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接見等禁止の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
事件番号平成31(し)113
事件名接見等禁止の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
裁判年月日平成31年3月13日
法廷名最高裁判所第三小法廷
裁判種別決定
結果破棄差戻
原審裁判所名和歌山地方裁判所
原審事件番号平成31(む)48
原審裁判年月日平成31年2月19日
判示事項傷害致死被告事件において接見等禁止の裁判に対する準抗告を棄却した原決定に刑訴法81条,426条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
裁判日:西暦2019-03-13
情報公開日2019-03-18 12:00:05
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平成31年(し)第113号

接見等禁止の裁判に対する準抗告棄却決定に対

する特別抗告事件
平成31年3月13日

第三小法廷決定

主文
原決定を取り消す。
本件を和歌山地方裁判所に差し戻す。
理由
本件抗告の趣意は,事実誤認の主張であって,刑訴法433条の抗告理由に当たらない。
しかしながら,所論に鑑み,職権により調査すると,原決定には,同法81条,426条の解釈適用を誤った違法があり,取消しを免れない。その理由は,以下のとおりである。
1
本件公訴事実(傷害致死罪)の要旨は,被告人が,自宅において,父親であ
る被害者の背部を包丁で2回突き刺すなどの暴行を加えて,胸背部刺創等の傷害を負わせ,よって,同人を胸背部刺創に基づく胸腔内臓器損傷による出血性ショックにより死亡させたというものである。
2
一件記録によれば,以下の事実が認められる。

被告人は,本件で現行犯逮捕され,勾留,鑑定留置を経て,平成30年4月20日に起訴された。原々審は,同日,検察官の請求により,第1回公判期日が終了する日までの間,被告人と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見等を禁止する旨の決定をした。公判前整理手続において,主な争点は責任能力の有無,程度に絞られた。検察官は,完全責任能力を主張するのに対し,弁護人は,飲酒と服用した薬の影響により,被告人に急性の意識障害が生じて,心神喪失又は心神耗弱の状態にあったと主張した。弁護人は,責任能力の鑑定を依頼したA医師(以下A医師という。)及び情状に関して被告人の妹の証人尋問を請求するとしている。弁護人は,平成31年2月7日,A医師及び被告人の妹について,罪証隠滅を疑うに足りる相当な理由はなく,公判における防御の準備のため接見等を行う必要が高いとして,接見等禁止の一部解除を申請したが,職権発動がされなかったことから,同月18日,主位的に原々裁判を取り消して接見等禁止請求を却下し,予備的にA医師及び被告人の妹を接見等禁止の対象から除外することを求める本件準抗告を申し立てた。
3
原決定は,弁護人の予定主張から予想される立証対象及びこれに係る証拠構
造に照らすと,現時点で被告人に自由な接見等を認めれば,被告人が関係者に対して直接又は第三者を介して働き掛けるなどして,責任能力や重要な情状に関する事実について罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があり,原々裁判時はもとより原決定時においてもなお,被告人を勾留することのみによってはこの罪証隠滅のおそれを防止することは困難であり,A医師についても,無限定に接見等を認めるときには同様であるから,A医師及び被告人の妹も含めて接見等を禁止する必要があり,弁護人が防御等の必要性として主張するところを考慮しても,前記判断を左右しないとして,本件準抗告を棄却した。これに対し,弁護人が特別抗告を申し立てた。
4
そこで検討すると,原々裁判が,公判前整理手続に付される本件について,
接見等禁止の終期を第1回公判期日が終了する日までの間と定めたことは,公判前整理手続における争点及び証拠の整理等により,罪証隠滅の対象や具体的なおそれの有無,程度が変動し得るにもかかわらず,接見等禁止を長期間にわたり継続させかねないものである。このような原々裁判について,平成31年2月に至り,接見等禁止の一部解除の申請について職権が発動されず,原決定が公判前整理手続の経過等を考慮した上で本件準抗告を棄却したという経緯を踏まえると,当審においても,前記公判前整理手続の経過等原々裁判後の事情をも考慮して原決定の当否を判断するのが相当である。
5
本件では,公判前整理手続において,弁護人の予定主張が明示され,主な争点が責任能力の有無,程度に絞られたこと,争点に関する証人として,起訴前鑑定をした医師とA医師のほか,犯行を目撃した被害者の妻らが予定されていること,A医師については,接見等禁止の一部解除の申請に対する検察官の意見書において,接見等を行う必要性がないとしているだけで,接見等による罪証隠滅のおそれに関する事情は主張されていないことが指摘できる。以上によれば,少なくとも,A医師については,特段の事情がない限り,被告人が接見等により実効的な罪証隠滅に及ぶ現実的なおそれがあるとはいえず,また,連日的な集中審理の公判に向けた準備を行う必要性が高いといえる。さらに,被告人の妹ら他の関係者についても,勾留に加えて接見等を禁止すべき程度の罪証隠滅のおそれの有無に関し,原決定が具体的に検討した形跡は見当たらない。
6
以上のとおり,原決定には,刑訴法81条,426条の解釈適用を誤った違
法があり,これが決定に影響を及ぼし,原決定を取り消さなければ著しく正義に反するものと認められる。
よって,同法411条1号を準用して原決定を取り消した上,同法434条,426条2項により,本件を和歌山地方裁判所に差し戻すこととし,裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官

戸倉三郎

裁判官

山崎敏充

宮崎裕子)
裁判官


景一

裁判官

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