判例検索β > 平成30年(ネ)第558号
事件番号平成30(ネ)558
裁判年月日平成31年3月27日
法廷名福岡高等裁判所
原審裁判所名福岡地方裁判所
原審事件番号平成26(ワ)3485
裁判日:西暦2019-03-27
情報公開日2019-05-17 14:00:12
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主1文
原判決を次のとおり変更する。
被控訴人は,控訴人に対し,55万円及びこれに対する平成26
年12月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。

2
訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを8分し,その1を被控訴人の負担とし,その余を控訴人の負担とする。

3

第1

実及び理由
控訴の趣旨

1
原判決を取り消す。

2
被控訴人は,控訴人に対し,440万円及びこれに対する平成26年12月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2
1
事案の概要
事案の要旨(略称は,特記するもの以外,原判決の表記に従う。)本件は,被控訴人の設置する福岡市立中学校(本件中学校)の特別支援学級(本件情緒学級)に通っていた控訴人が,在学中,①本件中学校の校長及び各学年時の学級担任らにおいて,指導計画を作成せず,これに基づく授業等を実践しなかったことにより,控訴人の学習権を侵害し,また,②本件中学校の嘱託員から暴行を加えられ,③本件中学校の教諭から,暴行及び脅迫を加えられ,名誉を毀損されたとして,被控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として440万円
(上記①につき慰謝料300万円,
②及び③につき慰謝料100万円,弁護士費用40万円)及び加害行為後の日(訴状送達日)である平成26年12月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
原審は,控訴人の請求をいずれも棄却したので,これを不服として控訴人が控訴した。
2
前提事実,争点及びこれに関する当事者の主張
後記3のとおり原判決を補正し,後記4のとおり当審における当事者の補足的主張を追加するほかは,原判決事実及び理由中の第2事案の概要
1及び2記載のとおりであるから,これを引用する。
3
原判決の補正
原判決3頁4行目の規則を学校教育法施行規則(以下「規則とい
う。)」に改め,同4頁10行目から同11行目の(法施行規則(以下「規則という。)」を規則に改める。原判決4頁8行目の使用し(法49条,34条)を使用する(法49条,34条)。また,中学校の教育課程は,国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,技術・家庭及び外国語の各教科,道徳,総合的な学習の時間並びに特別活動(控訴人の1年次及び2年次(平成22年4月から平成24年3月まで)はこれらに加えて選択教科)によって編成するものとするとされ(規則72条),各学年における各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動の授業時数等は,規則別表第二に定める授業時数を標準とするとされている(規則73条)ほかに改める。原判決4頁12行目から同13行目の平成14年5月27日付け文部科学省初等中等教育局長通知に基づき,を削除し,同21行目の1頁を3頁に改める。
原判決4頁23行目から同24行目の一部の移行措置が採られた科目を除いて,を削除し,同5頁10行目の作成するを作成することに改め,同13行目の

改められた。

の次になお,中学校学習指導要領教育課程編成の一般方針,授業時間数等の取扱い及び指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項や各教科の可能な内容については,平成20年6月13日付け文部科学省告示第99号により,平成21年4月1日から施行された。を,同14行目の54(6頁)の次に,57をそれぞれ加える。


原判決16頁22行目の苦手意識も強かったを検定本の冒頭の数頁に記載されている,簡単な挨拶,イラスト付きの英単語等を学ぶ授業を行うことを試みたが,控訴人の苦手意識が強く,授業に集中して取り組むことができなかったに改める。
4
当審における当事者の補足的主張
(控訴人)
小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)と題する文部科学省初等中等教育局長の平成22年5月11日付け通知において,目標に準拠した評価による観点別学習状況の評価や評程を着実に実施するよう求めており,これは特別支援教育におけるPDCAサイクルと共通の考え方である。そして,上記通知は,特別支援教育については,新しい学習指導要領により個別の指導計画の作成が義務付けられたことを踏まえ,当該計画に基づいて行われた学習の状況や学習の結果の評価を行うことが必要であるとしている。
特別支援学校学習指導要領解説に記載されているとおり,教育課程の編成に当たっても,それまでの教育課程を評価し,その課題を明らかにする必要があり,さらにその課題が計画,実施あるいは実施上の諸条件のいずれにかかわるものか等について検討し,改善すべき点を明確にして,その後の教育課程の編成に生かすべきである。個別の指導計画等はこうした特別支援教育の本質に関わるものであるし,指導要録は編成された教育課程に対応して作成されるものである。したがって,特別支援教育においては,指導要録,個別の教育支援計画や指導計画,各教科年間計画が関連付けられ補い合う関係にあり,これらを誠実に作成することにより,学習指導要領が求める教育内容が担保される。
本件中学校においては,控訴人について,学習指導要領に定められている観点別学習状況評価を実施せず,他方で,特別支援学校において義務付けられている個別の指導計画や教育支援計画について,控訴人の障害の状況に応じた具体的な教育活動の内容,方向等が分かるようなものを作成していない。こうしたことは,これらの作成を通じて担保されるはずの控訴人の学習権を保障する教育活動が実施されていなかったことを意味する。


1年次
(指導内容決定段階における裁量権の逸脱濫用)

控訴人には知的障害や学習障害が認められないにもかかわらず,a教諭は,控訴人の指導要録に知的障害を有する生徒に用いられる書式を使用し,教育課程の編成についても,知的障害を有する生徒を教育する特別支援学校における指導形態である作業学習,生活単元学習,日常生活指導の時間を設けており,その結果,原則として,中学校学習指導要領に基づいて行われるべき控訴人に対する教育内容である各教科を学習する機会が必要以上に奪われた。
仮に,控訴人の障害の状態等から,知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校における教育課程を編成し,その指導要録の書式(以下知的障害生徒用の書式という。)を用いる必要があると判断したのであれば,特別支援教育の観点から個別の教育支援計画や指導計画を作成し,これらと指導要録の記載により控訴人の学習目標を設定し,その到達度をきめ細やかに評価すべきであった。それにもかかわらず,控訴人に係る個別の指導計画及び指導要録の記載は不十分であり,1年次において,学習指導要領の趣旨に沿った教育課程の編成、個別の指導計画,教育支援計画,指導要録の作成が行われたと評価することはできず,裁量権の逸脱濫用がある。


a教諭は,控訴人に係る小学校における実践の引継,即ち控訴人の実情把握が不十分であったため,入学当初,控訴人について何ら対応がとられることなく,控訴人が落ち着けるコーナーの設置も2学期になってからであった。
(教育実施段階における裁量権の逸脱濫用)

a教諭は,年度当初は情緒学級Bにおける教育課程に入っていた英語(外国語科目)の指導を,学校長に相談しないまま,主として,平成■■年度の実践で成果が上がらなかった経験から,情緒学級Bの全学年の生徒について実施しなかった。
特別支援学校学習指導要領によれば,特に定められた場合を除き,外国語を含むすべての教科を取り扱わなければならないとされ(甲28・158頁),特別支援学校中学部においても,知的障害がある場合のほかは,外国語科を設けないことはできない(同・163頁,甲63・221頁)。したがって,中学校の特別支援学級に在籍する知的障害のない生徒について,英語の授業を実施しないことは学習指導要領では認められていないのであるから,控訴人に対してこれを実施しなかったことは裁量権を逸脱し,違法である。



