されておらず,本件参照抗体と競合する膨大な数の抗体全てがPCSK9-LDLR結合中和抗体である根拠
は全く示されていない。抗体の技術分野においては,抗体のアミノ酸配列において,わずか1つのアミノ酸が置換,付加,欠失しただけでも,置換等の位置や種類によっては,結合特異性をほとんど失うことは顕著な技術常識であるから,当業者が,本件各明細書の記載から,本件各明細書記載の具体的な抗体又は当該抗体に対して特定の位置のアミノ酸の1若しくは
数個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列を有する抗体以外の,本件参照抗体と競合する膨大な数の抗体全てがPCSK9-LDLR結合中和抗体であると認識することはできない。
また,

本件参照抗体と競合する抗体がP

CSK9-LDLR結合中和抗体であるとは限らないから,当業者が,本件各明細書の記載から,本件参照抗体と競合する抗体がPCSK9-LDLR結合中和抗体であると認識することはできない。

さらに,本件各発明は,抗体のアミノ酸配列を全く特定せず,抗体の選別,取得方法(スクリーニング方法)によって特定される発明であるともいえるところ,前記

のとおり,本件各明細書には,本件参

照抗体と競合するか否かの試験を行う前に,PCSK9とLDLRとの結合を中和することができる抗体をスクリーニングし,PCSK9に対する
抗体の最も高い力価を有するハイブリドーマを同定しているから,当業者は,本件各明細書の記載のスクリーニング方法から,本件参照抗体と競合する抗体がPCSK9-LDLR結合中和抗体であると認識することはできない。
なお,本件各発明は,解決すべき課題であるPCSK9とLDLRタンパク質の結合を中和することができる抗体が,本件発明の特許請求の範囲となっているが(構成要件1A,構成要件2A)
,発明における解決す
べき課題を発明特定事項とするだけで,直ちにサポート要件に適合することにならないから,解決すべき課題が特許請求の範囲に記載されていることは,サポート要件を充足することを肯定する根拠とはならない。

原告は,本件参照抗体と競合する中和抗体は同じメカニズムでPCSK9とLDLRの結合を中和することができるから,本件参照抗体と競合するという特性がPCSK9とLDLRとの相互作用を中和するよい指標となると主張するが,本件各明細書には,本件参照抗体と競合する抗体が本
件参照抗体と同じメカニズムでPCSK9とLDLRの結合を中和することや,本件参照抗体と競合するという特性がPCSK9とLDLRとの相互作用を中和するよい指標となることの根拠は何ら示されておらず,当業者が本件各明細書から,本件参照抗体と競合するという特性がPCSK9とLDLRとの相互作用を中和するよい指標となると認識することはできない。

したがって,当業者は本件各明細書の記載からPCSK9-LDLR結合中和抗体の提供という本件各発明の課題を解決できると認識することはできず,本件各発明はサポート要件に違反する。

(原告の主張)

前記

の原告の主張のとおり,本件各明細書には,21B12参照抗体

及び31H4参照抗体が,PCSK9とLDLRの相互作用を遮断するの
にも効果的な位置に結合する抗体であり,PCSK9に対して極めて強い結合を示すこと,21B12参照抗体及び31H4参照抗体は上記特性のためにPCSK9とLDLRとの相互作用を効果的に中和することができること,本件参照抗体と競合する中和抗体は同じメカニズムでPCSK9とLDLRの結合を中和することができるから,本件参照抗体と競合す
るという特性がPCSK9とLDLRとの相互作用を中和するよい指標となることが記載されている。なお,例外的に,本件参照抗体と競合するが,PCSK9-LDLR結合中和抗体ではない抗体があったとしても,PCSK9とLDLRとの結合を中和するか否かを確認することで容易に取り除くことができ,本件各発明は,PCSK9-LDLR結合中和抗
体であることを構成要件とするものであるから(構成要件1A,2A),上記のような例外的な抗体は本件各発明の技術的範囲に含まれない。したがって,当業者は,本件各明細書の記載から,PCSK9-LDLR結合中和抗体の提供という本件各発明の課題を解決できると認識することができるから,本件各発明はサポート要件に違反するとはいえない。

被告は,本件各発明は,抗体のアミノ酸配列を全く特定せず,本件参照抗体と競合する特性によって発明を特定する機能的クレームであり,膨大な数の抗体が発明の範囲に含まれ得るが,
抗体は1アミノ酸が置換,
付加,
欠失しただけでも,置換等の位置や種類によっては,結合特異性をほとんど失う可能性があり,本件参照抗体と競合することという抗体が有すべき機能が特定されたからといって,当該機能を有する抗体の構造を当業者が理解することはできないなどと主張する。
しかしながら,当業者は,本件各発明の技術的範囲に含まれる抗体のアミノ酸配列を知らなくても,本件各明細書記載のスクリーニング方法によって,本件参照抗体と競合し,PCSK9とLDLRの結合を中和する特
性を有する抗体を特定することができるから,抗体を作製し,特性を特定する前に,アミノ酸配列を把握することは必要ではなく,アミノ酸配列が特定されていないからといってサポート要件に違反するとはいえない。争点

-イ(実施可能要件違反)について

(被告の主張)
前記

の被告の主張のとおり,本件各発明は,抗体のアミノ酸配列を全く
特定せず,本件参照抗体と競合する機能によって発明を特定する機能的クレームであり,膨大な数の抗体が発明の範囲に含まれ得る。抗体は1アミノ酸が置換,付加,欠失しただけでも,置換等の位置や種類によっては,結合特異性をほとんど失う可能性があることは顕著な技術常識であるから,本件参照抗体と競合することという抗体が有すべき機能が特定されたからといって,当該機能を有する抗体の構造を当業者が理解することはできず,当業者は,本件各明細書の実施例で開示された抗体以外の,構造が特定されていない本件発明に含まれる,ありとあらゆる抗体を取得するには,無数の抗体を製造し続け,各試験を行い続ける必要がある。

本件各発明は物の発明であり,特許請求の範囲全体に含まれる個々の抗体について,実施可能要件を充足する必要があるが,上記のとおり,本件各明細書で開示されている具体的な抗体以外の,文言上は本件各発明の範囲に含まれる膨大な抗体全体を得るためには,本件各明細書に記載された作業を遙かに上回る,莫大な試行錯誤が必要となり,実施可能要件に違反する。また,
医薬等の物の発明が,
スクリーニング方法によって特定される場合,
当業者がそのような医薬等を製造するためには,明細書の記載から有効成分たる化合物が何であるかを理解・把握する必要があり,その際は,有効成分たる化合物を化学構造の観点から化合物自体として把握する必要があるところ,医薬等をスクリーニング方法で特定したところで,ある化学構造の化合物を含む組成物が当該発明に該当するかどうかを認識・判断することはでき
ないから,スクリーニング方法によって特定される物の発明が実施可能要件を満たすことはない。
(原告の主張)
前記

の原告の主張のとおり,当業者は,本件各発明の技術的範囲に含ま
れる抗体のアミノ酸配列を知らなくても,
本件各明細書記載のスクリーニン
グ方法によって,本件参照抗体と競合し,PCSK9とLDLRの結合を中和する特性を有する抗体を作製することができる。被告が主張するように,本件各発明を実施するために技術的範囲に含まれるあらゆる抗体のアミノ酸配列を把握する必要はなく,
本件各発明の範囲に含まれる抗体を得るため
に莫大な試行錯誤が要求されることはない。したがって,本件各発明は実施
可能要件に違反しない。
争点

-ウ(乙1文献記載の発明に基づく進歩性欠如)について

(被告の主張)

乙1文献は,PCSK9がLDLRに対して細胞外で作用し,血液中のPCSK9が細胞表面のLDLRを減少させ,血中コレステロールの濃度
を上昇させること,PCSK9とLDLRタンパク質との相互作用をブロックする抗体を用いて,PCSK9の活性を中和することが高コレステロール血症の治療のために有用であり得ることが記載されており,乙1文献によって,当業者は,PCSK9とLDLRとの結合を阻害することで,コレステロール濃度の上昇が抑制できることを当然に理解することができ,PCSK9-LDLR結合中和抗体を取得し,その有用性を試験することを明示的に動機付けられている。この点に関し,原告は,乙1文献には,
PCSK9の作用部位が細胞内で機能するのか,細胞外で機能するのか記載されておらず,また,PCSK9-LDLR結合中和抗体は取得されていないと主張する。しかしながら,原告は乙1文献の記載を恣意的に部分的に引用しており,乙1文献は,PCSK9のLDLRに対する作用機序として,PCSK9がLDLRに対して細胞外で作用することが明示され
ており,PCSK9-LDLR結合中和抗体が実際には取得されていないとしても,高コレステロール血症の治療のためのPCSK9-LDLR結合中和抗体という技術思想自体は明示されている。したがって,乙1文献は,当業者に対してPCSK9-LDLR結合中和抗体の開発を明示的に動機付けているといえる。


そこで,当業者が乙1文献から取得することができる抗体と本件各発明を対比すると,
PCSK9-LDLR結合中和抗体である
(構成要件1A,
2A)という点で一致するが,乙1文献には,①当該抗体が,本件参照抗体と競合すること(構成要件1B,1B’
,2B,2B’,②単離されたモ


