判例検索β > 平成30年(行ケ)第10143号
審決取消請求事件 商標権 行政訴訟
事件番号平成30(行ケ)10143
事件名審決取消請求事件
裁判年月日平成31年2月27日
法廷名知的財産高等裁判所
裁判要旨商 判決年月日 平成31年2月27日 担
標 当 知財高裁第1部
権 部
事 件 番 号 平成30年(行ケ)第10143号
○ 指定役務を「建物の売買」等とする「LOG」(標準文字)から成る登録商標につ
いて,「LOG」は当該指定役務の質又は提供の用に供する物を普通に用いられる方法
で表示するものというべきであるから,「LOG」のみからなる商標は,当該指定役務
との関係において,商標法3条1項3号に該当するとした事例。
(事件類型)審決(無効・不成立)取消 (結論)審決取消
(関連条文)商標法3条1項3号
(関連する権利番号等)登録第5890540号,無効2018-890001号
判 決 要 旨
1 LOG(標準文字)から成る,第36類「建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,
建物の売買,建物の売買の代理又は媒介」及び第37類「建設工事,建築工事に関する助
言」(本件役務)を含むものを指定役務とする登録商標(本件商標)について,原告は,
本件商標のうち,本件役務を指定役務とする部分について,商標法3条1項3号に該当す
るなどとして,商標登録無効審判を請求した。
特許庁は,本件商標は,商標法3条1項3号に該当しないなどとして,商標登録無効審
判請求は成り立たない旨の審決をした。そこで,原告は,同審決の取消しを求める本件訴
訟を提起した。
2 本判決は,以下のとおり判示して,審決を取り消した。
「商標登録出願に係る商標が商標法3条1項3号にいう「役務の…質,提供の用に供す
る物…を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというため
には,需要者又は取引者によって,当該商標が,当該指定役務の質又は提供の用に供する
物を表示するものであろうと一般に認識され得ることをもって足りるというべきである。」
「本件役務に関する分野では,本件商標の査定日以前において,役務の提供の用に供す
る物の内容について,それが丸太で構成される建物又は丸太風の壁材で構成される建物で
あることを表示するために,その役務の主体や客体の名称の一部に,「LOG」や,「L
OG」と社会通念上同一と認められる「Log」及び「log」並びに「LOG」から比
較的容易に想起される「ログ」が数多く使用されるとともに,丸太で構成される建物等に
関するものであることを表示するために,「LOG」,「Log」,「log」及び「ロ
グ」が他の単語と組み合わさって又は単独で,数多く使用されていたものである。
そうすると,本件商標の査定時において,「LOG」は,本件役務の提供の用に供する
建物の種別について,ログハウス,ログキャビンなどの丸太で構成される建物又は丸太風
の壁材で構成される建物という一定の内容であることを,本件役務の需要者又は取引者に
-1-
明らかに認識させるものということができる。
したがって,本件商標は,その査定時において,本件役務の需要者又は取引者によって,
本件役務の質又は提供の用に供する物を表示するものであろうと一般に認識され得るとい
うべきである。」
-2-
裁判日:西暦2019-02-27
情報公開日2019-03-04 12:00:26
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平成31年2月27日判決言渡
平成30年(行ケ)第10143号
口頭弁論終結日

審決取消請求事件

平成31年1月21日
判原決告
同訴訟代理人弁護士

株式会社アールシーコア

鈴木西川喜裕
同訴訟復代理人弁護士

炭谷祐司
同訴訟代理人弁理士

中田和博神蔵初被告
同訴訟代理人弁護士

修夏子
株式会社9GATES

主1怜史島明紀

弁理士

脇宮同西野真太郎泉澤ひさ枝文
特許庁が無効2018-890001号事件について平成30
年8月31日にした審決を取り消す。

2
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由

第1

請求

主文第1項と同旨
第2
1
(1)

事案の概要
特許庁における手続の経緯等
被告は,以下の商標(以下本件商標という。
)の商標権者である(甲1,

2,16)

登録番号:登録第5890540号
商標の構成:LOG(標準文字)
出願年月日:平成28年5月18日
査定年月日:平成28年10月7日
登録年月日:平成28年10月21日
指定役務:第36類建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介及び第37類建設工事,建築工事に関する助言(以
下,併せて本件役務という。
)を含む。
(2)

原告は,平成29年12月27日,本件商標登録のうち,本件役務を指定
役務とする部分について,商標登録無効審判を請求した。
(3)