2年次
(指導内容決定段階における裁量権の逸脱濫用)
b教諭作成に係る各教科年間指導計画,個別の指導計画,指導要録及び時間割は,以下のとおり,学習指導要領の趣旨に沿ったものとはいえない。ア
b教諭作成に係る各教科年間指導計画は,国語,数学,社会、音楽,美術,技術・家庭,英語について4月から3月まで毎月同じ内容であり,英語についても順を追って理解が進むような計画となっていない。また,個別の指導計画に,指導の経過と評価欄が記載されていないし,指導要録も知的障害生徒用の書式が用いられ,中学校教育過程の指導要録に定められた観点別学習状況の評価が実施されていない。時間割についても,各教科年間指導計画と個別の指導計画に即して指導内容や時間数を決めて編成されたものではないし,この時間割どおりに実施されたのであれば,各教科の時間数が通常学級よりも少なくなる。

b教諭は,控訴人に対して特別支援学校学習指導要領に基づく教育を行う必要があると判断したことがうかがわれるところ,同指導要領によれば,自立活動は個別の指導計画の下に実施されることが求められているが,b教諭が作成した個別の指導計画では,同指導要領に定められた自立活動の記載欄がなく,これに関する計画や実情の記載もないし,控訴人の課題も設定されていない。

(教育実施段階における裁量権の逸脱濫用)

b教諭は時間割表を作成したものの,例えば平成■■年9月8日にみられるように,実際の授業は時間割どおりには実施されていない。


b教諭は,控訴人に対し,教材として,就学前の幼児用や小学校低学年用のプリントや就学前レベルのドリルしか与えておらず,実質的には放置に等しい扱いを受けていたもので,裁量権を逸脱したものである。


3年次
(指導内容決定段階における裁量権の逸脱濫用)

個々の生徒の実態に応じた指導目標や方針等が定められる個別の指導計画作成の基になる,c教諭が作成した控訴人の各教科年間指導計画は,控訴人の実情を踏まえたものではなかった。そして,控訴人の学習に関する十分な記録がないことは,PDCAサイクルが実践されないため,指導計画は修正されることもない結果,各教科年間指導計画が控訴人の実情を踏まえたものとなっていなかったことを裏付ける。


c教諭が引継を受けたというb教諭の教育実践は,自らが立てた計画をどのように実践したのか記録せず,実践に対する評価も行っていない杜撰なものである。また,c教諭作成の個別の指導計画における控訴人の現在の状態の記載はb教諭のそれのほぼ丸写しであり,2年次における控訴人の成長を踏まえた指導計画となっていない。
(教育実施段階における裁量権の逸脱濫用)

特別支援教育においては,生徒の実態を把握した指導計画が必要とされ,これに沿った教育を行い,この計画が有効か否かを確認し,必要に応じて修正するといういわゆるPDCAサイクルに従った教育を行うことが必須とされている。そして,特別支援学校学習指導要領も,生徒の実態に応じた個別の指導計画の作成,教育を実施した上で,教師の指導を評価し改善につなげることを求めており,PDCAサイクルに従った教育を行うことが要請されている。
ところが,c教諭は,控訴人に対してどのような指導をしたかという指導記録を作成せず,自己の指導の検証をしなかった。

(被控訴人)


1年次
(指導内容決定段階における裁量権の逸脱濫用)

a教諭は,控訴人入学前の平成■■年3月に本件中学校と■■小学校との間で行われた情報交換の場に出席し,控訴人の小学校6年次の担任から1時間程度話を聞いており,引継が著しく不十分であったとはいえない。
(教育実施段階における裁量権の逸脱濫用)

控訴人の入学当初の学力水準,英語に対する苦手意識や当時頻発していたトラブルによる授業自体への不参加等の実情を踏まえ,a教諭が英語の授業を実施しなかったことが,著しく不合理な判断,対応とはいえない。


2年次
(指導内容決定段階における裁量権の逸脱濫用)

b教諭は,控訴人の学習面において,教科によって小学校の学習内容から少しずつ難易度を上げる手法をとり,各教科の時間数及び配置を控訴人が取り組みやすいものとするとともに,教科や授業内容に応じて個別指導することとした結果,控訴人が学習に意欲的に取り組める時間が増えた。イ
b教諭は個別の指導計画Ⅱを作成し,その指導の経過と評価の
欄を記載して,本件中学校のパソコンのフォルダにデータで保存した。
(教育実施段階における裁量権の逸脱濫用)

その日のやる気や集中力,トラブルの発生の有無とその対応の要否等といった控訴人の状況に応じて予定が変更されることが想定され,時間割どおりの科目を実施しなかったことが裁量権の逸脱濫用を基礎付けるものではない。


b教諭は,控訴人の英語の理解度・習熟度が中学2年相当の水準に達していなかったことや,現状のレベルよりも授業の難易度を上げると,控訴人が学習自体を拒否することが何度もあったことから,中学1年生用の検定本を使用して英語の授業を実施した。
また,b教諭は,国語,数学,社会及び理科について検定本を中心とした授業を実施していないが,これら教科に関する控訴人の理解度,習熟度が低かったため,まずは控訴人に興味関心を持たせて意欲を引き出し,学習する習慣を身に付けさせるために補助教材による授業を行う方が適切かつ有益だと考えたことによるもので,適切な教育実践活動である。


3年次
(指導内容決定段階における裁量権の逸脱濫用)

c教諭が作成した控訴人の個別の指導計画やその他の控訴人に係る記録は,控訴人の実情を踏まえた内容になっており,一部に完全にはこれに合致しない記載があったとしても,学習指導要領等の趣旨に反した教育内容の決定がされたとはいえない。