ノクローナル抗体であること(構成要件1C,2C)については明示的に記載されていない。なお,本件発明1-2及び本件訂正発明1-2の構成要件1D並びに本件発明2-2及び本件訂正発明2-2の構成要件2Dの医薬組成物については,乙1文献には,PCSK9-LDLR結合中和抗体の用途として,
高コレステロール血症の治療
が明示的に記載され

ており,これは,当業者にとって,PCSK9-LDLR結合中和抗体を医薬組成物
(構成要件1D,2D)として用いることを意味することは
明らかであるから,相違点ではない。
相違点①について,本件各明細書には,本件参照抗体と競合するか否かを何ら指標とすることなく,PCSK9-LDLR結合中和抗体を複数作製したところ,そのような抗体のほとんどが,本件参照抗体と競合するものであったが記載されている。また,A教授が供述書(乙4)で指摘するとおり,PCSK9-LDLR結合中和抗体を取得した場合,その中には本件参照抗体と競合する抗体が多く含まれており,少なくとも所定の割合で含まれているから,当業者は,乙1文献及び周知技術に基づき,何らかのPCSK9-LDLR結合中和抗体をいくつか作製するだけで,本件参
照抗体と競合する結合中和抗体を取得し得た。また,本件参照抗体と競合する抗体がPCSK9-LDLR結合中和抗体であるとは限らないことから,本件参照抗体と競合するとの特性に技術的な意義は全くなく,本件参照抗体と競合するとの発明特定事項
(構成要件1B,
1B’2B,

2B’

は,本件各発明に対して進歩性を付与するものではない。

また,相違点②について,乙1文献によってPCSK9-LDLR結合中和抗体の取得を動機付けられた当業者は,本件優先日当時の標準的な技術であるモノクローナル抗体作製方法を用いて,例えば,抗原としてPCSK9を用いて動物を免疫化することにより,PCSK9に特異的に結合するモノクローナル抗体を特段の困難もなく取得することができる。そし
て,そのようにして種々のモノクローナル抗体を取得した上で,本件優先日当時の標準的な技術であるスクリーニング方法を用いて,それら種々のモノクローナル抗体が,PCSK9とLDLRとの結合を中和するか否かを試験し,そのような結合中和抗体を選別することも可能である。したがって,乙1文献及び周知技術に基づき,当業者は,何らかのPCSK9-
LDLR結合中和抗体を単離されたモノクローナル抗体として容易に取得し得た。

したがって,本件各発明はいずれも乙1文献及び周知技術に基づき進歩性を欠く。

(原告の主張)

乙1文献には,PCSK9とLDLRとの相互作用を中和する抗体の開示すらないから,PCSK9-LDLR結合中和抗体である点(構成要件1A,2A)も相違点となる。
PCSK9-LDLR結合中和抗体を得るためには,スクリーニングのための適切な特性を規定し,適切なスクリーニング方法を構築し,実施する必要があるが,乙1文献には,単にPCSK9タンパク質が記載されて
いるにとどまり,PCSK9-LDLR結合中和抗体を得るための特性やスクリーニング方法等は一切記載されていないから,乙1文献には,PCSK9-LDLR結合中和抗体は記載されているとはいえず,記載されているに等しいともいえない。
現在では,高コレステロール血症の患者において,PCSK9の機能の
一部を細胞外で阻害することが有効であることが知られているが,本件優先日当時は,PCSK9の機能や作用部位は明らかになっておらず,世界中の企業や研究者は,PCSK9の機能や作用部位,抑制方法を探っていたが,PCSLK9-LDLR結合中和抗体の研究を進めている者は皆無であった。乙1文献にも記載されているとおり,PCSK9の作用部位が
細胞内で機能するのか,細胞外で機能するのかも明らかではなかった。したがって,当業者が,乙1文献に基づき,高コレステロール血症の治療薬を開発するために,PCSK9-LDLR中和抗体を開発するという動機付けは存在しない。
また,本件各明細書に記載された抗体の作製方法や固相化法は原告が本
件発明のために開発した新技術であり,乙1文献や本件優先日前の抗体の取得方法に関する周知技術を用いても,PCSK9-LDLR中和抗体を得ることは,特に固相化等に技術的障壁となり,不可能であった。さらに,乙1文献には,本件参照抗体と競合するという特性を得る記載もなく,その示唆もないから,当時の技術水準に基づき取得可能なPCSK9-LDLR結合中和抗体があるとしても,そのような抗体の中から,所定の割合でしか含まれない本件参照抗体と競合する抗体を選択することの動機付けはない。
被告は,A教授の供述書(乙4)に基づき,PCSK9-LDLR結合中和抗体のほとんどが本件参照抗体と競合するから,PCSK9-LDLR結合中和抗体を作製すれば,本件参照抗体と競合する抗体を得ることが
できると主張するが,A教授の分析が技術常識に反することは前記
の原

告の主張のとおりである。むしろ,本件各明細書には,PCSK9とLDLRとの結合を90%以上中和できる抗体が100種類得られ,そのうちの一部が本件参照抗体と競合することが示されており(段落【0332】【0493】),PCSK9-LDLR結合中和抗体のほとんどが,本件参照抗体と競合するとはいえない。
なお,被告は,本件参照抗体と競合するとの特性に技術的な意義はないの原告の主張のとおり,本件参照抗体と競合す
るとの特性はPCSK9とLDLRとの相互作用を中和するよい指標となり,技術的意義を有する。

したがって,本件各発明が,乙1文献記載の発明及び周知技術に基づき進歩性を欠くとはいえない。
争点(被告製品についての生産の差止め及び被告モノクローナル抗体についての生産,譲渡等の差止めの必要性)について
(原告の主張)

被告は,被告製品の輸入,販売,販売の申出を行っていることについては認めるものの,被告製品の生産を行っていることを否認し,また,被告製品の原薬である被告モノクローナル抗体の生産,輸入,販売,販売の申出をする予定は全くないと主張する。
しかしながら,仮に,現時点では被告が被告製品の生産を行っていないとしても,被告は,その親会社等から原薬である被告モノクローナル抗体を輸入し,これを容器に充填すれば,極めて容易に被告製品を生産することがで
きるから,被告が,今後,被告モノクローナル抗体の輸入及び被告製品の生産を行うおそれはある。また,被告モノクローナル抗体は,被告モノクローナル抗体産生細胞株をクローン培養しさえすれば極めて容易に生産できるのであるから,被告が被告モノクローナル抗体を生産するおそれがあり,また被告が被告製品を生産し,
これを販売等するおそれがあることも明らかで

ある。
したがって,
被告製品についての生産の差止め及び被告モノクローナル抗
体についての生産,譲渡等の差止めの必要性はある。
(被告の主張)
被告は,被告製品を生産しておらず,また,被告製品の原薬である被告モ
ノクローナル抗体を生産,
輸入,
販売,
販売の申出等をする予定はないから,
被告製品についての生産の差止め及び被告モノクローナル抗体についての生産,譲渡等の差止めの必要性はない。
第3
1
当裁判所の判断
本件各発明について
本件各明細書(本件明細書1(甲2)及び本件明細書2(甲4)
)の発明の
詳細な説明欄には,以下の記載がある。なお,本件特許1及び2はいずれも平成20年8月22日を国際出願日
(優先権主張国米国)
とする特許出願
(特
願2010-522084号)
の分割出願に係る特許であり,
以下の記載は,

本件明細書1及び2に共通する。

発明の分野

発明の分野本発明は,プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9型(PCSK9)に結合する抗原結合タンパク質並びに該抗原結合タンパク質を使用及び作製する方法に関する。(段落【0002】



背景技術
プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9型(PCSK9)は,低密度リポタンパク質受容体(LDLR)タンパク質のレベルの制御に関与するセリンプロテアーゼである(Horton2007;Seidahandetal.,Prat,2007)。インビトロ実験は,HepG2細胞へのPCSK9の添加は細胞表面LDLRのレベルを低下させることを示している(Benjannet004;Lagaceetetal.2,al.2006;Maxwell,al.2005;Park,etetal.2004),。マウスを用いた実験は,PCSK9タンパク質レベルを増加させることが肝臓中のLDLRタンパク質のレベルを減少させる(Benjannetl.,2004;welletLagaceal.,et2005;al.,Parket2006;etaMaxal.,2004)が,PCSK9ノックアウトマウスは肝臓中のLDLRの増加したレベルを有する(Rashidetal.2005),ことを示した。さらに,血漿LDLの増加又は減少したレベルの何れかをもたらす様々なヒトPCSK9変異が同定されているl.2006;Zhao,et(Kotowskietaal.2006),。PCSK9は,LDLRタンパク質と直接相互作用し,LDLRとともに細胞内に取り込まれ,エンドソーム経路全体を通じてLDLRと同時に免疫蛍光を発する(Lagaceetal.2006)ことが示されている。PCS,K9によるLDLRの分解は観察されておらず,細胞外LDLRタンパク質レベルを低下させる機序は不明である。PCSK9は,セリンプロテアーゼのスブチリシン(S8)ファミリー中のプロホルモン-プロタンパク質コンベルターゼである(Seidahetal.,2003)。ヒトは,S8AとS8Bサブファミリーに分けることができる9つのプロホルモン-プロタンパク質コンベルターゼを有する(Rawlingsetal,2006)フューリン,。PC1/PC3,PC2,PACE4,PC4,PC5/PC6及びPC7/PC8/LPC/SPC7は,サブファミリーS8Bに分類される。マウスフューリン及びPC1由来の異なるドメインの結晶及びNMR構造は,スブチリシン様プロドメイン及び触媒ドメイン並びに触媒ドメインのすぐC末端のPドメインを明らかにする(Henoch2003;Tangreaetetal,al,2002)。このサブファミリー内のアミノ酸配列の類似性に基づいて,7つのメンバー全てが類似の構造を有すると予想される(Henrichetal.,2005)。SKI-1/S1P及びPCSK9は,サブファミリーS8Aに分類される。これらのタンパク質との配列比較は,スブチリシン様プロドメイン及び触媒ドメインの存在も示唆する(Sakai8;Seidahetal.,et2003;al.,Seidah199etal,1999)。これらのタンパク質では,触媒ドメインに対してC末端のアミノ酸配列は,より可変的であり,Pドメインの存在を示唆しない。
(段落【0003】
【0004】