特許庁は,原告の請求を無効2018-890001号事件として審理し,
平成30年8月31日,

本件審判の請求は,成り立たない。

との別紙審決書(写し)記載の審決(以下本件審決という。
)をし,その謄本は,同年9月10日,
原告に送達された。
(4)

原告は,平成30年10月10日,本件審決の取消しを求めて本件訴訟を
提起した。
2
本件審決の理由の要旨

本件審決の理由は,別紙審決書(写し)のとおりである。要するに,本件商標は,商標法3条1項3号及び4条1項16号に該当しない,というものである。3
取消事由

(1)

商標法3条1項3号該当性判断の誤り(取消事由1)

(2)

商標法4条1項16号該当性判断の誤り(取消事由2)
第3
1
当事者の主張
取消事由1(商標法3条1項3号該当性判断の誤り)について

〔原告の主張〕
(1)

本件商標について

LOGは,
ログとの称呼を生じ,大文字LOGと小文字log
の区別は問題にならない。そして,
LOG(log)及びログの語は,一般
的に丸太,(コンピュータの記録としての)ログなどの意味を有し,さらに,本件役務に関する分野では,
loghouse(ログハウス)といった意味で

も使用され,理解されている。
一方,本件役務の提供の対象には,いずれも建物が含まれているから,LOG
の欧文字からなる本件商標をその指定役務に使用した場合には,これに接する取引者,需要者は,その役務が丸太ないし丸太材を用いてする(ログハウスの)建設工事,丸太材を用いる(ログハウスの)建築工事についての助言,そしてそのようにして建築された建物(ログハウス)を貸与し売買するものであることを表したものと理解する。
このように,本件商標の表示態様から,その指定役務の取引者又は需要者はその役務の質又は本件役務の提供の用に供する物を認識するのであって,LOGの
文字が役務の何らかの質等を具体的に表すものとして一般に使用されていることの立証は不要である。
(2)

本件商標の使用状況
建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与に関する分野における使用
不動産の賃貸借又はその仲介を行う不動産の総合情報サイトでは,LOG又
はログの語が,
ログハウスあるいは丸太の意味で使用されている。ま
た,ログハウス仮設住宅の被災者への貸出し等を紹介したサイトにおいて,ログ
との語が使用されている。さらに,ホテルや貸別荘などの建物の貸借を行う企業等のウェブページでは,ホテルの名称,賃貸物件や宿泊施設の名称の一部にLOG(log)又はログが使用され,ログハウスが宿泊施設であることを示している。
したがって,
建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与に関する分野において,
当該役務の対象である建物が丸太を用いた建物であること,又はログハウスであることを表示するものとして,
LOGlog及びログの語が使用されて

いることは明らかである。

建物の売買,建物の売買の代理又は媒介に関する分野における使用
不動産売買又はその仲介を行う不動産の総合情報サイトでは,
ログがログハウス又は丸太の意味で使用されている。また,同種の雑誌等では,ログ
が丸太
ログ材
ログハウスなどの意味で使用されている。さらに,インタ
ーネット上の掲示板等における取引者や需要者のコメントには,
ログがログハウスなどの意味で使用されている。
したがって,
建物の売買,建物の売買の代理又は媒介に関する分野において,
当該役務の対象である建物が丸太を用いた建物であること,又はログハウスであることを表示するものとして,
ログの語が使用されていることは明らかである。

建設工事,建築工事に関する助言に関する分野における使用

ログハウスの設計,施工などの建築工事を行う企業の企業名にLOG(log)又はログとの語が多用されているほか,ログがログハウス
丸太
ログ材などの意味で使用されている。
したがって,
建設工事,建築工事に関する助言に関する分野において,当該
役務が丸太を用いたものであること,その対象である建物が丸太を用いた建物であること,又はログハウスであることを表示するものとして,
LOG(log)及
びログの語が使用されていることは明らかである。

本件商標の使用状況は,以上のとおりであるほか,建築関係の企業のカタロ
グやパンフレットにおける使用状況,建物や建築に関する業界における取引者や需要者の認識でも,
ログがログハウス
丸太
ログ材などの意味で使用さ
れている。また,本件商標の派生語が広く使用されている。さらに,データベース日経テレコン21において,本件役務と密接不可分のキーワードである建設建物
ハウスとLOGを掛け合わせて検索すれば,その検索数は,それ
ぞれ223件,98件,128件に及ぶほか,そこでも,
ログがログハウス
丸太
ログ材などの意味で使用されている。
そうすると,本件役務を取り扱う業界において,ログハウスや丸太などのログ材を意味する語としてLOG(log)又はログは普通に使用されているというべきである。
したがって,本件役務において,
LOG(log)又はログの語が使用さ
れれば,その需要者や取引者は,ログハウス(本件役務の質)又は丸太などのログ材(本件役務の提供の用に供する物)を表示するものと認識するということができる。
(3)