(教育実施段階における裁量権の逸脱濫用)

c教諭は,個別の指導計画Ⅰ及びⅡや控訴人の実情を踏まえ,授業・課題に集中すること,やる気を失わないこと,授業に参加することなどを目標とした上,控訴人の理解度・習熟度を少しずつ高め,検定本を併用した授業を行うことができる教科を増やしていこうとしたもので,控訴人が抱える課題を分析し,その課題を解決するための手段を検討・実行し,控訴人の卒業,高校進学という教育的成果を出した。
第3

当裁判所の判断
当裁判所は,原判決と異なり,控訴人の請求は,a教諭の不法行為に係る国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として33万円及びこれに対する民法所定の遅延損害金の支払を,d教諭の不法行為に係る国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として22万円及びこれに対する上記遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余の請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,後記1のとおり原判決を補正するほかは,当審における補足的主張に対する判断を含め,原判決の事実及び理由中,第3争点に対する判断1ない
し4記載のとおりであるから,これを引用する。
1
原判決の補正
原判決26頁10行目の法48条を

平成■■年3月までは,上記各教科に加えて選択教科。法48条

に,同13行目のその標準として,をその基準として,教育課程に関する事項を定めるに,同14行目の規則74条を法48条,規則74条にそれぞれ改め,同16行目の教育を行うものとしての次に,小学校,中学校等にを,同17行目の法81条の次に2項を,同18行目のかかわらず,の次に特に必要がある場合は,をそれぞれ加える。⑵

原判決27頁2行目のその実施に先立ち,福岡県教育委員会はをそして,福岡県教育委員会がに改める。


原判決28頁7行目から同8行目の学習導要領を学習指導要領に
改め,同26行目の他方で,を以下のとおり改める。
そして,中学校の教育課程に関する事項は文部科学大臣が定めるとされ(法48条),特別支援学校の中学部における教育課程に関する事項についても中学校に準じて同大臣が定めるとされており(法77条),規則においてそれぞれの教育課程(規則72条,127条)及び中学校における各教科の授業時数等が定められている(規則73条)ほか,教育課程の基準については同大臣が公示する各学習指導要領によるものとされている(規則74条,129条)のに対し,特別支援学級において特別の教育課程による場合の教育課程の具体的内容を定めた規定はない。しかし,⑷

原判決29頁2行目の対象となる生徒を対象となる生徒の障害の程度に,同4行目のという位置づけをを(甲5・1頁)という位置づけや障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行う点においては特別支援学級と特別支援学校が共通の目的を有することをに,同6行目の相当ではなく,から同16行目末尾までを相当ではない。したがって,前記のとおり,上記の特別の教育課程による場合の教育課程の具体的内容を定めた規定はなく,生徒の障害の種類や程度等を考慮した教育課程の編成が行われるべきことから,その編成について一定の裁量が認められるべきものであるが,中学校に置かれた特別支援学級にあっては,法に定める中学校の目的及び目標を達成するものでなければならないことを前提に,学級の実態や生徒の障害の程度等を考慮した上,特別支援学校学習指導要領を参考にすべきであり,また,特別支援学級の運営に当たっても特別支援学校の運営等を参考とすべきである(新中学校学習指導要領解説にも同旨の指摘がある(甲5・2頁,乙5・35頁))。にそれぞれ改める。


原判決29頁17行目のそうするとを一方に,教育課程を含む教育内容等の決定を教育内容や教育方法(以下,併せて「教育内容等という。)の決定」に,同24行目の委ねられるべきものであるところを

委ねられるべきものである。

にそれぞれ改め,同25行目の,特別支援学級から同30頁4行目の「になる。」までを削除し,同行目のここにおいて,から同9行目の当該教育内容が,までを次のとおり改める。
以上によれば,中学校に置かれた特別支援学級において,特に必要があるとして特別の教育課程が編成された場合における子どもの学習権が侵害されたか否かの判断は,特別の教育課程を編成する特別の必要があったと認められる場合において,編成された特別の教育課程及びこれに基づいて実施された教育内容等が,上記諸法令及び中学校学習指導要領や特別支援学校学習指導要領の趣旨に沿っておらず,明らかに不合理であり,子どもの利益を著しく損なうものであるなど,⑹

原判決30頁18行目の原告は,を次のとおり改める。
以上に対し,控訴人は,「考慮要素としての,当該学校の置かれた実情や教諭等の人員配置等の固有の事情は子どもの学習権を保障していくための補助的・制度的な要素であって,学習権の本質的要素ではない,子どもの実情を考慮要素としていない点が問題であるなどと主張する。しかし,子どもの実情は,上記の子どもの利益として考慮されるものであるし,上記主張に係るその他の点も上記説示の相当性を左右するものではない。
また,控訴人は,」



原判決30頁25行目のできるのでありから同26行目の考えられるまでをできるに,同31頁1行目の上記に見たとおり,を対象となる生徒の障害の程度におけるにそれぞれ改める。



原判決32頁20行目の上記事実関係からすると,を上記事実関係から認められる控訴人の障害の状況やその特性,学習の進行状況に加え,に改め,同22行目から同23行目の生徒もいたの次に(乙8の1,17)を加える。⑼

原判決33頁13行目の検定本をから同14行目の異なって,
までを削除し,同15行目のこれを形式的に当てはめるを普通教育課程を適用するに改め,同16行目の場合があるため,の次に特に必要がある場合は,を,同行目から同17行目の教科用図書についても,の次に特別の教育課程による場合において,をそれぞれ加え,同18行目の下学年用から同20行目のとることまでを他の適切な教科用図書を使用することに改める。

原判決33頁21行目末尾の次に改行して,以下のとおり加える。イ控訴人が本件情緒学級に在籍していた平成■■年4月から平成■■年3月までの中学校及び特別支援学校中学部の教育課程は,原則として,別紙1のとおり定められていたほか,教育課程の基準として,中学校においては新中学校学習指導要領,特別支援学校においては特別支援学校学習指導要領によるものとされていた(規則74条,129条)。また,特別支援学校学習指導要領によれば,特に示す場合を除き,各教科,道徳,外国語活動,特別活動及び自立活動の内容に関する事項を取り扱わなければならないとされ(甲28・158頁),中学部においては上記各教科に外国語が含まれることは前記で認定したところから明らかである。そして,上記の特に示す場合として,同学習指導要領において,生徒の障害の状態により特に必要がある場合の教育課程の取扱いについて,別紙2のとおり定められている(甲63)。