発明を実施するための形態
PCSK9に結合する抗原結合タンパク質(抗体及びその機能的結合断片など)が,本明細書に開示されている。幾つかの実施形態において,抗原結合タンパク質はPCSK9に結合し,様々な様式でPCSK9が機能を発揮するのを妨げる。幾つかの実施形態において,抗原結合タンパク質は,PCSK9が他の物質と相互作用する能力を遮断し,又は低下させる。例えば,幾つかの実施形態において,抗原結合タンパク質は,PCSK9がLDLRに結合する可能性を妨げ,又は低下させる様式で,PCSK9に結合する。他の実施形態において,抗原結合タンパク質はPCSK9に結合するが,PCSOがLDLRと相互作用する能力を遮断しない。幾つかの実施形態において,抗原結合タンパク質は,ヒトモノクローナル抗体である。当業者によって理解されるように,本発明の開示に照らせば,PCSK9とLDLRの間の相互作用を変化させることは,LDLへの結合に利用可能なLDLRの量を増加させ,続いて,これは,対象中の血清LDLの量を減少させ,対象の血清コレステロールレベルの低下をもたらす。従って,PCSK9に対する抗原結合タンパク質は,上昇した血清コレステロールレベルを有する対象,上昇した血清コレステロールレベルのリスクを有する対象又は血清コレステロールレベルの低下が有益であり得る対象を治療するための様々な方法及び組成物において使用することができる。従って,血清コレステロールの増加を低下させ,維持し,又は妨げるための様々な方法及び技術も,本明細書中に記載されている。幾つかの実施形態において,抗原結合タンパク質はPCSK9とLDLRの間の結合を可能とするが,抗原結合タンパク質はLDLRに対するPCSK9の有害な活性を妨げ,又は低下させる。幾つかの実施形態において,抗原結合タンパク質は,LDLRへのPCSK9の結合を妨げ,又は低下させる。(段落【0065】
【0066】

「プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9型又はPCSK9という用語は,配列番号1及び/又は3に記載されているポリ
ペプチド又はその断片,並びに対立遺伝子バリアント,スプライスバリアント,誘導体バリアント,置換バリアント,欠失バリアント及び/又は挿入バリアント(N末端メチオニンの付加を含む。,融合ポリペプチド及び)
種間相同体を含む(但し,これらに限定されない。
)関連ポリペプチドを表
す。ある種の実施形態において,PCSK9ポリペプチドは,リーダー配列残基,標的化残基,アミノ末端メチオニン残基,リジン残基,タグ残基及び/又は融合タンパク質残基などの(但し,これらに限定されない。)末
端残基を含む。
PCSK9は,FH3,NARC1,HCHOLA3,
プロタンパク質コンベルターゼスブチリシン/ケクシン9型及び神経アポトーシス制御コンベルターゼ1とも称されている。PCSK9遺伝子は,分泌性スブチラーゼファミリーのプロテイナーゼKサブファミリーに属
するプロタンパク質コンベルターゼタンパク質をコードする。
PCSK9という用語は,プロタンパク質及びプロタンパク質の自己触媒後に生成される産物の両方を表す。
(例えば,
切断されたPCSK9に選択的に結
合する抗原結合タンパク質に対して)自己触媒された産物のみが引用されている場合には,タンパク質は,
成熟切断されたプロセッシング,,された又は活性なPCSK9と称され得る。非活性形態のみが引用されている場合には,タンパク質は,PCSK9の非活性プロ型

又はプロセッシングを受けていない形態と称され得る。本明細書において使用されるPCSK9という用語は,変異D374Y,S127R及びF216Lなどの天然に存在する対立遺伝子も含む。PCSK9という
用語は,グリコシル化,PEG化されたPCSK9配列,そのシグナル配列が切断されたPCSK9配列,触媒ドメインからそのプロドメインから切断されているが,触媒ドメインから分離されていないPCSK9配列(例えば,図1A及び1B)など,PCSK9アミノ酸配列の翻訳後修飾を取り込んだPCSK9分子も包含する。


「PCSK9活性という用語は,PCSK9のあらゆる生物学的効果を含む。ある種の実施形態において,PCSK9活性は,基質若しくは受容体と相互作用し,又は基質若しくは受容体に結合するPCSK9の能力を含む。
幾つかの実施形態において,
PCSK9活性は,
LDL受容体
(L
DLR)に結合するPCSK9の能力によって表される。幾つかの実施形態において,PCSK9は,LDLRを含む反応に結合し,触媒する。幾つかの実施形態において,PCSK9活性は,LDLRの利用可能性を変化させる(例えば,低下させる)PCSK9の能力を含む。幾つかの実施形態において,PCSK9活性は,対象中のLDLの量を増加させるPCSK9の能力を含む。幾つかの実施形態において,PCSK9活性は,LDLへの結合に利用可能なLDLRの量を減少させるPCSK9の能力
を含む。幾つかの実施形態において,
PCSK9活性は,PCSK9シ
グナル伝達から生じるあらゆる生物活性を含む。典型的な活性には,LDLRへのPCSK9の結合,LDLR又は他のタンパク質を切断するPCSK9酵素活性,PCSK9作用を促進するLDLR以外のタンパク質へのPCSK9の結合,APOB分泌を変化させるPCSK9(・・・),肝

臓の再生及び神経細胞の分化におけるPCSK9の役割・・・が含まれるが,これらに限定されない。

本明細書において使用される「高コレステロール血症
という用語は,
コレステロールレベルが所望のレベルを上回って上昇している症状を表す。幾つかの実施形態において,これは,血清コレステロールレベルが上昇し
ていることを表す。幾つかの実施形態において,所望のレベルは,当業者に公知である(及び,本明細書に記載され,又は引用されている)様々なリスク因子を考慮に入れる。(段落【0070】~【0072】


本明細書において使用される「抗原結合タンパク質ABP

)は,
特定された標的抗原を結合するあらゆるタンパク質を意味する。本願にお
いて,
特定された標的抗原は,
PCSK9タンパク質又はその断片である。
抗原結合タンパク質には,抗体及びその結合部分(免疫学的に機能的な断片など)が含まれるが,これらに限定されない。ペプチボディは,抗原結合タンパク質の別の例である。本明細書において使用される抗体又は免疫グロブリン鎖(重鎖又は軽鎖)抗原結合タンパク質の免疫学的に機能的な断片(又は単に断片
)という用語は,完全長の鎖中に存在する
アミノ酸の少なくとも幾つかを欠如するが,抗原になお特異的に結合することができる抗体の部分(当該部分がどのようにして取得され,又は合成されたかを問わない。を含む抗原結合タンパク質の種である。

このような
断片は,標的抗原に結合し,あるエピトープへの結合に関して,完全な状態の抗体を含む他の抗原結合タンパク質と競合し得るという点で生物学的
に活性を有する。幾つかの実施形態において,断片は,中和断片である。幾つかの実施形態において,断片は,LDLRとPCSK9の間の相互作用の可能性を遮断し,又は低下させることができる。一態様において,このような断片は,完全長の軽鎖又は重鎖中に存在する少なくとも1つのCDRを保持し,幾つかの実施形態において,単一の重鎖及び/又は軽鎖又
はその一部を含む。これらの生物学的に活性な断片は,組換えDNA技術によって作製することが可能であり,又は完全な状態の抗体を含む抗原結合タンパク質の酵素的若しくは化学的切断によって作製することが可能である。免疫学的に機能的な免疫グロブリン断片には,Fab,ダイアボディ(同一鎖上の2つのドメイン間での対形成を可能にするには短すぎる短
いペプチドリンカーを介して接続された,軽鎖可変ドメインと同一のポリペプチド上の重鎖可変ドメイン)
,Fab’
,F(ab’2,Fv,ドメイ

ン抗体及び一本鎖抗体が含まれるが,
これらに限定されず,
ヒト,
マウス,
ラット,
ラクダ科の動物又はウサギなどの
(但し,
これらに限定されない)
あらゆる哺乳動物源に由来し得る。本明細書中に開示されている抗原結合
タンパク質の機能的部分,例えば,1つ又はそれ以上のCDRは,体内の特定の標的に誘導され,二機能性治療特性を有し,又は延長された血清半減期を有する治療剤を作製するために,第二のタンパク質又は小分子に共有結合され得る。当業者によって理解されるように,抗原結合タンパク質は,
非タンパク質成分を含むことができる。
本開示の幾つかの節において,
ABPの例は,
数字/文字/数字
(例えば,25A7)の形式で本明細
書中に記載されている。これらの場合,正確な名前は特異的抗体を表す。すなわち,25A7という名前のABPは,
(本明細書において,同じであ
ることが明示的に教示されていなければ
(例えば,
25A7及び25A7.
3),
)必ずしも25A7.
1という名前の抗体と同じであるとは限らない。
当業者によって理解されるように,幾つかの実施形態において,LDLR
は抗原結合タンパク質ではない。幾つかの実施形態において,LDLRの結合サブセクションは,
抗原結合タンパク質ではない
(例えば,
EGFa)