公益

企業名等にLOGやログを含んでいる企業等は多数あり,その販促物等においてもLOG等を多用している。また,日本ログハウス協会会長も,本件商標の独占使用に懸念を述べている(甲233)
。このように,
LOGやログ
は丸太又はログハウスを意味するものとして,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,被告にその独占使用を認めるのは公益上適当ではない。
(4)

小括

よって,
LOGは本件役務の質又は本件役務の提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表示するものであるから,
LOGのみからなる本件商標は,
本件役務との関係において,商標法3条1項3号に該当する。
〔被告の主張〕
(1)

本件商標について


LOG等の意義
(ア)

本件商標が,大文字3文字に応じてエルオオジイと称呼される場合,
各語の頭文字の三文字を並べる,三文字頭字語としての表示であると理解されるから,本件商標は,何らかの略語,略語が示唆する原義,又は,一種の造語として認識,理解されるにとどまり,本件役務の質等を表すものではない。また,本件商標が,
logと同じログと称呼され,
丸太の意味を認識
させることがあるとしても,
logないしログの辞書的な意味としては,
記録航海記録[日誌],,対数測程器~の記録を取る,,,〔ある距離を〕走行する,〔航空機や船がある速度を〕出す,〔仕事などにある時間を〕費やす,かける航空記録[日誌],〔乗り物の〕運行記録[日誌]〔機械の〕運,,用記録旅行日記工程日誌ロガリズムログブックパソコン通信,,,,,の通信記録コンピュータの利用状況や通信の記録怠け者,愚か者などが,

あり,
丸太以外にも多数の語義を有する。
さらに,
過去ログデータログログをみるログインログアウト




などの用語に代表されるように,近年,
起こった出来事についての情報などを一定の形式で時系列に記録・蓄積したデータを指し示す用語としての用法も一般的である。
このように,
logやログは,何らかの略語,略語が示唆する原義若し
くは一種の造語,又は記録
丸太など,多様な意味,観念を生じさせるもの
であって,
LOGから,一義的に丸太という意味,観念が生じることはな
い。
(イ)

本件役務の分野においても,
LOGないしlog
ログは,造語

ないし多義語として実際に使用されている。
被告も,
LOGを不動産事業の一つにおいて使用しているところ,これは
大航海時代の船の航海における計測器を語源として採択されたものであって,丸太やログハウスの意味で使用していない。

丸太を想起する過程
LOGがlogないしログに置換され,建物を示すhouse
ないしハウスと結合し,
loghouse
ログハウスとして使用された
場合に初めてLOGから丸太が想起される。本件役務の分野においても,このようなhouseないしハウスといった言葉と結合し,あるいは関連付けることなく,
LOGから直ちに丸太が想起されることはない。
LOG
が丸太の意味を認識させるのは,
house(ハウス)といった特定の言葉
と結合し,あるいは関連付けられた場合のみである。
例えば,建築工事を請け負う企業名の一部にLOG(log)又はログが使用されているとしても,これらは,ログハウスを専門に取り扱っている企業が企業名にログを使用しているというだけであって,当該企業名のログのみから直ちに丸太を想起することはない。また,ホテルの名称,賃貸物件や宿泊施設の名称の一部にLOG(log)又はログが使用されているとしても,これらは,ログハウスの名称としてログを使用しているというだけであって,当該ホテル名等のログのみから直ちに丸太を想起することはない。ウ
商標法3条1項3号にいう商標に該当するか否かは,需要者,取引者が,当
該商標から指定役務の質等を直接的・一義的に看取し得ることが必要である。しかし,
LOGから丸太ないしログハウスを想起するまでには,幾重の想
像,連想の過程を要するのであって,
LOGのみから一義的に丸太の意味
が理解,認識されるのではない。
したがって,
LOGは,具体的な役務の質,提供の用に供する物を普通に用
いられる方法で表示する商標ではない。
(2)