原判決33頁22行目のイをウに,同23行目の法令を
法令等に,同行目の新中学校学習指導要領を新中学校学習指導要領解説に,同34頁1行目の特別支援学校を知的障害者である児童生徒を教育する特別支援学校に,同2行目の特別支援学校を上記特別支援学校に,同6行目の(3頁)を・2頁,乙5・35頁にそれぞれ改める。⑿
原判決34頁7行目のウをエに,同14行目の得られたを
聞き取り調査・検査の実施によって得られたにそれぞれ改める。


原判決35頁13行目の14頁を9,10頁に改め,同15行
目冒頭から36頁7行目末尾までを削除する。


原判決39頁5行目から6行目の前記1⑷イ並びにウを前記1⑷アないしウに改める。

原判決39頁9行目冒頭から同10行目末尾までを以下のとおりに,同11行目の⑶を⑷にそれぞれ改める。⑶控訴人が各年次の指導内容決定段階における裁量権逸脱濫用として主張する点について控訴人は,指導内容決定段階と教育実施段階とに区分した上で,それぞれにつき校長及び本件担任らによる裁量権の逸脱又は濫用があったとし,前者に当たるものとして,教育過程編成,指導要録,個別の指導計画,個別の教育支援計画等が学習指導要領の趣旨に沿ったものとはいえないと主張する。前記諸法令及び各学習指導要領には,教育過程の編成,指導要録,個別の指導計画,個別の教育支援計画に関する定めや記述があるものの,これらは教育を実施するに当たってのいわば準備的な行為であって,それ自体が直ちに子どもに対して何らかの影響を及ぼすものではなく,上記の計画等に基づく教育が実施されてはじめて子どもに影響を生じる行為となるものである。また,前記で説示したとおり,学習指導要領はあくまでも大綱的基準としての性格をもつものであって,同要領の内容の全てが法的拘束力を有するということもできない。したがって,教育における裁量権の逸脱濫用の有無を判断するに当たっては,控訴人の主張するように指導内容決定段階と教育実施段階とに区別し,それぞれを独立の行為として判断すべきではなく,現に子どもに対して実施された教育について,これがその裁量権を逸脱濫用した違法なものであったかを判断するのが相当である。控訴人が前者に関して主張する点は,控訴人に対して実施された教育にこれが反映されている場合に,その教育が裁量権の逸脱濫用として不法行為となるかを判断するに当たって考慮すべき要素の一つとなるものである。さらに,控訴人は,学習指導要領の趣旨に沿った指導要録,個別の教育支援計画や指導計画及び各教科年間計画を作成することによって学習指導要領が求める教育内容が担保されるのであるから,本件中学校においてこれらが適切に作成されなかったことは控訴人の学習権を侵害したことを意味する旨主張するところ,上記指導要録等が適切に作成されることが学習指導要領の求める教育内容の実施を担保する方策の一つであることは控訴人の指摘するとおりである。しかし,上記指導要録等の適切な作成はあくまでも手段であって,子どもに対してその学習権に応じた教育・指導がされることが目的であるから,教師にこれらを適切に作成すべき職務上の義務があるとしても,子どもに対して同義務を負っているものとは解されないし,実施された教育を不法行為の対象とする際に考慮すれば足りることも上記説示のとおりである。そして,この理は特別支援学級においても同様である。以上を踏まえて,控訴人が裁量権の逸脱濫用に当たると主張する点について,項を改めて,学年ごとに検討する。なお,控訴人は,本件中学校の校長についても裁量権の逸脱濫用によって控訴人の学習権を侵害した旨主張するようであるが,教育内容の決定自体が独立した不法行為となるものでないことは上記説示のとおりであるし,具体的な教育の実施に関しては,本件担任らに裁量権の逸脱濫用があると主張するものであるから,校長による不法行為を認めることはできないというべきである。原判決40頁5行目の認識してから同6行目から7行目の症状があってまでを認識した(乙17,証人a)。そして,B組の6名のうち,2名は学力的に学年相応であるが,控訴人を含む4名が,小学校5,6年生で授業を受けていなかったり,学習障害のために,学力的には,小学校5,6年生程度のレベルにあること,また,に,同14行目の取ることなどを

取ることなどとし,指導内容としては,国語,英語,理科,社会は,基本的に中学1年の検定本で授業を行う。数学(算数)に関しては,生徒の実態に合った内容のドリルを中心に行うなど

に,同15行目の

まとめた。また,

まとめ,週に英語が3時間ある旨の週基準時間割表(乙2の1)を作成した。また,a教諭は,平成■■年4月10日,

に,同20行目から同21行目のまとめた上から同41頁1行目の

目指すこととした。

までをまとめたが,同計画の学習欄には,国語,社会,数学,美術,保健体育,生活単元学習,日常生活の指導,作業学習,特別活動,総合的な学習の項目があり,それぞれ,現在の実態,長期目標に関する記載があるが,英語の項目はなく,現在の実態や長期目標に関する記載もない。にそれぞれ改める。
原判決41頁12行目の英語については,の次に平成■■年度当初少し実施してみたところ,控訴人は,を,同13行目の乙17の次に,証人aをそれぞれ加える。
原判決41頁21行目の裁量逸脱等の有無についてを裁量逸脱等として控訴人が主張する点についてに改め,同22行目冒頭から同42頁18行目のまでを削除する。

