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不正競争防止法違反
事件番号平成30(ろ)5
事件名不正競争防止法違反
裁判年月日平成31年3月13日
法廷名立川簡易裁判所
裁判日:西暦2019-03-13
情報公開日2019-04-08 16:00:12
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平成30年(ろ)第5号
不正競争防止法違反
平成31年3月13日宣告

立川簡易裁判所

主文
被告人を罰金1億円に処する
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社a(以下被告会社という。)は,鉄鋼・非鉄金属及びその合金等の製造販売等の事業を営むものであるが,
第1

被告会社b事業部門c工場d室長であったA及び同工場e室長で
あったBらにおいて,被告会社の業務に関し,別表1(添付省略)記載のとおり,平成28年9月16日頃から平成29年8月28日頃までの間,三重県いなべ市(以下省略)所在の同工場において,被告会社がf株式会社及びg株式会社から受注して製造した油圧鍛造品又は砂型鋳造品の製品合計297個について,同工場で検査した結果では各製品が発注会社との間で合意した仕様を満たしていなかったにもかかわらず,同仕様を満たした旨記載した内容虚偽の材料検査証明書合計167通を作成した上,平成28年9月26日頃から平成29年9月12日頃までの間,167回にわたり,運送業者等を介し,東京都府中市(以下省略)所在のh株式会社事務所ほか1か所において,前記内容虚偽の材料検査証明書各1通を,前記f株式会社から前記油圧鍛造品の受入検査業務の委託を受けた前記h株式会社の従業員であるC及び前記砂型鋳造品等の受入検査業務に当たった前記g株式会社の従業員であるDらに交付し

第2

被告会社b事業部門i製造所j工場k室長であったEらにおいて,
被告会社の業務に関し,別表2(添付省略)記載のとおり,平成28年11月7日頃から平成29年5月11日頃までの間,山口県下関市(以下省略)所在の同製造所において,被告会社がl株式会社から受注して製造した銅板条製品合計約4万9563キログラムについて,同製造所で検査した結果では各製品が発注会社との間で合意した仕様を満たしていなかったにもかかわらず,同仕様を満たした旨記載した内容虚偽の検査成績書合計90通を作成した上,平成28年11月18日頃から平成29年8月3日頃までの間,90回にわたり,運送業者等を介し,野県中野市以下省略)在の同社m工場において,



前記内容虚偽の検査成績書各1通を同社の従業員であるFらに交付し
第3

被告会社b事業部門n製造所o部p室長であったGらにおいて,被告会社の業務に関し,別表3(添付省略)記載のとおり,平成28年9月7日頃から同年12月9日頃までの間,栃木県真岡市(以下省略)所在の同製造所において,被告会社がq株式会社から受注して製造したアルミ板製品合計約18万7072キログラムについて,同製造所で検査した結果では各製品が発注会社との間で合意した仕様を満たしていなかったにもかかわらず,同仕様を満たした旨記載した内容虚偽の材料検査証明書合計48通を作成した上,平成28年9月8日頃から同年12月12日頃までの間,48回にわたり,運送業者等を介し,同市(以下省略)所在の同社r工場内s株式会社t部u営業所ほか3か所において,前記内容虚偽の材料検査証明書各1通を,前記q株式会社から資材受入業務の委託を受けた前記s株式会社の従業員であるHらに交付し

もって,取引に用いる書類に商品の品質について誤認させるような虚偽の表示をしたものである。

(証拠の標目):省略
(法令の適用):省略
(量刑の理由)
本件は,被告会社のb事業部門を担当する3つの製造所等において,被告会社の従業員であるk室長らが,発注先であるf株式会社,g株式会社,l株式会社,q株式会社から受注して製造した製品について,発注先との間で合意した仕様(以下顧客仕様という。)を満たしていなかったにもかかわらず,検査数値を改ざんして,顧客仕様を満たした旨記載した内容虚偽の証明書を作成して,発注先に交付し,取引に用いる書類に商品の品質について誤認させるような虚偽の表示をしたという事案である。被告会社は,v業界における最大手の事業者として,市場において大きな競争力を有していたにもかかわらず,品質検査によって得た数値を改ざんし虚偽の表示をするという悪質な方法により,顧客仕様に従って製品を提供するという,引上,も基本的で重要なルールに違反し,の結果,取


多額の売り上げを得ていたものである。しかも,被告会社による虚偽の表示は,多年にわたって繰り返されており,本件は,生産至上主義のもと納期を優先する企業風土,経営陣においても品質コンプライアンス意識が不足していたことなどが指摘されている被告会社の企業体質に根差す,常習的な犯行であったといわざるを得ない。
本件により,発注先である各企業に与えた経済的損害や顧客対応などの負担も多大であり,さらには,我が国の製造業全体に対する信頼を揺るがせたことも見過ごすことはできない。
以上のような本件犯行に至る経緯,犯行の態様,結果等に照らすと,被告会社の刑事責任は重いというべきである。
他方において,被告会社は,自発的に行った品質自主点検により,本件犯行にかかる不正行為を認知し,その事実を公表したこと,発注先企業と
の間で,製品の安全性を確認し,金銭的な補償の点も解決を見たか,解決の見通しが立っていること,被告会社において,本件犯行に至った原因を分析した上,再発防止策を策定し,これを実施し始めていることなど,被告会社にとって有利とすべき情状が認められる。
以上の諸情状に照らすと,本件に対しては,法定刑が3億円以下の罰金刑と定められているところ,検察官が求める罰金1億円の刑は,本件に相応な刑と考えられ,被告会社を,この刑に処することとする。
平成31年3月13日
立川簡易裁判所

裁判官

八木正一
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