本件商標の使用状況
使用時期

本件商標の使用の事実のうち,登録査定時より後のもの,又は使用時が明らかでないもの(甲17~155,197,201,210,212,217~221,223,224,227~232,254,269~274)は,商標法3条1項の要件の存否に影響を与えない。

log及びログの使用

大文字アルファベット三文字を並べた表示は,三文字頭字語として認識されることも多いから,本件商標が大文字3文字から構成されている事実は,本件商標の特徴の一つである。
log又はログの使用事実を示すものは,
LOGの使
用事実を示すものにはならない。

単独使用

LOGHOUSEやOLDLOGなど,
LOGを単独で使用し

ていないものをもって,
LOGが,丸太やログハウスの意味に使用されている
と評価することはできない。これにより,
LOGが丸太やログハウスを想起さ
せているとしても,それは間接的,暗示的に想起させているにすぎないというべきである。
また,
LOGが使用されているのは,ログハウスと関連付けられた場合のみであり,ログハウスとは無関係にLOGが丸太の意味で使用されている事実はない。さらに,
ログがそれのみで丸太の意味で使用されていることを
示す証拠も存しない。

その他の事情

原告は,ログハウスを説明する際に,
logやログが丸太の意味で
使用されているということ,すなわち,
ログハウス
loghouseのログ
logは丸太であると主張しているにすぎない。
なお,
ログの語を用いた派生語(ログビルダー,角ログ)が意味するところは,
ログが丸太の意味に理解されていることを示しているにすぎず,
LOGが一義的に丸太を意味するわけではない。また,ログハウス業界に所属する者の陳述書は,
ログハウスを念頭にLOGを丸太の意味で理解する
と述べているにすぎず,建物や建築に関する業界における取引者や需要者がLOGを丸太やログハウスの意味に理解することを示すものではない。さらに,データベース日経テレコン21によれば,
建設建物ハウスが使用され


ている記事が膨大であるにもかかわらず,その中でLOGが使用されている記事は,それぞれ100万分の18,100万分の85,100万分の54と,ごく僅かである。

以上のとおり,
LOGが,本件役務の分野において,それのみで,その

役務提供の質又はその対象である建物の特徴が,丸太ないし丸太材を用いたものであることを表示するものとして普通に使用されている事実はない。(3)

公益

LOGやログは,丸太の意味のみに解されるものでなく,取引に際し,必ずしも必要適切な表示としてその使用が欲せられるものでない。また,LOG
やログを丸太の意味で記述的に使用しても,商標的使用でなければ,商標法上,何ら制限されない。被告に本件商標の独占使用を認めても公益上適当ではないということはできない。
(4)

小括

よって,本件商標は,商標法3条1項3号に該当しない。
2
取消事由2(商標法4条1項16号該当性判断の誤り)について

〔原告の主張〕
本件商標は,これに接する需要者又は取引者に対し,役務の対象がログハウス等であると認識させる。本件商標を,ログハウス等以外を対象とする本件役務に使用すれば,その役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。
よって,本件商標は,本件役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから,商標法4条1項16号に該当する。
〔被告の主張〕
LOGは,本件役務の質を表示するものと認識させるものではない。また,本件役務における取引者,需要者は,経済的合理的な判断をするのに十分な年齢であり,かつ,取引価格の高額さゆえ,出所や品質を極めて重要な判断材料としているといえる。このような高い注意力を持った取引者,需要者が,多様な意味を有するLOGを,
丸太であると一義的に理解,認識するとは考え難い。
よって,本件商標は,本件役務の質の誤認を生ずるおそれがないから,商標法4条1項16号に該当しない。
第4

当裁判所の判断

1
取消事由1(商標法3条1項3号該当性判断の誤り)について

(1)

商標法3条1項3号について

商標登録出願に係る商標が商標法3条1項3号にいう役務の…質,提供の用に供する物…を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当するというためには,需要者又は取引者によって,当該商標が,当該指定役務の質又は提供の用に供する物を表示するものであろうと一般に認識され得ることをもって足りるというべきである。
そこで,本件商標の査定時において,本件商標が,本件役務の需要者又は取引者によって,本件役務の質又は提供の用に供する物を表示するものであろうと一般に認識され得るか否かについて検討する。
(2)

LOGの使用状況
役務の主体を表示するものとしての使用

証拠(各項末尾掲載のもの)によれば,本件商標の査定日以前において,次のとおり,役務を提供する主体の名称の一部に,
LOGが使用されていたことが認
められる。
(ア)

ログハウス,ログキャビンなどの丸太で構成される建物ないし丸太風の壁
材で構成される建物(以下丸太で構成される建物等ということがある。)の設
計をする会社が,自社を紹介するために,
LOGANAGANO,LOGHEART´SKURODHOUSEとの表示を使用している(甲26,1
86)