幾つかの実施形態において,PCSK9がそれを通じてインビボでシグナル伝達する他の分子は,抗原結合タンパク質でない。このような実施形態は,そのようなものとして明示的に特定される。(段落【0109】」


中和抗原結合タンパク質又は中和抗体という用語は,リガンド
に結合し,そのリガンドの生物学的効果を妨げ,又は低下させる,それぞれ,抗原結合タンパク質又は抗体を表す。これは,例えば,リガンド上の結合部位を直接封鎖することによって,又はリガンドに結合し,間接的な手段(リガンド中の構造的又はエネルギー的変化など)を通じて,リガン
ドの結合能を変化させることによって行うことができる。幾つかの実施形態において,この用語は,それが結合しているタンパク質が生物学的機能を発揮するのを妨げる抗原結合タンパク質も表し得る。抗原結合タンパク質(例えば,抗体又は免疫学的に機能的なその断片)の結合及び/又は特異性を評価する際に,抗体の過剰が(インビトロ競合的結合アッセイで使
用された場合に)少なくとも約1から20,20から30%,30から40%,
40から50%,
50から60%,
60から70%,
70から80%,
80から85%,85から90%,90から95%,95から97%,97から98%,98から99%又はそれ以上,リガンドに結合された結合対の量を低下させるときに,抗体又は断片はその結合対へのリガンドの結合を大幅に阻害することができる。幾つかの実施形態において,PCSK9抗原結合タンパク質の場合には,このような中和分子は,PCSK9がLDLRを結合する能力を低減させることができる。幾つかの実施形態において,競合アッセイを介して,中和能力を性質決定し,及び/又は記載する。幾つかの実施形態において,中和能力は,IC50又はEC50値の観点で記載される。
幾つかの実施形態において,
ABP27B2,
13H1,

13B5及び3C4は,非中和ABPであり,3B6,9C9及び31A4は弱い中和物質であり,表2中の残りのABPは強い中和物質である。幾つかの実施形態において,抗体又は抗原結合タンパク質は,PCSK9へ結合し,PCSK9がLDLRに結合するのを妨げる(又はPCSK9がLDLRに結合する能力を低下させる)ことによって中和する。幾つか
の実施形態において,抗体又はABPは,PCSK9に結合し,PCSK9をLDLRへ結合させながら,
LDLRのPCSK9媒介性分解を妨げ,
又は低下させることによって中和する。従って,幾つかの実施形態において,中和ABP又は抗体は,PCSK9/LDLR結合をなお可能にしながら,PCSK9が関与するLDLRのその後の分解を妨げる(又は低下
させる)」
。(段落【0138】

同じエピトープに対して競合する抗原結合タンパク質(例えば,中和抗原結合タンパク質又は中和抗体)という文脈において使用される場合の「競合するという用語は,
検査されている抗原結合タンパク質
(例えば,
抗体又は免疫学的に機能的なその断片)が共通の抗原(例えば,PCSK
9又はその断片)への参照抗原結合タンパク質(例えば,リガンド又は参照抗体)の特異的結合を妨げ,又は阻害する(例えば,低下させる)アッセイによって測定された抗原結合タンパク質間の競合を意味する。ある抗原結合タンパク質が別の抗原結合タンパク質と競合するかどうかを決定するために,競合的結合アッセイの多数の種類,例えば,固相直接又は間接ラジオイムノアッセイ
(RIA)固相直接又は間接酵素イムノアッセイ

(EIA)
,サンドイッチ競合アッセイ(例えば,Stahli
l,

1983,

Methods

in

et

Enzymology

a
9:

242-253参照)
;固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば,Ki
rkland

et

al,1986,J.Immunol.137:

3614-3619参照)固相直接標識アッセイ,

固相直接標識サンドイ
ッチアッセイ(例えば,Harlow
Antibodies,

A
Cold

Harbor

Spring

and

Lane,

Laboratory

1988,

Manual,

Press)
;I-125標識

を用いた固相直接標識RIA(例えば,Morel

et

al,

19

88,Molec.Immunol.25:7-15)
;固相直接ビオチン
-アビジンEIA(例えば,Cheung,et
Virology

al.1990,


176:546-552参照)
;及び直接標識RIA

(Moldenhauer

et

al.1990,Scand.

J.

Immunol.32:77-82参照)を使用することができる。典型的には,このようなアッセイは,これらの何れかを有する固体表面又はセルに結合された精製抗原,標識されていない検査抗原結合タンパク質及び標識された基準抗原結合タンパク質を使用することを含む。競合的阻害は,検査抗原結合タンパク質の存在下で,固体表面又はセルに結合された標識の量を測定することによって測定される。通常,検査抗原結合タンパク質は過剰に存在する。競合アッセイによって同定される抗原結合タンパク質
(競合抗原結合タンパク質)には,基準抗原結合タンパク質と同じエピトープに結合する抗原結合タンパク質及び立体的妨害が生じるのに,基準抗原結合タンパク質によって結合されるエピトープに十分に近接した隣接エピトープに結合する抗原結合タンパク質が含まれる。競合結合を測定するための方法に関するさらなる詳細は,本明細書中の実施例に提供されている。通常,競合抗原結合タンパク質が過剰に存在する場合には,少なくとも40から45%,
45から50%,
50から55%,
55から60%,
60から65%,65から70%,70から75%又は75%又はそれ以上,共通の抗原への基準抗原結合タンパク質の特異的結合を阻害する(例えば,低下させる)
。幾つかの事例において,少なくとも80から85%,
85から90%,90から95%,95から97%又は97%又はそれ以
上,結合が阻害される。(段落【0140】


「エピトープという用語は,抗体又はT細胞受容体などの抗原結合タンパク質によって結合され得るあらゆる決定基を含む。エピトープは,その抗原を標的とする抗原結合タンパク質によって結合される抗原の領域であり,抗原がタンパク質である場合,抗原結合タンパク質に直接接触す
る特定のアミノ酸を含む。最も頻繁には,エピトープはタンパク質上に存在するが,幾つかの事例では,核酸などの分子の他の種類上に存在することができる。エピトープ決定基は,アミノ酸,糖側鎖,ホスホリル又はスルホニル基などの分子の化学的に活性な表面基を含むことができ,特異的な三次元構造の特徴及び/又は特異的な電荷的特長を有することができ
る。一般に,特定の標的抗原に対して特異的な抗体は,タンパク質及び/又は高分子の複雑な混合物中において,標的抗原上のエピトープを優先的に認識する。(段落【0142】


ヒトPCSK9を含むPCSK9を結合する抗原結合タンパク質(ABP)は,本明細書中に記載されている。幾つかの実施形態において,提供される抗原結合タンパク質は,本明細書に記載されているように,1つ又はそれ以上の相補性決定領域(CDR)を含むポリペプチドである。同じ抗原結合タンパク質において,CDRは,CDRの適切な抗原結合特性が達成されるようにCDRを方向付ける「フレームワーク領域中に包埋されている。幾つかの実施形態において,本明細書中に提供されている抗原結合タンパク質は,PCSK9とLDLR間の相互作用を妨害し,遮断し,低下させ,又は調節することができる。このような抗原結合タンパク質は,
中和と表される。幾つかの実施形態において,抗原結合タンパク
質が中和性であり,PCSK9に結合されている場合でさえ,PCSK9とLDLR間の結合はなお起こり得る。例えば,幾つかの実施形態において,ABPは,PCSK9上のLDLR結合部位を封鎖することなく,L
DLRに対するPCSK9の悪影響を妨げ,又は低下させる。従って,幾つかの実施形態において,ABPは,PCSK9とLDLR間の結合相互作用を抑制する必要なしに,LDLRの分解をもたらすPCSK9の能力を調節し,又は変化させる。このようなABPは,
非競合的に中和する
ABPと特に記載することができる。幾つかの実施形態において,中和A
BPは,PCSK9がLDLRに結合するのを妨げる位置及び/又は様式で,PCSK9に結合する。このようなABPは,
競合的に中和するA
BPと特に記載することができる。上記中和物質は何れも,対象中に存在している遊離のLDLRのより大きな量をもたらすことができ,これにより,LDLに結合しているより多くのLDLRがもたらされる(これによ
り,対象中のLDLの量を低下させる。。続いて,これは,対象中に存在)
する血清コレステロールの量の低下をもたらす。(段落【0155】」

幾つかの実施形態において,抗原結合タンパク質は,配列番号1又は配列番号303のアミノ酸:162,164,167,207及び/又は208の少なくとも1つを含有する領域に結合する。幾つかの実施形態において,同定された残基の2以上(例えば,2,3,4又は5)がABPによって結合される領域の一部である。幾つかの実施形態において,ABPはABP21B12と競合する。