原判決42頁21行目末尾に,③控訴人に知的障害がないにもかかわらず,教育課程の編成において,作業学習,生活単元学習,日常生活指導といった知的障害を有する生徒を教育する特別支援学校における指導形態を取り入れた教育課程が採用され,控訴人の指導要録にも知的障害生徒用の書式が用いられており,適切でないを加え,同23行目冒頭から原判決43頁18行目末尾までを以下のとおり改める。
しかし,そもそも,上記①,②については,それ自体が独立した不法行為となるものでないことは前記で説示したとおりである。また,上記③については,控訴人が指摘するとおり,控訴人の指導要録は知的障害生徒用の書式が使用されており(甲10,61),適切さを欠くものであるが,この点は書式の問題に止まり,a教諭による控訴人に対する教育がその裁量を逸脱して違法であったことを基礎付けるとまではいえない(なお,a教諭が控訴人について知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の教育課程を編成したとまでは認められない。)。他方,控訴人の1年次において,控訴人が指摘するように知的障害を有する生徒を教育する特別支援学校における指導形態を取り入れた指導を行った(甲10)ことは,前記で説示したとおり,特に必要があるとして特別の教育課程を編成する場合における,知的障害のない控訴人の実情に合った教育課程の編成とはいい難く,現にそうした教育が実施されたために,本来指導すべき各教科等の学習が必要とされる時間数に満たなかったとすれば,裁量権の逸脱濫用として,不法行為となる余地があるが,本来指導すべき各教科等の学習に必要とされる時間数に満たなかったことを認めるに足りる的確な証拠はない。さらに,控訴人は,a教諭が,控訴人に係る小学校の実践の引継,即ち控訴人の実情把握が不十分であったため,入学当初,控訴人について何ら対応がとられず,控訴人が落ち着けるコーナーの設置も2学期になったと主張するが,後記で説示するとおり,上記設置が遅すぎたということはできないから,上記主張は採用できない。原判決44頁13行目の立てたもののを立て,英語の授業を実施する旨の週基準時間割表を作成したもののに,同14行目の判断してから同46頁1行目末尾までを以下のとおりそれぞれ改める。
判断し,当初に少し実施したものの,その後は授業を実施せず,他の教科についても,入学当初を除いては,中学1年の検定本を使用することなく,下の学年用の課題プリントを用いたり,学習面よりも,生活面あるいは自立活動に重点を置いた授業を実施したりしていることが認められる(甲34,乙17,証人a,控訴人本人)が,控訴人の学力が小学校高学年程度であったこと,学習意欲が低下し,着席して授業を受けること自体困難であったという控訴人の当時の状況からすれば,この判断は合理的なものといえる。そして,当時の控訴人は,机に座って授業を受けること自体が困難であり,難しい課題を避けようとする傾向があったことが認められる(甲20(32,52頁),乙1の1,乙2の3,乙6の1)のであり,これに対して,やる気や集中力を養うために,検定本ではなく補助教材を使うことも,合理性が認められるというべきである。しかしながら,a教諭が英語の授業をほとんど実施しなかった点については,以下のとおり,英語の授業に関しては,前記法令や新中学校学習指導要領及び特別支援学校学習指導要領の下において,控訴人の個々の状況や実情を把握して,それに適する指導は行われなかったといわざるを得ず,裁量権の逸脱があるといわざるを得ない。控訴人が本件情緒学級に在籍していた当時における中学校及び特別支援学校中学部の教育課程は別紙1のとおりであり,教育課程の基準として,文部科学大臣が公示する中学校学習指導要領又は特別支援学校学習指導要領によるものとされていた(規則74条,129条)。そして,特別支援学校学習指導要領によれば,特に示す場合を除き,各教科,道徳,外国語活動,特別活動及び自立活動の内容に関する事項を取り扱わなければならないとされ(甲28・158頁),特別支援学校中学部において上記各教科に外国語が含まれることは前記で認定したところから明らかである。そして,上記の特に示す場合として,同学習指導要領において,生徒の障害の状態により特に必要がある場合の教育課程の取扱いについて,別紙2のとおり定められている(甲63)。そうすると,上記学習指導要領において,外国語科を設けないことができるとされているのは,知的障害を有する生徒の場合(第1章第2節第2の6)や知的障害を併せ有する重複障害者である生徒の場合(同第5の2)に限られる(甲28,63)し,教科の目標及び内容に関する事項の一部を取り扱わなくてもよいとされている場合であっても,教科自体を設けないことや上記事項の全部を取り扱わないことは許容されていない。また,上記の例外に当たるその他の場合であっても,教科の目標及び内容に関する事項の全部又は一部を替え,又は目標等の一部を取り入れることができるにすぎない上,中学1年次における外国語科については,前各学年における目標等自体が存在しない。なお,特別支援学級は,小中学校等において,本来,法81条2項各号の障害の種類(知的障害者,肢体不自由者,身体虚弱者,弱視者,難聴者,その他障害のある者で,特別支援学級において教育を行うことが適当なもの)ごとに置かれるべきものであることからすると,教育課程については,生徒の障害の種類に応じて編成されるべきものである。以上のとおり,中学校及び特別支援学校中学部のいずれにおいても必修科目として外国語が含まれており,前記のとおり,特別支援学級において特に必要があるとして特別の教育課程を編成する場合には,特別支援学校学習指導要領が参考とされるべきであるところ,同学習指導要領においては,知的障害を有する生徒の場合でない限り,外国語を含まない教育課程の編成は予定されていなかったものである。そうすると,ADHD,特定不能の広汎性発達障害と診断されていた控訴人に対し,a教諭が英語教育を入学当初わずかに実施したにとどまり,その後,英語を含む外国語の教育を実施しなかったことは教師の裁量を逸脱し,控訴人の学習権を侵害したものであり,違法といわなければならない。なお,前記認定事実によれば,控訴人について,当初は,外国語科として英語を含む教育課程が編成されていたものと推認されるが,a教諭は,本件中学校の校長に相談することなく,入学当初のわずかな期間を除いてこれを実施しなかったことが認められ,同校長が上記不法行為に関与したことを認めるに足りる証拠はない。なお,a教諭は,控訴人が入学する前年の平成■■年度に週4回の英語の授業を実施したものの,情緒学級の生徒は小学校五,六年生頃の授業をきちんと受けていないため,1年間教えてもほとんど力がつかなかったことから,国語,数学,社会,理科を教えたほうがいいと思われたこと,平成■■年度当初,控訴人はローマ字の読み書きができない状態で,平成■■年度に1年間教えた生徒よりも厳しい状態にあったところ,ローマ字の読み書きができない状態で,中学校1年生の検定本を使用して英語の授業をしても学習効果は上がらず,ローマ字を教える以上は難しいと思われた旨供述する(乙17,証人a21ないし22頁)。しかし,仮に上記供述どおりの事情があったとしても,英語を含む外国語の教育を実施しなかったことは裁量の逸脱となるというべきであり,前記の判断を何ら左右するものではない。原判決47頁3行目の前記1⑶及び前記2⑴ウのとおり,を削除し,同7行目の教育について,の次に英語の授業を約1年間実施しなかった点については裁量権の逸脱があるといえるが,その余の点については,を加える。
原判決50頁13行目の裁量逸脱等の有無についてを裁量逸脱等として控訴人が主張する点についてに,同14行目冒頭から同20行目末尾までを次のとおりそれぞれ改める。
前記で説示したとおり,b教諭が実施した教育が裁量権を逸脱濫用したものとして違法であるかの判断は,指導内容決定段階における計画等自体について独立して判断されるべきでなく,実際に行われた教育について判断されるべきものである。したがって,控訴人が指導内容決定段階における裁量逸脱として主張する点も実施された教育が不法行為となるか否かを判断するに当たって,これに影響している限りにおいて考慮すれば足りるものであるが,控訴人が主張する点について若干の判断を示す。原判決51頁5行目冒頭から同6行目末尾までを以下のとおり改める。また,控訴人は,各教科年間指導計画は,国語,数学,社会,音楽,美術,技術・家庭,英語について4月から3月まで毎月同じ内容であり,英語についても順を追って理解が進むような計画となっていないと主張する。確かに,上記計画における上記各教科の「単元・題材・指導内容等の欄の記載は,社会において,地方の記載が月によって異なっているほかは,毎月同じ記載であることが認められ(甲32),年間計画とはいえ,月毎の記載が求められていることからすると,上記のような記載が適切であるか疑問である。しかし,上記各教科の教育の具体的内容が毎時間同一のものであったとの主張立証はないところ,控訴人が主張する上記の点のみをもってb教諭が控訴人に対して実施した教育が裁量権を逸脱濫用したものであると認めることはできない。
さらに,2年次の個別指導計画Ⅱ(甲11)には指導の経過と評価欄に記載がないところ,証人bは,上記欄を記載したデータを本件中学校のパソコンのフォルダに保存していたと証言している。しかし,仮にb教諭が上記欄の記載をしていなかったとしても,それ自体が控訴人に対する不法行為となるものでないことは前記で説示したとおりである。なお,控訴人の指導要録は知的障害者に用いられる書式が使用されていたことや,観点別学習状況の評価が実施されていないこと自体も不法行為となるものではないし,各教科年間指導計画と個別指導計画に即して指導内容等を定めて時間割が編成されていないとの点についても,具体的な内容が不明である上,それ自体が不法行為となるものではない。
そして,特別支援学校学習指導要領において,自立活動の指導は,個々の生徒の障害の状態や発達の段階等を的確に把握して,適切な指導計画の下に行うよう配慮しなければならない(甲28・156頁)とされているところ,b教諭作成の個別指導計画(甲11)には自立活動に関する記載がないことが認められる。しかし,特別支援学級における自立活動の指導は,障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服することを目的とするものと考えられる(甲28・156頁)ところ,補正して引用する原判決のとおり,b教諭は,控訴人が午後になると緊張がとれていたずらをしやすくなると把握していたことから,控訴人の情緒の安定を図るため,午後に自立活動の時間を設けてイラスト描き等を行わせていたことが認められ,上記の目的に適う指導方法ということができ,上記の記載がないことをもって裁量逸脱による不法行為となるものではない。」
原判決51頁11行目の乙48を乙18に改め,同12行目から
同13行目の小学校入学程度のワークをしたり,の次に