(イ)

丸太で構成される建物等の建築会社が,自社を紹介するために,
MUTSUMILOGOGLOG,CABINLOGRAFLOGK10ANA-L,,,TRUSTとの表示を使用している(甲32,42,55,5
8,186,243の6,249)

(ウ)

丸太で構成される建物等の販売会社が,自社を紹介するために,
LOGTRUSTLOG,LOGイHEYScanD,LOGWHITE,BIRDHOUSEとの表示を使用している(甲27,39,170,183)。

役務の客体を表示するものとしての使用

証拠(各項末尾掲載のもの)によれば,本件商標の査定日以前において,次のとおり,役務の提供の用に供する物の名称の一部に,
LOGが使用されていたこ
とが認められる。
(ア)
THE

丸太で構成される建物からなる宿泊施設名につき,
LOGHOTELMAPLELODGELOG,COTTAGETOMATOと表
示され,丸太風の壁材で構成される賃貸物件の名称につき,
F-LOGグエフロ幹と表示されている(甲67,111の1,269)。
(イ)

E
丸太で構成される建物を紹介する書籍の名称につき,
LOGHOUSMAGAZINEと表示されている(甲170~172)。
(ウ)

RY

丸太で構成される建物のブランド名につき,
G-LOGCOUNT,LOGENDLOGHOUSEFINECUT,LOGHOUSEWEEK,HOUSEECO・LOGと表示されている(甲200,,

203,204,251,255,258)

(エ)

丸太で構成される建物からなる施設名につき,
LOGROADDAIKANYAMAと表示されている(甲245の1,253)。

複合語としての使用

証拠(各項末尾掲載のもの)によれば,本件商標の査定日以前において,次のとおり,
LOGが他の言語と組み合わさって,使用されていたことが認められる。(ア)

雑誌に,丸太で構成される建物について,
LOGHOUSEと表示

されている(甲186,188,192)

(イ)

雑誌に,丸太で構成される小さな建物について,
MINILOG


LOGの小屋と表示されている(甲180,183,185,202)。
(ウ)
OLD

雑誌に,丸太で構成される外国に所在する古い建物について,
THISLOGと表示されている(甲170)


(エ)

雑誌に,丸太で構成される建物の組立材料について,
LOGKIT

と表示されている(甲180)

(オ)

雑誌に,丸太で構成される建物における生活様式について,
LOGLIFEと表示されている(甲186,200)

(カ)

雑誌に,丸太で構成される建物の画像及びゆっくりとした時間が流れますの文字とともに,SLOWLOGLIFEと表示されている(甲19

5)


単独使用

証拠(甲179)によれば,本件役務に関する分野において,本件商標の査定日以前において,丸太風の壁材で構成される建物に関するものであることを表示するために,
LOGのみが単独で使用されていたことが認められる。

以上によれば,本件役務に関する分野では,本件商標の査定日以前において,
役務の提供の用に供する物の内容について,それが丸太で構成される建物等であることを表示するために,その役務の主体や客体の名称の一部に,
LOGが数多
く使用されるとともに,丸太で構成される建物等に関するものであることを表示するために,
LOGが他の単語と組み合わさって又は単独で,数多く使用されていたということができる。
(3)

Log
logの使用状況
本件商標との相違

LOGとLog
logとは,大文字の欧文字で表記されているか,
小文字の欧文字で表記されているかの相違しかなく,同一の称呼及び観念を生じ,社会通念上同一の商標と認められる。
なお,
LOGは大文字の欧文字であるから,被告が主張するように,単語の頭文字を並べる略語であると認識され得るものである。しかし,本件役務の需要者又は取引者において,
LOGがどのような意味を示す略語であるかを示す証拠
はない。したがって,本件役務の需要者又は取引者が,
LOGをもって,
Log
logとは全く異なる意味を有すると認識することはないというべきである。

役務の主体を表示するものとしての使用

証拠(各項末尾掲載のもの)によれば,本件商標の査定日以前において,次のとおり,役務を提供する主体の名称の一部に,
Log
logが使用されていた
ことが認められる。
(ア)

丸太で構成される建物等の設計をする会社が,自社を紹介するために,
Deer(イ)LogHomesとの表示を使用している(甲18)。

丸太で構成される建物等の建築会社が,自社を紹介するために,
kitakaruizawalogkoboYOUNG,HomeISHINO,untryBoot,ghlandldenLogLogLog-CraftCampCLUBLog,LogBaseBuildersHouseLog,LEAVESLog&YoneharaHi,LTD.,CanadianCabinCoWaHomes社との表示
を使用している(甲33,37,48,170,172,187,193,252)