幾つかの実施形態において,抗原結合タンパク質は,配列番号1又は配列番号303のアミノ酸185の少なくとも1つを含有する領域に結合する。幾つかの実施形態において,ABPはABP31H4と競合する。

(段落【0261】
【0262】

競合する抗原結合タンパク質別の態様において,PCSK9への特異的結合に関して,本明細書中に記載されているエピトープに結合する例示された抗体又は機能的断片の1つと競合する抗原結合タンパク質が提供される。このような抗原結合タンパク質は,本明細書中に例示されている抗原結合タンパク質の1つと同じエピトープ又は重複するエピトープにも結合し得る。例示された抗原結合タンパク質と同じエピトープと競合し,又は結合する抗原結合タンパク質及び断片は,類似の機能的特性を示すと予想される。例示された抗原結合タンパク質及び断片は,重鎖及び軽鎖可変領域ドメイン並びに表2及び/又は図2から3及び15に含まれるCDRを有するものなど,上述されているものを含む。従って,具体例として,提供される抗原結合タンパク質には,(a)図2から3及び15に列記されている抗体に対して列記されているCDRの6つ全て;(b)表2中に列記されている抗体に対して列記されているVH及びVL;又は(c)表2に列記されている抗体に対して明記されている2つの軽鎖及び2つの重鎖を有する抗体又は抗原結合タンパク質と競合するものが含まれる。
ある種の治療的用途及び医薬組成物ある種の事例において,PCSK9活性は,多数のヒトの病状と相関する。例えば,ある種の事例において,高すぎる又は低すぎるPCSK9活性は,高コレステロール血症などのある種の症状と相関する。従って,ある種の事例において,PCSK9活性を調節することは治療的に有用であり得る。ある種の実施形態において,PCSK9に対する中和的抗原結合タンパク質は,少なくとも1つのPCSK9活性(例えば,LDLRへの結合)を調節するために使用される。このような方法は,上昇した血清コレステロールレベルと関連する,又は上昇したコレステロールレベルが関連する疾患を治療し,及び/又は予防し,及び/又は疾患のリスクを低減することができる。
当業者によって理解されるように,本開示に照らして,変動したコレステロール,LDL又はLDLRレベルと関連し,変動したコレステロール,LDL又はLDLRレベルを伴い,又は変動したコレステロール,LDL又はLDLRレベルによって影響を受け得る疾患は,抗原結合タンパク質の様々な実施形態によって対処することができる。幾つかの実施形態において,「血清コレステロール関連疾患を含む)(
コレステロール関連疾患には,例えば,上昇した総血清コレステロール,上昇したLDL,上昇したトリグリセリド,上昇したVLDL及び/又は低HDLを呈し得る以下のもの:高コレステロール血症,心臓病,メタボリックシンドローム,糖尿病,冠状動脈性心臓病,卒中,心血管疾患,アルツハイマー病及
び脂質異常症全般の何れか1つ又はそれ以上が含まれる。
・・・」
(段落【0
269】~【0271】

幾つかの実施形態において,PCSK9に対する抗原結合タンパク質は,異常に高いレベル又は正常なレベルからPCSK9活性の量を減少させるために使用される。幾つかの実施形態において,PCSK9に対する抗原結合タンパク質は,高コレステロール血症を治療若しくは予防するために,並びに/又は高コレステロール血症及び/若しくは他のコレステロール関連疾患(本明細書中に記載されているものなど)に対する医薬の調製において使用される。ある種の実施形態において,PCSK9に対する抗原結合タンパク質は,PCSK9活性が正常である高コレステロール血症などの症状を治療又は予防するために使用される。このような症状において,例えば,正常を下回るPCSK9活性の低下は,治療効果を提供することができる。(段落【0276】)
前記

の本件各明細書の記載によれば,21B12参照抗体及び31H4
参照抗体はPCSK9-LDLR結合中和抗体であるところ,
本件各発明は,
本件参照抗体がPCSK9に結合するエピトープと同じエピトープに結合する抗体,又は,本件参照抗体とPCSK9との結合を立体的に妨害するよう
な上記エピトープに隣接するエピトープに結合する抗体である,21B12参照抗体(本件発明1)又は31H4参照抗体(本件発明2)と競合する単離されたモノクローナル抗体又はそれを含む医薬組成物が,PCSK9とLDLRの結合を中和してLDLRの量を増加させることによって,対象中の血清コレステロールの低下をもたらす効果を奏し,また,この効果により,
高コレステロール血症などの上昇したコレステロールレベルが関連する疾患を治療又は予防することを目的とするものであると認められる。
2
属するか)について
被告は,本件各明細書の記載から当業者が実施可能な範囲は,本件各明細書にアミノ酸配列が記載された具体的な抗体(本件発明1及び本件訂正発明1について別紙表Aの各抗体,本件発明2及び本件訂正発明2について別紙表Bの各抗体)又は当該抗体に対して特定の位置のアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列を有する抗体に限られると主張する。
そして,本件各発明の技術的範囲に含まれる抗体又は医薬組成物は,上記抗体又は当該抗体に対して特定の位置のアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列を有する抗体又はそれを含む医薬組成物に限定されるところ,被告モノクローナル抗体のアミノ酸配列は,上記各抗体又は当該抗体に対して特定の位置のアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列とは全く異なるものであるから,被告モノクローナル抗体及び被告製品はいずれも本件各発明の技術的範囲に属しないと主張する。本件各明細書には,21B12参照抗体や31H4参照抗体及びこれらの参照抗体と競合するPCSK9-LDLR結合中和抗体並びにその取得方法等について,以下の記載がある。

21B12参照抗体及び31H4参照抗体は,PCSK9-LDLR結合中和抗体であり,細胞へのLDLRの取り込みを遮断する(段落【01
38】
【0336】
【0377】~【0381】。


本件参照抗体と競合する単離されたモノクローナル抗体は,PCSK9がLDLRに結合するのを妨げる位置,様式でPCSK9に結合し,PCSK9とLDLR間の相互作用を妨害,遮断,低下又は調節する,PCSK9-LDLR結合中和抗体である(段落【0138】
【0140】
【01

55】
【0171】
【0261】
【0262】
【0269】。


PCSK9-LDLR結合中和抗体を得るために,ヒト免疫グロブリン遺伝子を含有する2つのグループのマウスを使用した。両グループのマウスに本件各明細書の表3記載の用量,方法でヒトPCSK9を合計11回
注射し,免疫化した。免疫化したマウスのうち,PCSK9に対して特異的であるように見受けられる10匹のマウスを選択した。それらのマウスから得た細胞を用い,PCSK9に対する抗原結合タンパク質を産生するハイブリドーマを作製し,一次スクリーニングによって合計3104の抗原特異的ハイブリドーマを得,そのうち3000のハイブリドーマに対し
て更にマウス交叉反応スクリーニング,大規模受容体リガンド遮断スクリーニング等の複数のスクリーニングを行い,PCSK9とLDLRウェル間での相互作用を遮断する384の抗体が同定された。そのうち100の抗体は,
PCSK9とLDLRの結合相互作用を90%超阻害した。
(段落
【0312】~【0332】。


前記ウで同定された384の抗体に対して受容体リガンド結合アッセイを行い,PCSK9変異体酵素とLDLRの間の相互作用を90%超遮断
する85の抗体が同定された(段落【0333】
【0334】。


前記ウの一時スクリーニング等によって得られた3000のハイブリドーマのうち,野生型PCSK9に結合するが,D374Y変異体に結合しないことが示された86の抗体に対して受容体リガンド結合アッセイを行った(段落【0335】。



上記のスクリーニング等によって,PCSK9に対する抗体の最も高い力価を有するハイブリドーマが同定され,表2に記載される32の抗体が得られた。32の抗体のうち,27B2,13H1,13B5及び3C4は非PCSK9-LDLR結合中和抗体,3B6,9C9及び31A4は弱いPCSK9-LDLR結合中和抗体,その他(21B12参照抗体及
び31H4参照抗体を含む。は,

強いPCSK9-LDLR結合中和抗体
である(段落【0138】
【0336】。この32の抗体に対するエピトー

プビニングの結果によれば,21B12参照抗体と競合するが,31H4参照抗体と競合しない抗体(ビン1)が19個,21B12参照抗体と31H4参照抗体のいずれとも抗体する抗体(ビン2)が1個,31H4参
照抗体と競合するが,21B12参照抗体と競合しない抗体(ビン3)が7個であり,本件参照抗体のいずれとも競合しない抗体(ビン4)が1個である(段落【0373】
【0374】
【0494】。そして,上記ビン1

の抗体19個とビン3の抗体7個は,いずれもPCSK9-LDLR結合中和抗体である。


また,上記カとは別の組(合計39抗体)に対するエピトープビニングの結果によれば,21B12参照抗体と競合するが,31H4参照抗体と競合しない抗体(ビン1)が19個,21B12参照抗体と31H4参照抗体のいずれとも抗体する抗体(ビン2)が3個,31H4参照抗体と競合するが,21B12参照抗体と競合しない抗体(ビン3)が10個であり,本件参照抗体のいずれとも競合しない抗体(ビン4)が2個である。そして,ビン1に属する抗体のうち16個,ビン2に属する抗体のうち2個及びビン3に属する抗体のうち7個は,表2に記載された抗体であり,これら16個と2個と7個の抗体のうち,27B2抗体を除く少なくとも22個はPCSK9-LDLR結合中和抗体であることが確認されている
(段落【0138】
【0489】~【0495】。