同年5月ころからは,生活(小学校1,2年次の科目で,3年次以降の理科,社会に相応する。)のワークをし(甲48,49,乙3の2(2,10頁),控訴人本人(11頁)),

を加え,同20行目冒頭から同末尾までを削除する。原判決52頁18行目のプリントの中にはから同19行目のあったほか,までをプリント(甲48)をみると,確かに,点つなぎのような易しいものもあるが,迷路などは集中しなければできないような難易度のもので,集中力を養うのに適したものであるといえるし,に改める。原判決55頁11行目末尾の次に改行して,次のとおり加える。
なお,控訴人は,b教諭が実際の授業を作成した時間割どおりに実施されていないことを指摘するが,あらかじめ作成された時間割表はあくまでも予定であるから,このとおりに実施されなかったことは何ら不法行為となるものではない。原判決56頁2行目の個別の指導ともにを個別の指導とともにに
改める。
原判決58頁4行目の裁量逸脱等の有無についてを裁量逸脱等として控訴人が指摘する点についてに改め,同12行目の(上記ア),
の次に控訴人の主張するようなを加え,同13行目の教育内容が決定されたということはできないを教育が実施されたということはできないし,そもそも上記計画が適切でなかったことが控訴人に対して実施された教育に反映されていたことについての主張立証はないから,この点が不法行為となるとは認められない。なお,控訴人は,当審において,年間指導計画が個別の指導計画の基になっていることやc教諭が引継ぎを受けたとするb教諭の教育実践が杜撰なものであり,c教諭作成の個別指導計画における控訴人の「現在の状態の記載がb教諭のそれのほぼ丸写しであることなどを指摘するが,実践された教育にこうした点が具体的にどのように控訴人に対する教育における裁量権の逸脱濫用に影響を及ぼしたとするのか不明であるから,上記の点に関してc教諭が実施した教育に裁量権の逸脱濫用があり,不法行為となるとは認められない」に改める。
原判決61頁8行目末尾の次に改行して,次のとおり加える。
控訴人は,c教諭は,PDCAサイクルに従った教育を行うことが要請されているにもかかわらず,指導記録を作成せず,自己の指導の検証をしなかった旨主張する。しかし,指導記録を作成せず,自己の指導の検証をしなかったこと自体が控訴人の学習権を侵害する不法行為となるものではないし,上記の点が控訴人に対して実施された教育にどのような影響を及ぼしたのかも不明である。原判決61頁22行目ののらないでいるを従わないでいるに,同
62頁10行目ののらないでいたを従わないでいたにそれぞれ改
め,同19行目から同20行目のこのような経過から同21行目の

明らかである。

までを削除し,同63頁10行目のしかしかしながらをしかしながらに改め,同11行目の試みておりを試み,なかなか連絡を取れないなどの状況が存したものの,他方で,控訴人が父親に親和していた状況も認められ,に改める。原判決63頁18行目ののとおり,を削除し,同64頁5行目の与えたこと,,を与えたこと,に,同7行目の教室を飛びだしから同9行目末尾までを

飛び出すなどしたことが認められる。

にそれぞれ改める。
原判決64頁21行目の
汚損させた汚損させ,を一部を破損させた
に改め,同65頁11行目の原告がb教諭とから同12行目の形跡はなくまでをb教諭が控訴人に午前11時頃と午後4時頃に電話をしたところ,控訴人は,午前11時の電話の際は,制服が汚損した旨述べ,午後4時の電話の際には,制服が破損した旨述べていたこと,また,いずれの電話の際も,制服の汚損ないし破損がe嘱託員の行為によるものであると述べたことはうかがわれずに,同14行目の制服の汚損はから余地がありまでを制服の汚損ないし破損自体をもってに改める。
原判決66頁5行目の繰り返しを削除し,同6行目の乙21,本件引き戸開閉行為を