(ウ)

丸太で構成される建物等の販売会社が,自社を紹介するために,
CanadianLogBuildingherb&log,Suomiとの
表示を使用している(甲23,54)


役務の客体を表示するものとしての使用

証拠(各項末尾掲載のもの)によれば,本件商標の査定日以前において,次のとおり,役務の提供の用に供する物の名称の一部に,
Log
logが使用され
ていたことが認められる。
(ア)
g
丸太で構成される建物からなる宿泊施設名につき,
RentalCottage(イ)WestLoVillageと表示されている(甲124)。

丸太で構成される建物等を紹介する書籍の名称につき,
LogHomeLog&Livingと表示されている(甲167,257),

(ウ)
rn

丸太で構成される建物のブランド名につき,
FinlandModeLoge-loge-Logと表示されている(甲189,24,


7,256)


複合語としての使用

証拠(甲195)によれば,本件商標の査定日以前において,雑誌に,丸太で構成される建物等における生活様式について,
Log&Livingと表示され
ていたことが認められる。

以上によれば,本件役務に関する分野では,本件商標の査定日以前において,
役務の提供の用に供する物の内容について,それが丸太で構成される建物等であることを表示するために,その役務の主体や客体の名称の一部に,
LOGと社会
通念上同一と認められるLog
logが数多く使用されるとともに,丸太
で構成される建物等に関するものであることを表示するために,
Logが他の
単語と組み合わさって使用されていたということができる。
(4)

ログの使用状況
本件商標との相違

LOGは,通常の欧文字の読み方に基づけば,
エルオオジイログと

称呼されるものである。したがって,本件役務の需要者又は取引者は,LOG
から比較的容易にログを想起するものというべきである。

役務の主体を表示するものとしての使用

証拠(甲19,28~30,34,40,41,44~46,61~66,167,168,170,171,175,181,183,184,186~189,190,193,196,266,268)によれば,本件商標の査定日以前において,丸太で構成される建物等の設計・建築・販売をする会社が,自社を紹介するため,下記のとおり,その名称の一部に,
ログを使用していたことが認められ
る。

ノースランド・ログホームズ,MYログ工房,ウチダ・ログ・ビルディング,スクウェア

ログ

ホームズ,ノーザンライトログホームズ,ログ工房とっとの森株

式会社,ログ飯綱,信州ログアーツ,アックスログホームズ,ログクラフト事業協同組合,小田森林ログハウジング,カントリーフィールドログホームズ,蜂の巣ログハウジング,ログ工房

EL

CAMPO,ログキャビン劍,ハートランド・ロ

グ,ディー・ファー・ログホーム三都建設,香取ログ,アイビーログ工房,大建ログハウス住宅事業部,ディア・ログホームズ,日田ログハウジング協同組合,長野ログハウス建築設計,ベスト・ログ研究所,ログラフ,ウエスタンログホーム,ケンジーログ工房,ログハウスK2,ログキャビン・ヨールマー,ハーブ&ログ

オミ,ログ・トラスト,ハンドメイドログワークス,グループログ,白川ログハウス,春野ログホーム,BCログホーム,ログ工房ノーム,パシフィックログホームズ,キートス

ログハウス事業部,B・アラン・マッキー・スクール・オブ・ログ
ビルディング,カモノセ

ログ,ベストログ研究所,国際ログビルダーズ協会,ハ

ルナログ工房,七山ログ研究会

役務の客体を表示するものとしての使用

証拠(甲69,98の1,109,115の2,121の2,123,165,170,189,243の4,244の1)によれば,本件商標の査定日以前において,下記のとおり,丸太で構成される建物等からなる宿泊施設・ブランド・施設の名称の一部に,
ログが使用されていたことが認められる。

ニセコ・フリージアログヴィレッジ,道のログ宿
コテージあるむ,ログコテージ
ンション

木こりん,ペンション&ログ

エポック,コテージイン

秋岡屋,ログの宿たか木,ログ

ログキャビン,ログペ

ベアー,信玄ログ,ログロード代官山

複合語としての使用

証拠(甲13,14,156~196,198~200,202~206,209,211,213~216,222,233,261,263,265~267,275)によれば,本件商標の査定日以前において,下記のとおり,丸太で構成される建物等に関するものであることを表示するために,
ログが他の言語と組み
合わさって,使用されていたことが認められる。