本件参照抗体と競合する,PCSK
9-LDLR結合中和抗体を同定,取得するための,免疫プログラムの手順及びスケジュールに従った免疫化マウスの作製方法,ハイブリドーマの作製方法,スクリーニング方法及びエピトープビニングアッセイの方法等が記載
されている。そして,当該方法によれば,本件各明細書で具体的に開示された以外の本件参照抗体と競合する抗体も得ることができるといえる。そうすると,本件各明細書の記載から当業者が実施可能な範囲が,本件各明細書記載の具体的な抗体又は当該抗体に対して特定の位置のアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列を有する抗体に限られる
とはいえない。したがって,本件各明細書の記載から当業者が実施可能な範囲が本権各明細書記載の具体的な抗体又は当該抗体に対して特定のアミノ酸の1もしくは数個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列を有する抗体に限られることを前提として,本件各発明の技術的範囲が本件各明細書記載の具体的な抗体又は当該抗体に対して特定の位置のアミノ酸の1若しくは数個のア
ミノ酸が置換されたアミノ酸配列を有する抗体に限定されるとの被告の主張は採用することができない。
また,被告は,①本件各明細書では,本件参照抗体と競合する抗体であれば,PCSK9とLDLRの結合を中和することができるという技術思想を読み取ることはできない,②本件各明細書の実施例に記載された3グループないし2グループの抗体のみによって,本件参照抗体と競合する膨大な数の抗体全てがPCSK9-LDLR結合中和抗体であるとはいえず,本件各明細書には,本件参照抗体と競合する膨大な数の抗体がPCSK9-LDLR結合中和抗体であることの根拠は全く示されていないと主張する。しかしながら,前記

のとおり,本件各明細書には,本件参照抗体がP

CSK9-LDLR結合中和抗体であること,本件参照抗体がPCSK9に結合するエピトープと同じエピトープに結合する抗体,又は,本件参照抗体とPCSK9との結合を立体的に妨害するような上記エピトープに隣接するエピトープに結合する抗体である,本件参照抗体と競合する抗体は,本件参照抗体と類似した機能的特性を有すると予想されることが記載されている。そして,前記

のとおりのスクリーニング等によって得られた本件各明細書

の表2記載の30の抗体(21B12参照抗体と31H4参照抗体を除く。)
のうち,24の抗体はPCSK9-LDLR結合中和抗体であり,かつ,本件参照抗体と競合する抗体であること,表37.1.のビン1(21B12参照抗体と競合し,31H4参照抗体と競合しない抗体)に属する19の抗体のうち16個,ビン2(21B12参照抗体とも,31H4参照抗体とも
競合する抗体)に属する抗体のうち2個及びビン3(31H4参照抗体と競合し,21B12参照抗体と競合しない抗体)に属する10の抗体のうちの7個は,表2に記載された抗体であり,これら16個と2個と7個の抗体のうち,27B2抗体並びに21B12参照抗体及び31H4参照抗体を除く少なくとも20個はPCSK9-LDLR結合中和抗体であることが記載さ
れている。そうすると,本件各明細書には,特定のスクリーニング等を経て得られた抗体のうち,本件参照抗体と競合する複数の抗体がPCSK9-LDLR結合中和抗体であることが示されているといえる。
なお,この点に関係し,被告は,本件参照抗体と競合する膨大な数の抗体がPCSK9-LDLR結合中和抗体であることの根拠は全く示されていないと主張するが,本件各明細書に記載された抗体以外に,本件参照抗体と競合するがPCSK9-LDLR結合中和抗体ではない具体的な抗体が示され
ているものではなく,また,本件参照抗体と競合する抗体中,PCSK9-LDLR結合中和抗体でないものの割合が大きいことも明らかではない。さらに,被告は,本件参照抗体と競合する抗体は,PCSK9-LDLR結合中和抗体であるとは限らないとも主張する。しかし,本件各発明は,PCSK9-LDLR結合中和抗体であることを構成要件とするものであるか
ら(構成要件1A,2A),上記のような例外的な抗体は本件各発明の技術的範囲に含まれない。
証拠(甲5,7の1,2,甲8~10)及び弁論の全趣旨によれば,本件各発明について,被告が主張する限定的な解釈を採らない限り,被告モノクローナル抗体は,本件発明1-1及び本件発明2-1の各構成要件を全て充
足し,被告製品は,本件発明1-2及び本件発明2-2の各構成要件を全て充足すると認められるから,被告モノクローナル抗体は,本件発明1-1及び本件発明2-1の技術的範囲に属し,被告製品は,本件発明1-2及び本件発明2-2の技術的範囲に属すると認められる。なお,被告モノクローナル抗体は,本件訂正発明1-1及び本件訂正発明2-1の技術的範囲にも属
し,被告製品は,本件訂正発明1-2及び本件訂正発明2-2の技術的範囲にも属すると認められる。
3
争点

-ア(サポート要件違反)について

前記2のとおり,本件各明細書の記載から,当業者は,本件各明細書の記載のスクリーニング方法等を用いることによって,
本件各明細書で開示された抗
体以外にも,本件参照抗体と競合し,PCSK9とLDLRとの結合を中和する様々なPCSK9-LDLR結合中和抗体を得ることができると認識することができる。
また,
本件各明細書の高コレステロール血症などの上昇したコレステロールレベルが関連する疾患を治療し,又は予防し,疾患のリスクを低減することができるので,治療的に有用であり得ることの記載(段落【0155】【027

0】
【0271】
【0276】
)から,当業者は,本件発明1-1,本件発明2-
1の各抗体を医薬組成物として使用できることを認識することができる。したがって,本件発明1及び2は,いずれもサポート要件に違反するとはいえず,また,本件訂正発明1及び2がいずれもサポート要件に違反するとはいえない。

4
争点

-イ(実施可能要件違反)について

前記2のとおり,本件各明細書の記載から,当業者は,本件各明細書の記載のスクリーニング方法等を用いることによって,本件各発明の抗体及び医薬組成物を作製し,
使用することができるものと認められるから,
本件各明細書は,
当業者が本件各発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したも
のであるといえ,本件発明1及び2は,いずれも実施可能要件に違反するとはいえず,また,本件訂正発明1及び2がいずれも実施可能要件に違反するとはいえない。
5
進歩性欠如)について
乙1文献には,以下の記載がある。


我々は,HepG2細胞の培養液に添加された精製PCSK9が用量及び時間依存的な態様で細胞表面のLDLRの数を減少させることを示す。この活性は,高コレステロール血症を引き起こす,機能獲得型変異,PCSK9(D374Y)の場合,約10倍大きかった。PCSK9の結合及び取り込みは,LDLRの存在に大きく依存した。共免疫沈降及びリガンドブロッティングの試験は,PCSK9とLDLRとが直接結合することを示し,両方のタンパク質は後期エンドサイトーシスの小胞へ共局在化した。(2995頁要約3~7行)イ
並体結合の後,分泌されたPCSK9は,野生型マウスの循環血中へと運ばれ,肝臓のLDLRの数を,ほぼ検知できないレベルにまで減少させた。我々は,分泌されたPCSK9がLDLRと結合して肝臓のLDLRタンパク質レベルを低下させると結論づけた。(2995頁要約12~14行)

本研究において,我々は,細胞外のPCSK9が,LDLRに大きく依存する態様で,培養された肝細胞及び線維芽細胞によって内在化され得る証拠を提供する。細胞外PCSK9とのインキュベーションは,細胞表面からのLDLRの喪失と肝臓由来細胞におけるLDLRの促進された分解をもたらした。最終的に,我々は,マウスの循環血中における増加したPCSK9のレベルが,肝臓における減少したLDLRタンパク質,及び増大した血漿コレステロールレベルをもたらすことを実証した。(2995頁右欄下から4行~2996頁左欄4行)


図2細胞培養液に組換え精製PCSK9を添加した後のHepG2細胞における内在性LDLRの減少。(A)HepG2細胞における細胞外PCSK9-仲介型LDLR分解の投与量応答性。(2996頁左欄図2の説明の1~4行)


図2Aに示されるように,生理学的に適切な濃度である,PCSK9の0.5μg/mlとともにインキュベーションした後,細胞表面のLDLRの数は,約50%減少した(レーン2)。そして,PCSK9の2.5μg/mlへの接触後には,ほぼ検出不能となった(レーン4)。(299
7頁左欄11~15行)