甲42,乙21。なお,その具体的な日時,経緯については争いがあるが,本件引き戸開閉行為自体

に改め,同10行目の原告本人の次に

。なお,その経緯については争いがあるが,上記②の行為自体については争いがない

を加える。原判決66頁15行目冒頭から同24行目末尾までをとして,教育上指導すべきものといえる。この点,控訴人は,引き戸が重くて強く開閉しなければならなかった旨述べるが,そのような状況で仕方なく強く開閉しているものか否かは他者にも容易に判別できるのであって,控訴人が述べるとおりであるにもかかわらず,d教諭が指導に及んだとは考え難いことからすれば,上記の供述は信用できない。そして,控訴人に対し,控訴人の引き戸の開閉行為が他者にとって迷惑であることを実感させようとしたd教諭の目的自体は正当なものであるし,その方法として,控訴人と同様の行為をしてみせたことが適切であったといえるか疑問の余地があるとしても,本件引き戸開閉行為による音の大きさや危険性を的確に認めるに足りる証拠はなく,後記のとおり,控訴人がこれにより怪我を負ったと認めるに足りないことからすれば,本件引き戸開閉行為が控訴人に対する不法行為に当たるということはできない。に改める。原判決66頁25行目の原告は,本件引き戸開閉行為によりを控訴人は,父親が迎えにくるまで教室にいたかったにもかかわらず,d教諭から,下校時のHとのトラブルを避けるため,早めに教室を出るよう言われたこと,そして,d教諭は,筆箱やかばんなどを教室の外に放り出し,教室の中にとどまろうと抵抗した控訴人を,教室の外へ強く突き飛ばすと同時に,引き戸を勢いよく閉めたので,に改める。原判決67頁7行目のを併せて考えれば,を

,また,控訴人の母が,控訴人から聴き取り,平成■■年4月頃作成したとされるメモ(甲67)には,控訴人の供述(甲42)に沿う記載もあるが,「d先生は,わざと俺の指をはさんだ。

c先生からは笑われた。

など控訴人の供述(甲42)とは異なる内容の記載もあり,上記メモの記載が控訴人が述べたとおりであるとすると控訴人が述べるところは必ずしも一貫していないことを併せ考慮すれば,」に改める。
原判決67頁10行目冒頭から同23行目末尾までを以下のとおり改める。エ次に②の行為について検討するに,当時3年次であった控訴人(なお,②の行為時の身長・体重は不明であるが,高校1年生時は身長165cm,体重50kgである(甲21)。)を,膝の上に仰向けに乗せることは,相応の有形力を行使しなければ困難である上,不安定な姿勢を強いるもので,傷害を負わせる危険性も高い行為であるといわざるを得ない(なお,控訴人は,膝の上に仰向けにされた後,d教諭が「俺が成敗してやる。と言って,腰が膝の上に乗った状態で,何度も身体を反らせるように力任せに押さえ付けられた旨述べるが(甲42),これを裏付ける証拠はない。また,控訴人が腰の痛みを訴えて,翌日欠席した事実は認められるものの(甲42,乙4の2),仮に控訴人が述べるような態様であれば,相応に重篤な傷害が生じていると考えられるにもかかわらず,控訴人が保健室に行ったり病院を受診したような事情も認められないから,上記の暴行が継続したことや強度であったことまでは認めるに足りない。)。
この点,被控訴人は,d教諭は,控訴人と女子生徒との間で,階段に座っていた女子生徒の背中を控訴人が蹴ったか否かでトラブルになり,ぶつかっただけである旨何度も述べる控訴人に対し,接し方を柔軟にして,少しスキンシップを図りながら指導をしたものである旨主張する。確かに,補正して引用した原判決第3の2

のとおり,d教諭が,従前

から,控訴人の粗暴な行為や自分の非を認めようとしない態度等について指導をしていた状況があり,②の行為も,d教諭が,女子生徒の主張やその制服に遺留された痕跡等から判断の上,控訴人に対する指導に及んだものと認められる。しかし,仮にその目的自体が正当であったとしても,既に,控訴人の女子生徒に対する暴行は終了しており,d教諭は双方からその言い分を聴取していたのであるから,非を認めようとしなかった控訴人に対して有形力を行使する必要性は乏しい上,その有形力の行使が強度であったとまでは認められないものの,到底,柔軟な接し方といえるようなものではなく,d教諭の②の行為が一回的なものであったとしても,教諭が生徒に対して行うことが許される教育的指導の範囲をもはや逸脱しているといえる。そして,d教諭には,②の行為に及ぶについて,
故意又は過失があったといえるから,
不法行為を構成する。

原判決68頁11行目の連絡するなどしてから同16行目末尾までを連絡し,刑事手続が開始される可能性も十分にあったもので,本件発言の経緯・内容に鑑みれば,控訴人が今後同様の行為に出た場合に想定される事態を自覚させ,これをやめさせようとしたもので,その目的は正当であるといえるし,仮に,d教諭の発言が再三にわたるものであったとしても,教員が児童に対して行うことが許される教育的指導の範囲を逸脱するものではなく,脅迫に当たるということはできない。に改める。原判決69頁2行目の証拠によればから同3行目の同日までをd教諭は,平成24年9月11日に,同6行目の甲1を甲2に,同13行目の毎週発行を毎週末発行に,同16行目の平成24年3月を平成25年3月に,同23行目の不合理なをあながち根拠のないにそれぞれ改め,同70頁2行目の受け止められるが,の次に本件学級通信の記載内容からすれば,を加え,同4行目の知らせるから同5行目の記載はなく,までを

知らせ,家庭における指導を促す目的でされていることは明らかで,控訴人が行ったことを窺わせる記載はもちろん,行為者の特定につながりかねないような記載も見当たらない。

に改める。
原判決70頁21行目の車両を損壊したこと及びをd教諭の車両に損傷を与えたことを否定し,に改め,同23行目のお前,」の次に

「なんで,そんなこと犯人に教えないといけないんですか。

,」を,同行目の教えません」の次に,「防犯カメラに写っとるのにバカじゃないの」をそれぞれ加える。
原判決71頁1行目冒頭から同9行目末尾までを以下のとおり改める。イそこで検討するに,d教諭の発言のうち,3月13日の発言については,d教諭が控訴人に移動するよう再三促しても,控訴人がかばんの置き方などに固執して移動しようとせず,一向に進展しない状況下で出たもので(甲37),その目的は教育的指導にあることが認められ,「ばかじゃないとという言葉については教諭の生徒に対する発言としては適切ではないといえるものの,上記の状況においてされたかかる1回的な発言が控訴人に対するハラスメントとして損害賠償を基礎付ける違法性があると評価することはできない。」