ログホーム,ログハウス,ログ小屋,ログキャビン,ログコテージ,ログバンガロー,ログホテル,ログオフィス,ログ風ガレージ,テーマパーク風ログ,高床式ログ,ログメーカー,ログ施工会社,ログ会社,ログビルディング,ログビルダー,ログスクール,ログビルディングスクール,ログ業界,ログ事業,ログ原産国,輸入ログ,カナディアンログ,フィンランドログ,アメリカンログ,エストニアログ,中国ログ,ログ材,ログ形状,角ログ,角型ログ,スクエアログ,丸ログ,八角ログ,D型ログ,タイコ型ログ,楕円ログ,角集成ログ,板ログ,ログ面,フィラーログ,中空ログ,パワーログ,ログシェル,ログ壁,ログウォール,ログ壁量,ログ調パネル,土台ログ,ラミネートログ,ノンセントリングログ,ハンドカットログ,マシンカットログ,ハンドメイドログ,ファインカット・ログ,Fログ,ログサイズ,ログ組み,ログ積み,ログエンド,ログキット,BSログオイル,ログ間,断熱ログ,桧ログ,ログ風,ログ幅,ログ木口,ログカウンター,ログ手摺,ログ階段,ログ框,ログジョイント,ログワーク,シルログ,ハーフログ,キャップログ,コードログ,プレートログ,丸太ログ,トラスログ,ログワークテクニック,ログアート,ログ搬入,ログ工法,注文ログ,格安ログ,高級ログ,新築ログ,リゾート・ログ,低価格ログ,Newログ,オールドログ,ミニログ,ミニチュアログ,ログサイト,ログ専科,ログ建築,ダブデイル・ログ,ログヤード,ログ実績,ミニログ,住宅ログ,ログ住宅,ログ棟,総ログ,ログ建設,ログ造り,フルログ,ログ工場,ログ生活,ログライフ,ログプラン,ログファン,ログ通,ログオーナー,ログマガ,ログ暮らし,ログ日記,エコログ,海ログ,山ログ,ログ談義,ログ好き,アマチュア・ログ,自作派ログ,アンチログ,ログフリーク

以上によれば,本件役務に関する分野では,本件商標の査定日以前において,
役務の提供の用に供する物の内容について,それが丸太で構成される建物等であることを表示するために,その役務の主体や客体の名称の一部に,
LOGから比
較的容易に想起されるログが数多く使用されるとともに,丸太で構成される建物等に関するものであることを表示するために,
ログが他の単語と組み合わさ
って数多く使用されていたということができる。


需要者又は取引者の認識

以上のとおり,本件役務に関する分野では,本件商標の査定日以前において,役務の提供の用に供する物の内容について,それが丸太で構成される建物又は丸太風の壁材で構成される建物であることを表示するために,その役務の主体や客体の名称の一部に,
LOGや,
LOGと社会通念上同一と認められるLog及
びlog並びにLOGから比較的容易に想起されるログが数多く使用されるとともに,丸太で構成される建物等に関するものであることを表示するために,
LOGLoglog及びログが他の単語と組み合わさって又


は単独で,数多く使用されていたものである。
そうすると,本件商標の査定時において,
LOGは,本件役務の提供の用に
供する建物の種別について,ログハウス,ログキャビンなどの丸太で構成される建物又は丸太風の壁材で構成される建物という一定の内容であることを,本件役務の需要者又は取引者に明らかに認識させるものということができる。したがって,本件商標は,その査定時において,本件役務の需要者又は取引者によって,本件役務の質又は提供の用に供する物を表示するものであろうと一般に認識され得るというべきである。


被告の主張について


使用時期

被告は,本件商標の使用状況を示すインターネットサイトや雑誌等(甲17~155,197,201,210,212,217~221,223,224,227~232,254,269~274)は,本件商標の査定日より後に作成等されたものである,又はその作成等の時期が明らかでない旨主張する。しかし,前記(2)ないし(4)において認定に供した証拠(インターネットサイト,雑誌等)は,いずれも本件商標の査定日以前に作成されたもの又は本件商標の査定日以前の事実について記載されたものであり,これら証拠の記載によれば,前記(2)ないし(4)で認定した各事実を認めることができる。

LOGの意義

(ア)

被告は,一般に,また本件役務の分野においても,
LOGは,造語な

いし多義語として実際に使用されているなどと主張する。
(イ)