図3HepG2細胞の培養液中への精製された変異体PCSK9(D374Y)の添加による増大された細胞結合及びLDLR分解。細胞は培養液C(mediumC)中で18時間培養され,精製されたヒトPCSK9又はPCSK9(D374Y)の示された量とともに4時間インキューベートされた。LDLR,FLAG-タグ化PCSK9,及び,トランスフェリン受容体のイムノブロット分析が,図2の説明文において記載されているように行われた。アステリスクは非特異的バンドを示す。同様の結果が,3回の独立した実験において得られた。(2997頁図3)キ
導入部において述べたとおり,PCSK9のある種の点突然変異は,高コレステロール血症を引き起こす。そのようなある1つの突然変異が細胞ベースのアッセイにおけるPCSK9の活性を増加させるのか否かを決定するために,様々な量の野生型PCSK9及びPCSK9変異体D374(4)がHepG2細胞に加えられ,その後LDLRタンパク質レベルが測定された(図3)。D374Y変異体は,この変異を有する人は重篤な高コレステロール血症にかかることが示されていることから研究対象に選ばれた(16)。PCSK9(D374Y)は,野生型PCSK9よりも少なくとも10倍,細胞表面LDLRを減少させる活性が高かった。すなわち,0.25μg/mlのPCSK9(D374Y)は,少なくとも,2.5μg/mlの野生型PCSK9と同程度に効果的であった(5レーンと11レーンとの比較)野生型PCSK9とインキュベーションした後,。LDLRの数は,細胞全体抽出物において顕著に減少し,同様の結果はPCSK9(D374Y)の10倍低い濃度において観察された(レーン13~24)異なる濃度が用いられたにもかかわらず,。細胞抽出物において測定された野生型及び変異型のPCSK9の量は同様であり,当該変異型タンパク質は,野生型タンパク質に比べて約10倍の効率で細胞によって取り込まれたことを示している。(2997頁左欄30行~右欄7行)ク
PCSK9(D374Y)変異体は,LDLRタンパク質に対してより大きい親和性で結合するものと見える。合わせれば,これらの研究の結果は,PCSK9(D374Y)が,野生型PCSK9よりも高い親和性で,LDLRに対して結合することを示しており,この知見は,当該PCSK9変異体のLDLRを破壊する増強された能力と相関する。(299
8頁右欄21~25行)

本報告において,我々は,内因性のPCSK9が細胞から急速に分泌されること,分泌されたPCSK9は培養されたHepG2細胞及びマウス初代肝細胞の培養液に添加されるとLDLRを破壊することを実証した。培養細胞においてLDLRの数を減少させるのに有効なPCSK9の濃度はヒト血漿中において測定される血漿PCSK9の濃度と同等の範囲であった。PCSK9の細胞との会合と細胞への取り込みがLDLRへの結合を介して生じ,両方のタンパク質は,後期エンドサイトーシスの/リソソームの部分に共局在化される。PCSK9がLDLRタンパク質レベルを減少させるにはPCSK9のLDLRを伴うエンドソームの/リソソームの部分への内在化が必要であり,なぜなら,この活性はARHの不存在下においてブロックされるからである。最後に,我々は,PCSK9はトランスジェニックマウスの血漿中に存在し,その分泌されたタンパク質は,肝臓のLDLRの破壊において活性であることを示した。分泌されたPCSK9の活性のメカニズムについての洞察は,MEFs及びマウス肝細胞における研究に由来し,それらはLDLRがPCSK9の大部分が細胞表面に結合するのに必要とされることを示した(図4A及び図6B)これら。の研究は,LDLRとPCSK9が直接相互作用しうることを示唆し,このことは,LDLRとPCSK9についての免疫共沈降及びリガンドブロッティングの研究により確認された(図5)。
(3001頁左欄下から24
行~下から2行)

これらを合わせ考えると,現在入手可能なデータは,PCSK9が細胞外と細胞内とで機能し得ることを示唆するが,しかし,いずれの経路が通常のおよび/または病的条件下において優位であるのか分からない。現在,当該タンパク質が細胞内で作用することを示唆するすべての研究は,強力なCMVプロモーターを通じたPCSK9過剰発現を用いて行われたものである。過剰発現は,生理学的に生じない細胞内分画におけるPCSK9とLDLRとの結合を許容する可能性がある。本研究において,我々は,生理学的に適切な濃度のPCSK9がHepG2細胞に添加されたときに細胞表面のLDLRの数を著しく減少させたことを実証することができた(図2および図3)。(3002頁左欄下から7行~右欄4行)


PCSK9の機能喪失型変異体を有するヒトからの遺伝学的データとPCSK9を欠損したノックアウトマウスにおける研究を組み合わせると,タンパク質分解酵素の阻害剤が高コレステロール血症の治療に対して治療学的に有益であり得ることが明確に示される。マウスにおける酵素的に不活性な形態のPCSK9の過剰発現は,LDLRタンパク質レベルを変化させなかったことのみからすれば(文献[9],小胞体におけるPCSK)9のプロテアーゼ活性の阻害剤は,LDLRタンパク質レベルを減少させる能力を阻害するのに十分であろう。本研究のデータが示唆するとおりに,PCSK9が分泌因子として機能するならば,LDLRとの相互作用を遮断する抗体,または血漿におけるその活性を遮断する阻害剤の開発などの,PCSK9の活性を中和する追加の手法が,高コレステロール血症の治療として探求し得る。(3002頁右欄下から13行~最終行)前記

の記載のとおり,乙1文献には,PCSK9が細胞表面のLDLR
の数を減少させること,PCSK9はLDLRと結合して肝臓のLDLRタンパク質のレベルを低下させること,増加したPCSK9のレベルが肝臓における減少したLDLRタンパク質及び増大した血漿コレステロールレベルをもたらすこと,LDLRとPCSK9が直接相互作用し得ることが確認されたこと,PCSK9とLDLRとの相互作用(結合)を遮断する抗体又は血漿におけるその活性を遮断する阻害剤の開発などのPCSK9の活性を中和する追加の手法が高コレステロール血症の治療として探求し得ること等が記載されている。
そうすると,乙1文献には,PCSK9とLDLRとの相互作用(結合)を遮断する何らかの抗体を含む医薬組成物の発明が記載されているといえる。被告は,乙1文献に高コレステロール血症の治療のためのPCSK9-LDLR結合中和抗体という技術思想が明示されていると主張する。しかし,
乙1文献には,
LDLRとの相互作用を遮断する抗体
の記載

サ)

があるにとどまり,この抗体がPCSK9-LDLR結合中和抗体であるとPCSK9とLDLR
との相互作用(結合)を遮断する抗体によるPCSK9の活性を中和する手法が高コレステロール血症の治療として探求し得る旨の記載
サ)も

あるが,このような作用を有する具体的な抗体の記載は全くないことから,乙1文献にPCSK9-LDLR結合中和抗体の開示があるとはいえない。本件発明1-1と乙1文献に記載された発明とを対比すると,①本件発明1-1はPCSK9-LDLR結合中和抗体であるのに対し,乙1文献に記載された発明はPCSK9-LDLR結合中和抗体であるかどうか明らかで
ない点(以下相違点①-1という。,②本件発明1-1は21B12参)
照抗体と競合する抗体であるのに対し,乙1文献に記載された発明は21B12参照抗体と競合するかどうか明らかでない点(以下相違点②-1という。,
)③本件発明1-1は単離されたモノクローナル抗体であるのに対し,乙1文献に記載された発明はモノクローナル抗体であるかどうか明らかでは
ない点(以下相違点③-1という。
)で相違するといえる。本件発明1-
2,本件訂正発明1-1及び本件訂正発明1-2と乙1文献に記載された発明も,相違点①-1,②-1,③-1で相違する。本件発明2-1と乙1文献に記載された発明とを対比すると,①本件発明2-1はPCSK9-LDLR結合中和抗体であるのに対し,乙1文献に記載された発明はPCSK9-LDLR結合中和抗体であるかどうか明らかでない点(以下相違点①-2という。,②本件発明2-1は31H4参照)
抗体と競合する抗体であるのに対し,乙1文献に記載された発明は31H4参照抗体と競合するかどうか明らかでない点
(以下
相違点②-2
という。,

③本件発明2-1は単離されたモノクローナル抗体であるのに対し,乙1文献に記載された発明はモノクローナル抗体であるかどうか明らかではない点
(以下相違点③-2という。
)で相違するといえる。本件発明2-2,本
件訂正発明2-1及び本件訂正発明2-2と乙1文献に記載された発明も,相違点①-2,②-2,③-2で相違する。相違点②-1について,本件発明1-1は,アミノ酸配列で特定されたPCSK9-LDLR結合中和抗体である21B12参照抗体について,それ
とPCSK9との結合において競合する抗体が21B12参照抗体と類似の機能的特性を示すと予想され,前記のとおり,一定の抗体に対するエピトープビニングをして,21B12参照抗体と競合することを要件(構成要件1B)としたものである。そして,乙1文献に記載された発明において,アミノ酸配列で特定された21B12参照抗体についての具体的な記載はないし,
同抗体に着目する示唆もない。証拠(乙15ないし19)及び弁論の全趣旨によれば,
本件優先日当時,
動物免疫法又はファージディスプレイ法により,
抗原に対して特異的に結合するモノクローナル抗体を作製する方法,その作製工程において,ヒト抗体を作製するための遺伝子導入マウスの使用,抗体のスクリーニングのために抗原をビオチン化により固相化する方法,ファー
ジディスプレイライブラリを得る手段等は周知であったことが認められる。しかし,本件明細書1には,特定のプロトコールのスクリーニングを組み合わせて実施した結果として,21B12参照抗体が得られたことが記載されていて(段落【0312】~【0314】【0320】【0322】~【0336】【0377】~【0379】),それは上記周知技術とは異なるものであり,上記周知技術に基づいて,本件優先日当時,当業者が,アミノ酸配列が特定された21B12参照抗体を容易に得ることができたことを認めるには足りない。これらによれば,当業者は,具体的な21B12参照抗体を容易に得ることができたことも,21B12参照抗体に着目してそれと競合する抗体に着目したことも認められず,構成要件1Bに係る相違点である相違点②-1に容易に想到することができたとは認められない。
以上によれば,本件優先日当時,当業者は,乙1文献に記載された発明及び周知技術に基づいて,相違点②-1に係る本件発明1-1の構成に容易に想到することができたとは認められず,本件発明1-1を容易に発明することができたとは認められない。そして,同様の理由により,乙1文献に記載された発明及び周知技術に基づいて,本件優先日当時,当業者は,本件発明
1-2を容易に発明することができたとは認められず,また,本件訂正発明1-1,1-2を容易に発明することができたとも認められない。また,本件発明2-1と乙1文献に記載された発明は,相違点②-2において異なるところ,本件発明2-1は,アミノ酸配列で特定されたPCSK9-LDLR結合中和抗体である31H4参照抗体について,それとPCS
K9との結合において競合する抗体が31H4参照抗体と類似の機能的特性を示すと予想され,前記のとおり,一定の抗体に対するエピトープビニングをして,構成要件2Bにおいて31H4参照抗体と競合する抗体であるとしたものである。そして,乙1文献に記載された発明において,アミノ酸配列で特定された31H4参照抗体についての具体的な記載はないし,同抗体に
着目する示唆もない。本件明細書2には,31H4参照抗体も,21B12参照抗体と同様に特定のプロトコールのスクリーニングを組み合わせて実施した結果として得られたことが記載されていて(段落【0312】~【0314】
【0320】
【0322】【0336】

