判例検索β > 平成30年(わ)第3721号
地方公務員法違反、詐欺、業務上横領
事件番号平成30(わ)3721
事件名地方公務員法違反,詐欺,業務上横領
裁判年月日平成31年3月20日
法廷名大阪地方裁判所
裁判日:西暦2019-03-20
情報公開日2019-04-16 12:00:09
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主文
被告人Aを懲役3年に処する
被告人Aに対し,この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予する。
被告人Bを懲役2年6月に処する。
被告人Bに対し,この裁判確定の日から4年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人Aは,大阪府警察官であり,大阪府南警察署警備課公安係等において警備犯罪の捜査等の業務に従事し,同署における当直勤務においては,拾得物件の保管管理,返還等の遺失・拾得業務等に従事していた者,被告人Bは,被告人Aの知人,Cは,被告人Bの知人であるが,
第1

被告人Aは,別表(省略,以下同じ)拾得物件欄記載の各情報が自己の職務上知り得た秘密であったにもかかわらず,別表秘密漏えい日時欄及び同場所欄記載のとおり,平成29年11月11日頃から平成30年6月18日頃までの間,9回にわたり,大阪市中央区東心斎橋1丁目5番26号大阪府南警察署ほか1か所において,被告人Bに対し,電話等で,拾得日時・場所,金額,内訳並びに現金の入った封筒又は財布の特徴等の前記拾得物件情報を教示し,もって職務上知り得た秘密を漏らし,

第2

被告人両名は,大阪府警察遺失物管理システムを使用して不正に入手した拾得物件情報を利用し,遺失者を装って,警察署に保管中の現金等をだまし取ろうと考え,共謀の上,被告人Bが,別表番号1,2,5,7ないし9,11,12に対応する別表遺失届出書提出日欄及び同場所欄記載のとおり,平成29年11月11日から平成30年6月25日までの間,8回にわたり,前記大阪府南警察署ほか7か所において,自己を遺失者とする遺失届出書を提出した上,同別表番号に対応する別表欺罔日欄及び同場所欄記載のとおり,平成29年11月11日から平成30年6月22日までの間,8回にわたり,前記大阪府南警察署ほか7か所において,被告人Bが,真実は拾得物の遺失者ではないのに,そうであるかのように装い,同別表番号に対応する別表被欺罔者欄記載の警察官や警察職員に対し,電話で又は直接に,同別表番号に対応する別表拾得物件欄記載の拾得物について,被告人Bが遺失者である旨うそを言い,その頃,前記警察官や警察職員らにその旨誤信させ,同別表番号に対応する別表拾得物件交付日欄及び同場所欄記載のとおり,平成29年11月20日から平成30年6月25日までの間,8回にわたり,前記大阪府南警察署ほか7か所において,同別表番号に対応する別表拾得物件交付者欄記載の警察職員から現金合計186万円の交付を受け,もって人を欺いて財物を交付させ,第3

被告人両名は,大阪府警察遺失物管理システムを使用して不正に入手した拾得物件情報を利用し,遺失者を装って,警察署に保管中の現金をだまし取ろうと考え,Cと共謀の上,Cが,別表番号3,6,10に対応する別表遺失届出書提出日欄及び同場所欄記載のとおり,平成29年12月25日から平成30年4月6日までの間,3回にわたり,堺市南区桃山台2丁2番1号大阪府南堺警察署ほか2か所において,自己を遺失者とする遺失届出書を提出した上,同別表番号に対応する別表欺罔日欄及び同場所欄記載のとおり,平成29年12月25日から平成30年4月6日までの間,3回にわたり,前記大阪府南堺警察署ほか2か所において,Cが,真実は拾得物の遺失者ではないのに,そうであるかのように装い,同別表番号に対応する別表被欺罔者欄記載の警察職員に対し,電話で又は直接に,同別表番号に対応する別表拾得物件欄記載の拾得物について,Cが遺失者である旨うそを言い,その頃,前記警察職員らにその旨誤信させ,同別表番号に対応する別表拾得物件交付日欄及び同場所欄記載のとおり,平成29年12月27日から平成30年4月6日までの間,3回にわたり,前記大阪府南堺警察署ほか2か所において,同別表番号に対応する別表拾得物件交付者欄記載の警察職員から現金合計103万円の交付を受け,もって人を欺いて財物を交付させ,
第4

被告人両名は,被告人Aが当直勤務時に,前記大阪府南警察署において業務上預かり保管中の拾得物件である現金16万946円ほか1点在中の長財布1個を着服しようと考え,共謀の上,平成29年12月28日午前2時30分頃,前記大阪府南警察署において,被告人Aが,遺失者を装って来署した被告人Bに対し,前記長財布の返還手続を行った上,同人にこれを手交して横領した。

(証拠の標目)
省略
(法令の適用)
被告人A
罰条
第1

別表の番号ごとに(ただし番号6ないし8,9及び10は
それぞれ包括して)地方公務員法60条2号,34条1項
前段

第2,第3

別表の番号ごとに(ただし,番号4は除く)刑法60条,
246条1項

第4

刑法60条,253条

刑種の選択
第1
併合罪の処理

懲役刑を選択
刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び犯情の最も
重い判示第3別表10の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予

刑法25条1項

訴訟費用

刑事訴訟法181条1項ただし書(不負担)

被告人B
罰条
第2,第3

別表の番号ごとに(ただし,番号4は除く)刑法60条,
246条1項

第4

刑法65条1項,60条,253条(被告人には業務上占
有者の身分がないので刑法65条2項により同法252条
1項の刑)

併合罪の処理

刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び犯情の最も
重い判示第3別表10の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予

刑法25条1項

訴訟費用

刑事訴訟法181条1項ただし書(不負担)

(量刑の理由)
本件は,警察官であった被告人Aが,遺失物管理システムを利用して,その職務上知り得た情報を悪用し,9回にわたって,遺失者の特定が困難な現金等の拾得物の情報を友人である被告人Bに伝えた上,同人らが遺失者になりすまし,約7か月の間に,12回にわたって,合計300万円を超える多額の現金等を警察官等からだまし取るなどした犯行である。入念に計画された巧妙な犯行であるのみならず,市民の警察官に対する信頼を失墜させた犯行であって,強い社会的非難を免れない。
被告人Aは,警察官として,本来市民の財産を守るべき立場にありながら,あろうことか遊ぶ金欲しさに本件詐欺等を発案し,被告人Bを犯行に引き入れた上,本件犯行に必要不可欠な拾得物件情報を取得し,漏えいし続けたものであるから,取り分けその責任は重い。
被告人Bについても,警察官が共犯者であれば犯行が発覚することはないであろうなどと考えて安易に犯行に加担し,遺失者役として詐欺行為を担ったのみならず,自分ばかりが遺失者役をすれば,犯行発覚の危険が高まると考えて,友人を犯行に引き入れたものであり,やはりその責任は重い。
他方,被告人らが被害金全額について被害弁償し,被害品についても返還したことに加え,いずれも前科前歴がなく,一貫して事実を認めて反省していること,被告人Aについても,被告人Bについても,証人として出廷した父親が今後の監督を誓約していることなど,各被告人のために酌むべき事情も存在することから,これらの事情も考慮し,各被告人に対してそれぞれ主文掲記の懲役刑を科した上で,いずれもその執行を猶予することが相当であると判断した。
(求刑

被告人Aについて懲役3年6月,被告人Bについて懲役3年)

平成31年3月22日
大阪地方裁判所第6刑事部

裁判官

海瀬弘章
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