まず,英単語のLOGの辞書的な意味は,
丸太のほかにも,
記録航海日誌対数計測器コンピュータの利用状況や通信の記録な




どがあると認められ(甲3~12,乙2・3)
,近年ではコンピュータの利用状況や通信の記録に関連することを示す複合語としてログインログアウト,

過去ログなどの用語が一般的であることは,当裁判所に顕著である。しかし,本件役務とは無関係な分野におけるLOGの意義や使用状況は,LOGが,本件役務の需要者又は取引者に,本件役務によって提供される建物の種別について一定の内容を認識させるか否かという認定・判断に影響を与えるものではない。
(ウ)

また,本件役務に関する分野において,①建物のブランド名につき,計測
器という意義でLOGと表示する例(乙5)
,②建物賃貸関連会社が,丸太で
構成される建物等とは無関係な自社の活動内容を紹介するためにieログと表示する例(乙19)
,③丸太とは無関係に建築建材を紹介するインターネットサイトの名称につきArch-LOGと表示する例(乙20)
,④丸太で構成され
る建物等とは無関係な建物の適性評価に関する業務を行う会社が,自社を紹介するために建てログと表示する例(乙21)
,⑤丸太で構成される建物等とは無関
係な不動産会社が,自社を紹介するために福岡ログ不動産と表示する例(乙22)が認められる。なお,これらの他に,本件役務に関する分野において,LOGログなどが,丸太で構成される建物等とは異なる内容であることを示すた,
めに使用されている事実を認めるに足りる証拠はない。
もっとも,前記①及び②について,本件商標の査定時にも当該表示がされていたかについて明らかではない。この点をおくとしても,本件役務に関する分野において,
LOGログなどが,丸太で構成される建物等とは異なる内容であるこ,
とを示すために使用されている事実はわずか上記の5例にすぎないのに対し,前記(2)ないし(4)で認定したとおり,丸太で構成される建物等という一定の内容を示すために使用されている事実は極めて多数に及ぶ。そうすると,前記①ないし⑤の事実は,
LOGが,本件役務によって提供される建物の種別について,丸太で構成される建物等という一定の内容を示しているであろうという,需要者又は取引者の認識に異なる認識を与えるものではないというべきである。
(エ)

したがって,一般に,また本件役務の分野において,
LOGが造語な

いし多義語として実際に使用されているとの被告の前記主張は,結論に影響するものではない。

丸太を想起する過程

被告は,
LOGが丸太の意味を認識させるのは,
ハウスといった特定
の言葉と結合し,あるいは関連付けられた場合のみであり,
LOGから丸太
の意味が一義的に想起されるものではないなどと主張する。
しかし,本件役務の提供の用に供する物は建物それ自体であり,かつ,前記(2)ないし(4)で認定したとおり,本件役務の分野において,
LOGログなどが,

丸太で構成される建物等と関連付けられて使用されている事実は多数に及ぶものである。そうすると,
LOGが建物に関する単語と結合し,又は建物に関連付け
られているか否かにかかわらず,
LOG自体が,本件役務によって提供される
建物の種別について,丸太で構成される建物等という一定の内容を示しているであろうと需要者又は取引者に明らかに認識させるというべきである。たとえ,LOGが,建物に関する単語と結合し,又は建物に関連付けられることで,丸太で構成される建物等を想起させることがあったとしても,
LOGのみからも,本件
役務によって提供される建物の種別について,本件役務の需要者又は取引者に一定の内容を想起させるものである。
したがって,
LOGから丸太の意味が一義的に想起されないなどの被告
の前記主張は,結論に影響するものではない。


小括

このように,本件商標の査定時において,
LOGは,本件役務の提供の用に
供する建物の種別について,ログハウス,ログキャビンなどの丸太で構成される建物又は丸太風の壁材で構成される建物という一定の内容であることを,本件役務の需要者又は取引者に明らかに認識させるものということができる。したがって,本件商標は,その査定時において,本件役務の需要者又は取引者によって,本件役務の質又は提供の用に供する物を表示するものであろうと一般に認識され得る。よって,
LOGは本件役務の質又は提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表示するものというべきであるから,
LOGのみからなる本件商標は,
本件役務との関係において,商標法3条1項3号に該当するものと認められる。以上のとおり,取消事由1は理由がある。
2
結論

以上によれば,その余の取消事由について判断するまでもなく,本件審決は取り消されるべきものであるから,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第1部

裁判長裁判官

高部眞
裁判官

杉浦正
裁判官

片瀬規子樹亮
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