【0377】【0379】,


同様,その方法は上記周知技術とは異なるものであり,当業者が,周知技術に基づいてアミノ酸配列が特定された31H4参照抗体を容易に得ることができたことを認めるには足りない。これらによれば,当業者は,具体的な31H4参照抗体を容易に得ることができたことも,31H4参照抗体に着目してそれと競合する抗体に着目したことも認められず,構成要件2Bに係る相違点である相違点②-2に容易に想到することができたとは認められない。したがって,本件優先日当時,当業者は,本件発明2-1を容易
に発明することができたとは認められない。そして,同様の理由により,乙1文献に記載された発明及び周知技術に基づいて,本件優先日当時,当業者は,本件発明2-2を容易に発明することができたとは認められず,また,本件訂正発明2-1,2-2を容易に発明することができたとも認められない。

上記に対し,被告は,本件各明細書によれば,本件参照抗体と競合するか否かを何ら指標とすることなく,PCSK9-LDLR結合中和抗体を複数作製したところ,そのような抗体の多くが本件参照抗体と競合するものであったこと,A教授が供述書(乙4)で指摘するとおり,PCSK9-LDLR結合中和抗体を取得した場合,その中には本件参照抗体と競合する抗体が
多く含まれており,少なくとも所定の割合で含まれているから,当業者は,何らかのPCSK9-LDLR結合中和抗体をいくつか作製するだけで,本件参照抗体と競合する結合中和抗体を取得し得たこと,本件参照抗体と競合する抗体がPCSK9-LDLR結合中和抗体であることは限らないことから,21B12参照抗体又は31H4抗体と競合するとの発明特定事項は本
件各発明に進歩性を付与するものではないことを主張する。
本件各明細書には,PCSK9-LDLR結合中和抗体を同定,取得するための,免疫プログラムの手順及びスケジュールに従った免疫化マウスの作製方法,ハイブリドーマの作製方法,スクリーニング方法及びエピトープビニングアッセイの方法等が記載された上で,その具体的な方法等に従って抗体を作製して,PCSK9-LDLR結合中和抗体を作製したことや,その抗体に,
本件参照抗体と競合する抗体が多く見られたことが記載されている。
しかし,その方法は本件各明細書に記載されているものであり,前記
の周

知技術そのものではなく,本件優先日当時,当業者が,本件各明細書に記載されているのと同様の方法を用いて本件各明細書に記載されているPCSK9-LDLR結合中和抗体を作製することができたことを認めるに足りる証拠はない。また,前記のとおり,本件優先日当時,当業者が本件参照抗体を
容易に作製することができたとも認められない。被告が指摘する本件各明細書の記載をもって,本件参照抗体と競合するとの発明特定事項が本件各発明に進歩性を付与するものではないと認めることはできない。
また,A教授の供述書(乙4)は,競合に関して実証的なデータが示されているものではないほか,前記のとおり,本件優先日当時,本件参照抗体を
容易に作製することができたとは認められないことなど前記の事情に照らせば,同供述書に記載された事項によって,本件参照抗体と競合するとの発明特定事項は本件各発明に進歩性を付与するものではないとは認められない。更に,本件参照抗体と競合する抗体中,PCSK9-LDLR結合中和抗体でないものの割合が大きいことも明らかではない。

したがって,被告の主張は採用することができない。
以上によれば,本件発明1及び2は,いずれも乙1文献及び周知技術に基づいて,容易に想到することができたとはいえず,進歩性を欠くとはいえない。なお,本件訂正発明1及び2も,いずれも乙1文献及び周知技術に基づいて容易に想到することができたとはいえず,進歩性を欠くとはいえない。
6
争点

(被告製品についての生産の差止め及び被告モノクローナル抗体についての生産,譲渡等の差止めの必要性の有無)について
以上によれば,被告による被告製品の輸入,販売,販売の申出は,本件各特許権の侵害行為に該当する。
被告は,被告製品の輸入,販売,販売の申出を行っていることについては認めるものの,被告製品の生産を行っていることを否認し,また,被告製品の原
薬である被告モノクローナル抗体の生産,輸入,販売,販売の申出をする予定はないと主張する。
しかしながら,被告は,被告製品の輸入,販売,販売の申出を行っていること,また,弁論の全趣旨によれば,被告は,その親会社等から原薬である被告モノクローナル抗体を輸入するなどした上で,被告製品を生産することができ
ること,被告モノクローナル抗体は,被告モノクローナル抗体産生細胞株をクローン培養しさえすれば極めて容易に生産できること,被告は本件訴訟において,被告モノクローナル抗体や被告製品が本件各発明の技術的範囲に属することや,本件各特許の有効性を争っていることからすれば,被告製品の生産や被告製品の原薬である被告モノクローナル抗体の生産,輸入,販売,販売の申出
についても,差止めの必要性は否定できないというべきである。もっとも,現在,被告が被告製品に加えて被告モノクローナル抗体を有しているとは認められず,被告モノクローナル抗体の廃棄の必要性があるとは認められない。7
結論
よって,原告の請求は主文第1項ないし第3項の限度で理由があるからこれらを認容し,原告のその余の請求は理由がないから棄却することとし,主文第1項ないし第3項について仮執行宣言を付すのは相当でないからこれを付さないこととし,民事訴訟法61条,64条ただし書を適用して訴訟費用は被告に全部負担させることとして,主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第46部

裁判長裁判官

柴田義
裁判官

安岡美
裁判官

大下良明香子仁
(別紙)

被告製品目録

プラルエント®(英語名:Praluent®)

以上

(別紙)

被告モノクローナル抗体目録

アリロクマブ(一般名)
(英語名:Alirocumab)

以上

(別紙)
表A
グループ
軽鎖CDR1

軽鎖CDR2

軽鎖CDR3

重鎖CDR1

重鎖CDR2

重鎖CDR3

27E7

TGTSSDVGGYNSVSEVSNRPSSSYTSTSMVGYSLTSYGISWISAYNGNTNYAQKVQGGYGMDV
30B9

................................P..............................
27H5

................................T..........V...................
23G1

................T....N..........T........V.F..........L........
26H5

................................T..........F...................
17C2

........A..................N.....F.......V............F....V...
19H9

...N............................A..............................
21B12

.....................N..........T........V.F..........L........
グループ
軽鎖CDR1

軽鎖CDR2

軽鎖CDR3

重鎖CDR1

重鎖CDR2

重鎖CDR3

1A12

SGSSSNIGSKTVNSNNRRPSAAWDDSLNWVGLTFSNFWMSNIKQDGSEKYYVDSVKGESNWGFAFDI
9H6

.........N.....................F...RY......H......................V
9C9

.............R..Q..L...........F...SY..............................
グループ
軽鎖CDR1

軽鎖CDR2

軽鎖CDR3

重鎖CDR1

重鎖CDR2

重鎖CDR3

23B5

RASQSISSYLNAASSLQSQQSYSSPITGFTFSSYAMNTISGSGDNTYYADSVKGKFVLMVYAMLDY
25G4

.......I.....A.........A...................G......................
表B
グループ
軽鎖CDR1

軽鎖CDR2

軽鎖CDR3

重鎖CDR1

重鎖CDR2

重鎖CDR3

31H4TGSSSNIGAGYDVHGNSNRPSQSYDSSLSGSVGFTFSSYSMNSISSSSSYISYADSVKGDYDF
グループ28D6

軽鎖CDR1

軽鎖CDR2

軽鎖CDR3

重鎖CDR1

重鎖CDR2

WSAYYDAFDV

重鎖CDR3

SGSSSNIGNNFVSDYNKRPSGTWDSSLSGYVGFTFSSFGMHLIWNDGSNKYYADSVKGAIAA
LYYYYGMDV

16F12............................A......N........S...DE............
.........

27A6

............................S......N........S...D.............
.........

31G11..............S.............A......R.Y......H....T..V.....G..V
A........

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