原判決71頁12行目冒頭から同72頁5行目末尾までを以下のとおり改める。
3月26日の発言については,同日のやりとり(甲15,16)をみると,控訴人は,校長と面談するため本件中学校を訪れたものの,校長に会議の予定が入っていたため,それが終わるのを校長室又はその近辺以外の場所で待っていたこと,それを見たd教諭から,校長先生のところに行くか,いったん帰るように促されたこと,それにもかかわらず,控訴人が本件中学校内の物を触ろうとしていたので,従前から本件中学校の物品を壊すことが多々あった控訴人に対し,d教諭が触らないよう注意をしたが,控訴人は触っていない旨の発言を繰り返し,そのような経緯で出た発言であることが明らかである。そして,d教諭の上記各発言は,控訴人がd教諭の車を損傷したことを確定的なものとしており,「バカじゃないの。,

気持ちが悪い。

との各発言を含め,控訴人の名誉感情を害し,控訴人を侮辱するものである。なお,控訴人は,d教諭がその車両を控訴人が損傷させたと断定した上で修理代を要求するなどしたことが脅迫に当たると主張するところ,上記発言は金銭の支払を要求するものではあるが,これに応じないと訴訟提起をするというものである上,d教諭は,上記各発言の際,再三,謝罪すれば許してやるとも発言している(甲15,16)ことからすれば,脅迫ないし恐喝に当たるとはいえない。
また,本件各発言が上記の経緯の中でされたものであることからすれば,本件各発言は,本件中学校の教師と生徒という関係において,本件中学校の物品を損傷させないため,これにむやみに触れないように控訴人に対する教育的指導として注意した機会にこれに付随してされたものであるが,教育的指導の範囲を逸脱したものであるから,被控訴人は上記各発言につき国家賠償法1条1項に基づく責任を負う(なお,これらの発言当時,控訴人が本件中学校における卒業式を終えていたが,小学校の学年が4月1日から翌年3月31日までとされており
(規則59条)

これに引き続く中学校の修業年限が3年とされている
(法47条)
ことか
らも,
控訴人が既に本件中学校を卒業していたということはできない。。)」
2
争点2(損害)について
控訴人に対し,1年次の英語の授業がほとんど実施されなかったことについては,英語は中学校において初めて行われる授業であるにもかかわらず,ほとんど実施されなかったことによる控訴人の精神的苦痛は相当に大きかったものと推認される上,前記認定のとおり,a教諭は知的障害を有しない控訴人に対する特別支援学級における教育課程の編成及び実施について十分な理解ができていなかったことがうかがわれる。しかし,他方で,控訴人の責めに帰すべき事由とまではいえないにしても,前記で認定したとおり,1年次における控訴人は学習意欲が低下し,着席して授業を受けること自体が困難な状況にあったこと,そうした状況を踏まえ,控訴人に対しては生活面における指導や自立活動を重視する必要性があったことは否定し難いこと,その他,本件に顕れた一切の事情を考慮すると,控訴人が被った精神的苦痛を慰謝するためには30万円をもって相当と認める。
次に,d教諭の不法行為についてみるに,本来,生徒との信頼関係を築き,生徒を指導すべき立場にある教師の生徒に対する言動である上,前記認定のとおり,d教諭の平成■■年9月12日の暴行は,前記のとおり,相応の有形力を行使しており,控訴人の抵抗の状況によっては傷害の結果が生じうるものではあるが,その態様は強度とまではいえず,1回的なものにとどまり,幸いにも傷害の結果も生じていないこと,また,平成■■年3月26日のd教諭の発言のうち控訴人を犯人と決めつける旨の発言及び控訴人の言動を気持ち悪いなどと発言したことについては,その発言の内容,経緯や状況等を踏まえ,その他本件に顕れた一切の事情を考慮すると,上記d教諭の不法行為により控訴人が被った精神的苦痛を慰謝するためには20万円をもって相当と認める。そして,本件の内容及び上記各不法行為により認容されるべき額等に照らせば,a教諭の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は3万円,d教諭の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は2万円をもって相当と認める。第4

結論
以上によれば,控訴人の請求は,a教諭が英語の教科をほとんど教育しなかった不法行為に係る国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として33万円,d教諭の違法な言動の不法行為に係る同条項に基づく損害賠償として22万円,及び,これらに対するいずれも不法行為後である平成26年12月2日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余の請求はいずれも理由がない。
したがって,控訴人の請求を全部棄却した原判決は一部相当でないから,本件控訴に基づき,これを変更することとして,主文のとおり判決する。
福岡高等裁判所第2民事部

裁判長裁判官

須田啓之
裁判官


裁判官

小々垣松隆樹芳
別紙1

1
中学校
平成■■年3月まで(平成20年3月28日文部科学省令第5号による改正前の規則72条1項,2項)
必修教科,選択教科,道徳,特別活動及び総合的な学習の時間
必修教科は,国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,技術・家庭及び外国語


平成■■年4月以降(上記改正後の規則72条)
国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,技術・家庭及び外国語の各教科,道徳,総合的な学習の時間並びに特別活動

2
特別支援学校中学部
平成■■年3月まで(平成21年3月9日文部科学省令第3号による改正前の規則127条1項,2項)
必修教科,選択教科,道徳,特別活動,自立活動及び総合的な学習の時間
必修教科は,国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,技術・家庭及び外国語(知的障害者である生徒を教育する場合は国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育及び職業・家庭の各教科)選択教科は,国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,技術・家庭及び外国語の各教科(知的障害者である生徒を教育する場合は外国語)及び特別支援学校学習指導要領で定めるその他特に必要な教科平成■■年4月以降(上記改正後の規則127条1項,2項)
国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,技術・家庭及び外国語の各教科,道徳,総合的な学習の時間,特別活動並びに自立活動知的障害者である生徒を教育する場合は国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育及び職業・家庭の各教科,道徳,総合的な学習の時間,特別活動並びに自立活動。ただし,必要がある場合には,外国語科を加える。

別紙2



各教科及び外国語活動の目標及び内容に関する事項の一部を取り扱わないことができること。(第1章第2節第5の1⑴)


各教科の各学年の目標及び内容の全部又は一部を,当該学年の前各学年の目標及び内容の全部又は一部によって,替えることができること。(同⑵)



中学部の各教科の目標及び内容に関する事項の全部又は一部を,当該各教科に相当する小学部の各教科の目標及び内容に関する事項の全部又は一部によって,替えることができること。(同⑶)



視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の中学部の外国語科については,外国語活動の目標及び内容の一部を取り入れることができること。(同⑷)


幼稚部教育要領に示す各領域のねらい及び内容の一部を取り入れることができること。(同⑸)

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